保守系オピニオン誌の最大手、『正論』2008年10月号に久々に松原正氏の論文が掲載された。
内容は、やはり保守系オピニオン誌『WILL』に連載された西尾幹二氏の皇太子夫妻批判への批判文である。
「福田恆存思想の正統後継者」と言われる松原氏のことだから、皇室の問題を考えるにあたって有用な新知見があるのだろうと期待していたのだが、見事に
期待はずれであった。
松原氏がこの論文の中で述べていることは、実に簡単。
ろくに根拠も提示せず「天皇"制"は無くならない!」と連呼しているだけである。あとは毎度おなじみの「政治主義批判」と文章添削。
もはや「伝統芸能」の域に達している感がある。
松原氏にとって皇室の安泰は自明のことなんだろうが、多くの読者にとっても自明であるとは限らないわけなんだから、たとえ皇太子夫妻が「左翼思想」に汚染されていようが天皇"制"が揺るがないと信ずる根拠を提示しなければならないはずなのに、それがないんじゃ読者には理解されないだろう。
『では、皇太子に西尾は何を望んでるのだらうか。雅子妃との離婚であらうか。』のくだりは、もはや単なる言いがかりである。
前々から感じてたことなんだけど、松原氏の文章は、松原氏に理解がある人にのみに向けて書かれているような所がある。
「月曜評論」の連載みたいに、ファンしか読まないようなものならともかく、『正論』のようなメジャー誌では通用しないだろう。

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