オーストラリアの与党・自由党は14日夜に急きょ実施した党首選でアボット首相を解任。アボット氏は首相を辞任し、新たに党首に就任したマルコム・ターンブル氏が新首相となる。
新首相は、同性婚や気候変動、経済政策などあらゆる面で中道路線を取る可能性がある。
自由党と国民党による保守連合政権は2013年9月に発足した。それまで政権を握っていた中道左派の労働党内では党首の座をめぐる主導権争いが生じ、労働党のケビン・ラッド氏は2010年に党首の座を追われ、ジュリア・ギラード氏が党首に就任した。
ところがギラード氏に対する有権者の支持が弱まると、3年後には再びラッド氏が党首に復帰した。
そして今回は、自由党のアボット党首(首相)が党首選に敗れて、首相も辞職した。
アボット首相は、世論の大半が支持している同性婚や気候変動対策に、反対し抵抗の姿勢を示してきた。オバマ米大統領は最近、健全な環境と力強い経済成長は相反しないと述べていることと対照的だった。
ターンブル新首相は元銀行家の富豪で起業家でもある。
保守連合の支持者は、来年の総選挙で保守が敗北する見込みだというこの1年余りの世論調査結果を見て、首相の交代を画策した。世論調査では、ターンブル氏を国のリーダーとして選ぶ人がアボット氏を大きく上回っている。
ターンブル氏は気候変動や国境の安全保障、同性婚を含む多くの問題で、アボット氏よりも中道寄りの姿勢を示すといわれる。
アボット首相は昨年、温室効果ガスの排出量取引制度への移行を阻止したが、ターンブル氏はこの制度を支持した。
アボット氏は難民の流入を阻止する措置を命じたが、ターンブル氏は保護を求める難民への共感を示した。
ターンブル氏は歳出面や経済政策、外国投資に対しては厳しい施策を講じ続けても、社会福祉と予算の削減といった話はしないものと見られる。
自由党内の保守的な勢力は、党首の交代は党内の分裂を悪化させ、労働党のような混乱を繰り返すという。保守勢力は前回の野党時代(2008年〜09年)に党首だったターンブル氏にことあるごとに反発していた。

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