サブプライムローンの問題以来、アメリカ経済が衰退してる。
さらに追い打ちを掛けるようにリーマン・ブラザーズ証券が倒産し、大統領選では福祉を重視する民主党のオバマ候補が当選した。
先の金融サミットで、政府による金融機関への規制強化を打ち出したことからも分かるように、アメリカ流の市場原理主義の行き詰まりをアメリカ自身が認めたということである。
民主党政権が誕生することにより、かつてのクリントン政権のようにアメリカが日本よりも中国との関係強化を図ってくる可能性は非常に高い(もっともブッシュ政権時も中国重視だったような気もするが…)。
おそらく「正論」や「WiLL」の最新号には、「オバマ次期大統領に告ぐ!真のパートナーは中国ではなく日本だ!」みたいな記事が載ることだろう。
アメリカ流の市場原理主義を礼賛してきた知識人のひとりが、櫻田淳である。
アメリカ流資本主義が衰退して、さぞや落ち込んでいることだろうと思っていたら、ところがどっこい、自身のブログで
こんなことを書いている。
それにしても、オバマの登場は、米j国の「底力」を感じさせる一件である。
「少数派」であって祖父の世代には、「米国人」でなかった人物が、大統領になるのである。
このところの金融混乱で「米国の時代」の終わりを鼓吹する意見があるけれども、ダメージの度合いは、米国に張り合おうとしている国々、たとえばロシアやベネズエラのほうが深刻なのである。
来年の就任演説は、さぞかし「歴史」を意識させるものになるのであろう。
今から、楽しみである。
(櫻田淳のブログ・雪斎の随想録「バラク・オバマ」より一部転載 太字強調は筆者)
ロシアやベネズエラの金融混乱がアメリカより深刻だとしても、「米国の時代」が終焉しないという論拠には決してならない
自分が支持する人物や現象が劣勢になると、「他にももっと酷い例があるぞ!」と強弁する卑劣な知識人が好む論法である。
「万引きよりも強盗殺人のほうが重罪である!」みたいな。
万引きより強盗殺人のほうが重罪であるとしても、だからといって万引きの罪がチャラになりはしないのに。
おそらく、こんな詭弁を弄しなければならないほど、櫻田淳は混乱しているということなのだろう。
「米国の時代」が終演するかどうかは私にはわからないが、可能性は無いとは言い切れないと思う。
今、我々にもっとも必要とされるのは、安直な楽観論や悲観論に惑わされないことだ。

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