「なんで絵を描かないの?」
ヒーラーさんのこの言葉で、ジワッと涙が浮かびかけた。
「好きなことやればいいのに。絵を描いてる時のあなたは、何のストレスも感じない、何時間でも集中して描き続けてる姿が見える・・・」
小さい頃から、絵は大好きだった。
確かに、一枚の絵を仕上げるまで、ご飯も食べずに何時間も描き続けてたこともあった。
外で遊ぶよりも、家の中で絵を描いたり、本を読んだりすることが好きな子供だった。(毎日絵を描いて)中指にボコッと鉛筆ダコが出来たのがイヤで、鉛筆の持ち方を自分で変えた記憶もある。
美術の成績はよかったし、写生大会は毎年入賞。
(当然のように、深く考えることなく)美術の学校へ進み、デザイン事務所に就職。
結婚退職するまで、毎日絵を描く生活をしてた。
絵の仕事を辞めた後「絵を描きたいなぁ」と思うことも時々あったけど、時間が無かったり、子供が産まれたら道具も出せないし、全く描くことなく過ごしてきた。子供が大きくなって、時間が出来てからも。
・・・何故だろう?と思うと同時に
「絵なんか描いても無駄だと思ってました・・・」って答えてた。
人よりちょっとうまいくらいで、絵なんか描いても何にもならないって思ってたんだなぁ・・・。そう思ってた自分に気付いたら、ホントばかだな〜って、また涙が出そうになった。(考えすぎなんだよな)
それと、子供が出来てから感じたこと。
子供のように自由な絵は描けない。子供の絵には適わない。ということ。
子供が描くのを見てると、頭で考えるより手が先に動き出す。おしゃべりしながら。
そんな風には描けない。昔は自分も出来てたのに。
あんな絵が描きたい。これ描きたい。そんな欲求は無くなってしまった。
この前観た若冲。初めて知ったのは、絵の仕事を辞めたずっと後だったけど、その時はまだ若冲の作品から、ばんばんインスピレーションを受けて、テキスタイルデザインのイメージが膨らんだ。強く、また自分も絵を描いてみたいなと思った。でも今はそういうのを感じない。
今、「絵を描くことで、あなたがストレスを感じなくなれば、(家の中の)‘気’がいいように廻って、色々なことがうまくいくようになる」と言われても、絵を描く気にはなれない。
絵を描けばストレスフリーになると言われても、ストレスに押しつぶされそうになってる今、この状態の中ではそんな気が起きない。
「自分の家には、アトリエ(趣味室)があるのになぁ〜」なんて考えてたら、またこの家が好きになれないことが更にストレスになる。
ん〜・・・先ずは、この家を(自分の好きなもので)飾ることから始めようかな。

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