高3の新学期(二学期)の日が来ました。
あんな場所へ行きたくない・・・朝用意をする時、その日はトイレの後始末にいつも以上に気を取られ、手洗いの時間が少し増えてしまった事を憶えています。
そして、学習机から必要な物を取り出しカバンに入れた後、引き出しを閉めたのですが、なんかちゃんと閉まらなかったような気がしました。
心配と、気持ち悪さで、何度も何度も開けたり閉めたりを繰り返したのですが、それでも、納得する事が出来ません。
学校へ行く時間も迫っており、焦りの中
「ちゃんと閉まっている」
と、心の中で言い聞かせ、最後に引き出しを力まかせに、
「お願いちゃんと閉まって」
「バーン」
と押し、勢いで指を挟んでしまい、痛さと、意味不明な事している自分に、涙ぐんでしまいました。
やっとの思いで外に出た私は、
登校途中一学期までは、気にならなかった道の染み、割れ目 、継ぎ目が気になり、下ばかり向いて歩いていたので、途中でフト顔を上げたときに、同級生が目の前を歩いていたのに、「ドキっ」としてしまいました。
その時「受験の話しを切り出されたらどうしよう」
という思いが頭をかすめ、歩くスピードを落として歩きました。
教室に辿り付いた時、やはり教室のあちこちから、受験の話題が聞こえてきました。
ものすごい焦り、負けるという思いを感じながら、必死でその会話を聞かない、聞こえないと、言い聞かせ、心の耳を閉じ、自分の席に座っていました。
自分はみんなと、同じように頑張ろうとしているはずなのに、
「どうして・・・何故、自分だけ頑張れないの?」
そんな事をグルグル考えていました。

0