テレビを見ることを殆ど許されない生活でしたが、漫画雑誌やコミック本に関しても、ただの一度も買ったことはもちろん、見た事もありませんでした。
正確には、小学生の時塾帰り一度本屋でコミック本を買ったことがありました。
周りのお友達みんな読んでいるので私も読んで見たかったというのが本音でしょうか。
母親がどんな反応を示すか不安を感じながらも、一冊くらいなら、なんとか許してくれるのではないかという思いもあったのです。(兄は適当に母に反発してコミック本を買っていました)
買う時母の怖い顔が浮かびました。勉強以外の世の中の事を、何も知らない私は、どんな本が流行っているのかも分かりませんでした。それどころか、本棚に手をやって面白そうなコミック本を選ぶという行為すら体が硬直して出来なかったのです。
母に決して許してもらう事が出来ない事をやっているという罪悪感、罪責感、恐怖感で動く事が出来なかったのです。そこで、本棚から誰かが、立ち読みしたのか、横に寝かすように置いてあった本を内容も見ず、手にとると必死の思いで買ったのでした。
でも母の知れる所となり、こんな人生を無駄にするものを買ってと、ひどく怒られたのでした。私は、この初めて買ったコミック本をそれから何年にもわたり、学習机の引き出しの奥に大切に保管し、母に見つからないように勉強の合間に、何十回何百回と読み続けたのでした。
本当は、みんなのように何冊も流行の本を読んでみたかったと思うのです。
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