母は、私達兄妹に成績の為ならどんな嘘でも平気でつく人でした。
母は、「近所のTちゃん(母はこの子は成績が良かったのでライバル視していた)の部屋の明かりカンカンついていて、今日も夜遅くまで勉強しているぞ」と私の勉強部屋まで、しょっちゅう毎日のように報告にきていました。私は何ヶ月もの間、Tちゃんも頑張っているんだ、と信じ込み、私も負けないようにしなければと、より勉強に励んでいました。しかし母がある日報告にきた直後に、外に出る用事があってたまたまTちゃんの部屋を見上げた時、真っ暗だったのです。そんな日がその後も何日もありました。母は、私をあおる為に、嘘をつき続けていたのです。
また、兄に対しても信じがたい嘘をついていたのを覚えています。兄の一つ上で、同じ国立付属中に通っている、近所の男の子O君がいました。母は、この子を兄のライバル意識を呼び起す道具に使っていたのです。兄が小学生の時からその傾向はありました。兄が中3になる春、O君が県下一の進学高校に入学したと兄に嘘の報告をしたのでした。公立高校は、内申書の成績が半分含まれる為、選りすぐりの子が集まっている兄の中学から、その高校に進学するのは、(内申書で不利になるため)かなりの難関となっていたのです。兄は、その事を信じ込み、同級生に話しをした時、「お前何寝ぼけた事言うてんねん」と馬鹿にされたそうです。兄は、顔を真っ赤にして「お前そんな嘘教えて何考えてるねん、馬鹿にされたやないか、」とすごい剣幕で怒っていました。子供の成績を上げるためなら、平気で大嘘をつく、こんな母の姿も兄の暴力の原因になっていったのだと思います。

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