先の参議院議員選挙で東北6選挙区は、与党が東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県を落とすなど、秋田県を除く選挙区で1勝5敗だった。
東京電力福島第一原発事故の現地である福島選挙区では、現職閣僚の岩城光英法相が、野党統一候補で民進党の増子輝彦氏に僅差で敗れた。
ただ、地域別の得票率を見ると、岩城氏は沿岸部の全自治体で優勢で、原発事故の被害を最も受けた双葉郡では内陸部も岩城氏が制し、川内村ではほぼダブルスコアで勝っている。
世代別では、岩城氏は10〜50代の全世代で多数を占め、増子氏が上回ったのは60代、70代のみだった。
高齢者の中に、強い自民党への批判層がある反面、原発事故で最も影響を受けた場所では与党に票を投じる人が多い。まだ「復興」への目途さえ立てられない地域が、与党支持となっているのが目立つ。
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実際、震災と原発事故で最も影響を受けた被災地では、政府による避難指示解除で移住者呼び込みを必死になって行っている。
事故から5年以上に及ぶ長期に及ぶ避難で、避難先に定着した人たちも多い。このままでは人口減少と高齢化で近い将来、自分の勤め先も「消滅自治体」になるかもしれない。そこに原発事故による避難があって、福島県太平洋沿岸地域の自治体はこのことを深刻に受け止めている。
各自治体は消滅を免れようとするためか、新たな移住者を積極的に受け入れ、地域復興の担い手となるよう、優遇策を打ち出している。
福島県川内村では、都会に住むシングルマザーなどの片親世帯を対象に移住者を呼び込もうとしている。2016年度から、移住時の引っ越し費や生活に欠かせない自動車購入費の一部として50万円を支給することを決めた。
移住から3年後の時点で居住し続けてくれれば、さらに30万円を追加支給する。
民間賃貸住宅の家賃も半額(上限2万円)を補助し、村内の企業に正社員として就職を世話する。
保育園の利用料はすでに無料化されている
川内村は6月14日に旧居住制限区域への避難指示が解除され、村内の避難区域はすべて解消された。
しかし、震災前には約3000人いた住民のうち村に戻った住民は1800人しかいない。このうち約40%が65歳以上の高齢者で、村内にある商業施設や介護施設、復興関連事業を受注する地元企業はいずれも働き手不足に心を痛めている。
つまり、今の川内村は政府からの資金がなければ成り立たないのが実情だということである。

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