2008/10/9  13:16

県外ゴミ搬入を巡る茶番劇裁判(4)…第2回口頭弁論  全国のサンパイ業者が注目!

■「群馬県外からのゴミの搬入を禁じた安中市との協定書で、商売が上がったりだ」とばかりに、埼玉県さいたま市に親会社を持つ、サイボウ環境株式会社が、協定書の無効確認を主張して、7月2日に訴状を前橋地裁に提出し、安中市を訴えた裁判は、被告の安中市が7月29日に答弁書を提出し、争われることになりました。


安中市は、かつて処分場設置許可手続で便宜を図ってやったサイボウが、なぜ訴えを起こしたのか真意を測りかねながら、提訴に対抗して、通常なら顧問弁護士に依頼するところを、岡田市長は弁護士を起用しない「本人訴訟」を決断し、裁判に臨んでいます。
そして、8月6日(水)に第1回口頭弁論が行なわれ、原告サイボウが準備書面を提出し、早くも和解の話を裁判長に切り出しました。
今回は、第1回口頭弁論以降、10月初旬に至るまでの経緯を報告します。

■被告安中市は第1回口頭弁論を踏まえ、9月8日に準備書面を提出しました。このなかで、「県外ゴミ搬入規制は、原告が主張するような運営許可を左右して営業自体ができなくなるような条項ではない。公害防止協定事項を全て法的根拠がないとすれば、全国各地でのこの協定は意味をなさなくなるだろう」と反論しています。

■そして第2回口頭弁論は、9月24日(水)に前橋地裁で開かれました。原告サイボウ、被告安中市双方とも、和解はせず、裁判所の結審を求めることが確認され、原告と被告からもはや「これ以上主張することはないので、弁論を終わりにして欲しい」と要望が出ました。また、サイボウは裁判所に「協定書に法的拘束力がないことが確認できれば、協定書の無効まで踏み込まなくてもよい」などと発言しました。
こうした茶番劇訴訟の本質に気付いたのか、裁判長は「念のためもう一度弁論の機会を設けてから終わりたい」として、次回11月5日(水)午後4時から第3回口頭弁論を開くことが決まりました。
おそらくその後、年末か年始に判決公判となる見通しです。

当会が指摘したとおり、この裁判が茶番であることが明らかになりました。サイボウとしては、ダメモトで裁判を起こし、最小限でも「処分場の稼動期限を現在の15年間から、大幅に引き伸ばしてよい」という条件を認めさせれば儲けもの。もし裁判所がサイボウの主張である「協定書の無効」を認め、県外からゴミを自由に搬入できるようにしてくれれば、御の字でしょう。市長は事前にこのことを知っている可能性が伺えます。だから、くだらない裁判に弁護士費用を投入することははばかったものと見られます。

■気の毒なのは、この茶番裁判に付き合わされている市の関係職員です。今からでも遅くないから、サイボウの違法行為を徹底糾弾して、サイボウが所有する最終処分場施設そのものを無効にすべきだと、準備書面できちんと主張してほしいものです。

【被告安中市の準備書面】**********
平成20年(行ウ)第6号  協定書無効確認請求事件
原告 サイボウ環境株式会社
被告 安中市
準備書面(1)
平成20年9月8日
前橋地方裁判所民事第1部 御中
   被告指定代理人 多胡 正
           真下 明
           吉田 隆
 被告は、本準備書面において、原告の平成20年8月6日付け原告準備書面(l)の第1及び第2について、必要な限度で反論する。
第1 第1に対する反論
1 原告は、安中保健所から廃棄物処理施設等設置構想書の承認をもらう段階で被告の了解が得られなければ不承認とされてしまうため、本心ではなかったが協定書を締結した。これは、事実上の.「強制」にあたり、違法な行政指導である旨主張する。
  また、廃棄物処理施設等設置構想書及び事前協議書の提出は、行政指導に基づく任意の手続に過ぎないため、取消訴訟を提起したとしても却下判決が下されるだけとしている。しかし、被告が意見書を提出した当特(平成6年2月18日)は、行政指導の基本原則等が定められた行政手続法が既に公布(平成5年11月12日)されており、施行(平成6年10月1日)が待たれるばかりの状況にあった。
  さらには、マンション建設事業主に対して、指導要綱による教育施設負担金納付の強制が、違法な公権力の行使であるとされた最高裁判例(平成5年2月18日)も出されていた。このため、被告と協定書を締結できないことに合理的な理由があるのならば、はじめに被告及び関係住民に十分に説明を行い、理解を求めるか、許可権者である群馬県の助言又は仲介を依頼して解決を図るべきであり、それでも協定書の締結を強制されたときは、廃棄物処理施設等設置構想書及び事前協議書の提出が、行政指導に基づく任意の手続に過ぎないと認識しているのだから、できるかぎりの努力をしたが事前協議に応じてもらえなかったことを理由に、直接、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)第8条に基づいて一般廃棄物処理施設の設置許可の申請を行うことも法的には可能な状況だったはずである。
2 原告は、被告が主張する各種事実は、他事考慮に他ならないとしているが、原告も認めるとおり、被告は廃掃法の許可権者ではない。許可権を盾に原告に協定書を締結させたわけではなく、意見書における条件の一つとして、県外からの一般廃棄物の搬入を認めないこととし、あわせて協定書の締結を求めたものである。
  また、被告の同意がなければ許可申請が進まず、実質的に認可権のー翼を担っているとしているが、被告は、許可権者である県知事に施設が設置される市の立場として意見を述べただけであり、この意見書をどう取扱うかについては、あくまでも県知事の裁量の範囲であって、従うかどうかは、原告の自由意思である。安中保健所長から調整を求められたときに、原告としては、一般廃棄物の県外搬入規制が、不合理なものであり、原告の営業を圧迫するため、条件から外すよう努力すべきだったのに、許可を急ぐあまり、この規制が原告に与える影響を深く考慮することなく協定に合意したというのが事実であり、被告が協定書を無理矢理締結させたわけではない。そして、平成19年度に処分場を開業する段階になって、群馬県内に一般廃棄物を搬入してもらえる自治体が少ないことを知り、急濾、協定書の見直しを求めてきたものである。
  このため、「行政サイドは先に結論ありきで、何を言っても受け入れなかった。結論を押しつけるのみであった。原告は、県外規制条項を外すべく、最大限の努力をしたが、その結果が、現状なのである。」ということは、明らかに事実と相違している。
  被告としても、県外搬入規制については、関係住民を始め、市議会に対しても既に説明をしてきたことであり、原告の営業上の理由のみでこれを変更することは、とうてい理解が得られるものではない。
3 一般廃棄物の自区内処理については、廃掃法第6条及び第6条の2において、市町村は、法に基づき自らが策定する一般廃棄物処理計画に従って、当該市町村の区域内における一般廃棄物を自ら処理する責任を有することが定められており、この解釈として、自らの責任で行うのだから、自らの責任又は権限が及ぶ自区内で処理するのが原則とされている(乙4号証)。なお、この例外として、人口密度・立地等の関係からどうしても自区内で処理できない市町村については、他区内での処理も認められているが、この場合も排出する市町村はもちろんのこと、それが自区内で処理される市町村もともに、一般廃棄物が適正に処理されるよう管理・統括する責任を負っている。
  このように、一般廃棄物は自区内処理が大原則であるが、例外として市域外で排出された一般廃棄物をどこまで受け入れるかについても、当該市町村が責任と裁量を有しているため、被告としては自区内処理原則を踏まえた市域外の線引きとして、搬入される廃棄物の迅速な調査が可能な範囲であり、群馬県から必要な技術的助言が得られる県内に限ったというものである。これは、今後増加が予想される大都市地域からの廃棄物の搬入を制限し、周辺住民の生活環境を保全するため、必要な事項であった。
  これを条例で規制しているならば、まだ議論の余地はあるが、行政契約である協定書により合意された事項であるから、法を逸脱した非合理性がない限りは、これを無効とすることはできない。
  なお、産業廃棄物ではあるが、被告が調査したところによれば、条例等により他県からの流入抑制を行っている都道府県は、全国で34道県もあり、都市圏を除く大多数の県が流入抑制している実態がある。これは県民感情を考慮することと不適正処理を防止する目的で、県民の生活環境の保全上の観点から条例等が制定されている。

第2 第2に対する反論
1 原告は、協定書に法的拘束力がない根拠として、福岡高裁平成19年3月22日判決を取り上げているが、その主張は、判決の本意とは、かけ離れている。当該裁判の一審判決においては、はっきりと公害防止協定の法的拘束力を認めており、福岡高裁判決にしても、公害防止協定そのものの法的拘束力を否定しているものではない(乙5号証)。福岡高裁が法的拘束力のない紳士協定としているのは「施設使用期限条項」のみであり、その理由として当該条項が許可を根本的に変容させるような本質的な部分に関わる条項であり、公害防止協定の基本的な性格・目的を逸脱するためとしている。本件協定書第3条の「県外規制条項」は、原告が主張するような許可そのものの運命を左右し、運営自体ができなくなるような条項ではなく、廃棄物処理の原則に則って、住民の生活環境の保全のため、施設に使用制限を加える条項であるから、これには当てはまらない。法令上に根拠がない公害防止協定事項は全て当該判決と同視するような原告の主張をそのまま採用すれば、全国各地で締結されている公害防止協定は何ら意味を有さないことになってしまう。むしろ、福岡地裁及び福岡高裁のどちらの判決も、公害防止協定を反古にする不誠実な企業の対応に対しては批判的であることを付言したい。
    証 拠 方 法
1 乙4号証 都市と廃棄物管理に関する調査研究報告(抜粋)
2 乙5号証 判例地方自治N0.304(福岡高裁平成19年3月22日判決及び福岡地裁平成18年5月31日判決全文)
    添 付 書 類
1 準備書面(1)副本 1通〔直送済〕
2 乙4号証及び5号証 各2通〔うち1通は直送済〕
3 証拠説明書     2通〔うち1通は直送済]

【証拠説明書】(内容省略)

【乙4号証の1】
都市と廃棄物管理に関する調査研究報告
 <廃棄物に関する都市政策研究会平成9年度報告>
平成10年3月
   全 国 市 長 会

【乙4号証の2】
第2章 都市自治体の廃棄物管理をめぐる主要課題
1.「自区内処理」の原則と広域処理のあり方
(1)「自区内処理」原則の原意
 国の内外を問わず、廃棄物の処理はできうるかぎりその排出地域に近いところで行うという、「自区内処理」の原則は、社会的合意となっている。わが国では、一般廃棄物の処理が市町村の責務とされていることから、一般には、一般廃棄物の処理は市町村の行政区域内で完結させる、という意味で使用される。海外では、「NIMBY(Not In My Back Yard:第1章2−(6)参照)」という言葉で表現されることが多い。・・・(以下省略)・・・

【乙5号証の1】
自治体の判例と情報「判例地方自治」No.304 平成20年7月号
 発行元:ぎょうせい 地方自治判例研究会/編集 No.384
○判例紹介(全7件)

【乙5号証の2】
判例自治304号 ページ35
産業廃棄物最終処分場使用差止請求控訴事件(福津市)
 公害防止協定のうち施設使用期限条項については法的拘束力を認めることができないとして、上記施設使用期限経過を理由とする市から産業廃棄物処分業者に対する産業廃棄物最終処分場使用差止請求が棄却された事例
・福岡地裁 平成19年3月22日判決
・産業廃棄物最終処分場使用差止請求控訴事件
・平成18年18年(ネ)第547号
・原判決取消・棄却・上告・上告受理申立
・原審福岡地裁平成18年5月31判決・平成16年(ワ)第568号(後掲)
(以下、内容省略)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律15条の2の5、福岡県産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防及び調整に関する条例(平成2年条例第20号)15条
《当事者》
控訴人 有限会社乙社(仮名、Y)
同代表者代表取締役 甲野 太郎(仮名)
同訴訟代理人弁護士 石渡 一史
同         野田部哲也
同         柳沢 賢二
被 控 訴 人   福間町承継人 福津市(X)
同代表者市長    池浦 順文
同訴訟代理人弁護士 三浦 啓作
同         奥田 邦夫
同         岩本 智弘
同         杉原 知佳
同         三浦 正道
<概 要>
《事案の概要》
産業廃棄物の処理業等を営むYは、山林、畑等77筆面積合計4万5468メートル(以下「本件各土地」という。)につき、B町との間で締結した平成10年9月22日付け公害防止協定(以下「本件協定」という。)に基づいて産業廃棄物最終処分場としての使用が認められていた。本件協定に基づく使用期限である平成15年12月31日が経過したにもかかわらず、Yが本件各土地を産業廃棄物最終処分場(以下「本件処分場」という。)として使用していたので、B町は、Yに対して、上記使用差止めを求める民事訴訟を提起した。なお、原審継続中になされた市町村合併により、X市がB町を承継した。
 一審の福岡地栽平成18年5月31日判決(後掲45頁)は、上記使用期限の経過を理由に、X市のYに対する上記請求を認容した。Yは、上記判決に不服であるとして控訴した。
(控訴審における当事者の主張)
控訴審における最大の争点は、本件協定に記載されている施設使用期限条項が法的拘束力を有しているか否かであった。上記最大の争点に関する当事者の主張は、以下のとおりである。
1 X市の主張
ア B町とYとの間で締結された平成7年7月26日付け公害防止協定(以下「旧協定」という。)は、本件処分場の使用期限をめぐってYとB町とが交渉した末、「平成15年12月31日まで」とする合意を見たものである。本件協定は、B町において、旧協定に代わる協定締結の必要性を説明し、Yから具体的な協定議案の提示を求められるなどの経緯を経て締結されたものである。
イ 一方、Yの代表者は、旧協定の締結当
・・・(なぜか36ページが開示されない。以下、偶数ページが同様に歯抜け)・・・・・・
 そうすると、施設使用期限条項は、産廃誘例15条が予定する協定の内容としては相応しくないものであり、同協定の本来的な効力としてはこれを認めることができない。この種の事柄は、知事の判断事項として知事の専権に委ねられているものというべきである。
2 Yが、本件処分場の変更許可申請をするに際して、B町との問で旧協定を締結したCは、産廃条例15条にその種の協定を締結することが予定されているからにほかならない。換言すれば、Yとしては、本件処分場についての変更許可を得るためには旧協定を締結するほかはなく、これを円満に締結するためには施設使用期限条項が盛り込まれることを受け容れるほかはないという状況下に置かれていたものというべく、当時、Yにとっては、それ以外の選択肢はなかったものといってよい(したがって、施設使用期限条項を、同協定と切り際して、これとは別個の合意であると解することもできない。)。もとより、産廃条例15条が予定する協定は、それが関係市町村(長)との間で締結される行政契約であるから、関係住民との間で締結される民事契約であるかに関わらず、双方当事者はともに誠実に締結しなければならず、その場しのぎのものであってはならないことは当然である。そうであれば、Yが旧協定に施設使用期限条が盛り込まれることを受け容れながら、今になって、その効力を否定するというのは、遺憾なことではある。Yとしては、旧協定締締のための折衝時に、施設使用期限条項は.同協定に相応しくないことをB町や関係住民に十分に説明し、それでも理解を得られないのであれば、産廃条例15条の規定するところに従い、生起し気に県知事の助言を得るべきであったものといわなければならない。このように、まるで手の平を返したかのようなYの態度には遺憾な点があることは否めないのであるが、そのことのゆえに上記1の結論を覆すというのも相当なことではない。
3 以上によれば、旧協定に施設使用期限条項が盛り込まれており、それが本件協定にも引き継がれているからといって、それに基づいてYの本件処分場の使用差止めを請求することはできないものといわなければならない。
 そうすると、本件協定のうち施設使用期限条項については法的拘束力を認めることができない。
<コメント>
1 度度処理施設の設置に関しては、その施設周辺の住民等から同施設の設置により生命・健康や
生活環境に重大な危険を及ぼすとの反対の声が起こり、産廃処理業者との間で激しい紛争が生じている。しかしながら、産業廃棄物の処理は社会にとって必要不可欠な事業でもある。そこで、廃棄物処理法は、廃棄物処理施設の設置及び変更については知事の許可を受けなければならないと定め(15条、15条の2の5)、その許可の基準等も法定し、さらに、生活環境の保全を全うするための規定も置いている(15条の2)。地方公共団体が産廃処理施設周辺の住民等のその設置に関する声を汲み上げて産廃処理業者との間で公害の防止を目的とする公害防止協定の締結が各地で見られるようになった。
2 公害防止協定の内容としては、@一定事項について地方公共団体と協議すること、A地方公共団体の指導・資料提出要求・立入調査に協力すること、B被害発生の場合に操業停止・改善等の措置を採ること、C操業に起因する損害を賠償すること等の義務を事業者に課する場合が多い。公害防止協定の法的性質については、法的効力がないとする紳士協定説、地方公共団体による公害防除ととらえる行政指導説、当事者間の合意により成立する契約とみて法的拘束力を認める契約説(この契約説は、更に私法上の契約説と公法上の契約説とに分かれる。)がある。しかし、協定の内容自体が千差万別であり、すべてを一括して、いずれかに性格づけることは困難である。
3 A県においては、以上の事態に対処するために産廃条例を制定し、その15条で「知事は、関係住民又は関係市町村の長が事業計画の実施に関し、設置者との間において、生活環境の保全のために必要な事項を内容とする協定を締結しようとするときは、その内容について必要な助言を行うものとする。」と規定している。
 B町は、産廃条例15条に基づいて、A県の助言を得てYとの間で本件協定を締結したが、同協定には本件処分場の使用期限条項が付せられていた
・・・(38ページが歯抜け)・・・・・・
平方メートル」から「5万3621平方メートル」と、容量を「88万4266立方メートル」から「102万9705立方メートル」とする旨の平成10年工月9日付け産業廃棄物処理施設変更許可を申請し(平成9年改正前の廃棄物処理法15条の2第1項。ただし、平成9年開法附則1弟1号、5条1項)、同年3月9日付けで申請内容どおりの許可(以下「第2回変更許可」という。)を得て、現在に至っている。
 オ 控訴人は、現在、本件処分場の一部に産業廃棄物を搬入するなどして、産業廃棄物最終処分場としてこれを現に利用している。(以上につき、争いがない、〔証拠略〕)
(3)福岡県産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防及び調整に関する条例(以下「産廃条例」という。)の制定とその内容
 福岡県は、産廃条例(平成2年条例娘20号)を定め、これを平成3年1月までに施行した(〔証拠略〕)。その主要な内容(ただし、平成7年改正前のもの)は以下のとおりである。
 2条9項 この条例において「関係市町村の長」とは、関係地域を管轄する市町村の長をいう。
 4条 市町村は、紛争の予防及び調整に関して県が行う施策に協力するとともに、その地域における生活環境の保全を図るため、自らも紛争の予防及び調整に努めるものとする。
 6条1項設置者は、産業廃棄物処理施設の設置をしようとするときは、(中略)事業計画書を作成し、知事に提出しなければならない。
   2項 事業計画書は、(中略)法(廃棄物処理法)第15条第1項の規定による届出(平成4年条例38号による改正後は「法(同上)第15条の2第1項の規定による許可の申請」)の前に提出しなければならない。
 7条1項 知事は、前条第1項の規定による事業計画書の提出があったときは、(中略)事業計画書に記載した地域を管轄する市町村の長(中略)に、事業計画書の写しを送付するものとする。
   2項 知事は、前項の規定により事業計画書の写しを送付した市町村の長の意見を聴いた上、事業計画書に係る関係地域を定めなければならない。
   3項 知事は、前項の規定により関係地域を定めたときは、速やかに、その旨を設置者及び関係市町村の長に通知するものとする。
 9条1項設置者は、(中略)次条第1項の説明会の開催に関する事項その他事業計画書の周知のために必要な事項を記載した計画書(周知計画書)を知事に提出しなければならない。
   2項 知事は、周知計画書の提出があったときは、速やかに、その写しを関係市町村の長に送付するものとする。
 10条1項 設置者は、(中略)関係地域内において事業計画書の説明会を開催しなければならない(以下略)。
 11条1項 設置者は、周知計画書に記載した説明会の開催等により事業計画書について周知を図ったときは、その実施状況について、(中略)報告書を知事に提出しなければならない。
   2項 知事は、前項の報告書の提出があったときは、当該報告書の写しを関係市町村の長に送付するものとする。
 15条 知事は、関係住民又は関係市町村の長が事業計画の実施に関し、設置者との間において、生活環境の保全のために必要な事項を内容とする協定を締結しようとするときは、その内容について必要な助言を行うものとする。
(4)第1回変更許可に至るまでの経過と平成7年7月26日付け公害防止協定の内容等
 ア 控訴人は、上記(2)イの届出に先立ち、昭和63年10月18日、宗像郡福間町大字本木区との間で公害防止協定書(〔証拠略〕)を取り交わし、上記届出に際して同協定書を福岡県知事に提出した。同協定書においては、本件処分場の使用期間については、「福岡県知事が許可した期間とする。」とだけ定められていた。
 イ 福岡県知事は、全廃条例が制定されたことから、その後、控訴人を合む各産業廃棄物処分業者に対し、同条例に定める手続を践むよう行政指導を行うようになった。これを受け、かねて、平成元年以降に買収した土地を本件処分場に組み入れてこれを拡張しようと計画(以下「第4次事業計画」という。)していた控訴人は、全廃条例の曳定に従った手続を履践することとした。
 ウ そこで、控訴人は、福岡県知事に対し、平成5年6月付けで、第4次事業計画に係る事業計画書を提出する一方、福間町長に宛てて、第4次事業計画に沿った場合の本件処分場の今後の運営につき、同処分場への埋立搬入は平成10年12月までとし、その後覆土復原仕上げ工事をして本件処分場から完全撤退する旨などを記載した、平成5年6月3日付け「本木処分場の今後の運営計画について」と題する書面を提出した。
 エ 福岡県知事は、上記事業計画書を平成5年8月11日付けで受理し、同年11月16日付けで、福間町長に対し、同事業計画書の写しを送付するとともに、福間町本木区等を関係地域に指定することにつき意見を求め、平成6年1月20日付けで、同町長に対し、上記意見のとおり関係地域を定めた旨を通知した(産廃条例7条2項)。
 引き続き、福岡県知事は、控訴人から、関係地域内における説明会の開催に関する事項が記載された平成6年
・・・(40ページが歯抜け)・・・・・・
(2)本件訴えの法律上の争訟性(同上)
(控訴人の主張)
 ア 本件協定のような公害防止協定は、地域全体の環境というもっぱら公的な利益を保護する旨の行政目的のために締結されるものであるから、私人間の純然たる契約とは異なり、行政契約の性質を有するものである。
 したがって、本件訴えは、地域の公害の防止、住民の健康保護及び地域全体の生活環境の保全という一般公益の保護を目的として行政上の義務の履行を求める訴えにほかならない。
 イ ところで、最高裁第三小法廷平成14年7月9日判決・民業56巻6号1134頁(以下「平成14年最判」という。)は、国又は地方公共団体が提起した訴えは、法規の適用の適正ないし一般公益の保護ではなく、自己の主観的な権利利益に基づき保護救済を求めている場合に限って法律上の争訟性を肯定することかできるとするものであるが、同最判の趣旨は、国又は地方公共団体において、公害防止協定等の行政契約を端緒とする場合を含め、行政権の主体として提起す・る訴訟全般にも妥当するものというべきである。
 ウ そうすると、本件訴えは、法律上の争訟に当たらないものであって、不適法である。
(被控訴人の主張)
 平成14年最判の事案は、地方公共団体が条例に基づく行政上の義務の履行を求めて提起した訴えの適法性が争われた事案である。
 しかるに、本件協定は二当事者間の民事上の契約であるから、同協定に基づく義務は上記「行政上の義務」には当たらない。すなわち、本件は、本件協定の一方当事者である福間町が他方当事者である控訴人に対し、本件協定に基づく義務の履行を求めるものであるから、平成14年最判は本件には妥当しない。
(3)本件協定ないし施設使用期限条項の法的拘束力
(被控訴人の主張)
 ア 旧協定は、本件処分場の使用期限をめぐって控訴人と福間町とが交渉した末、「平成15年12月31日まで」とする合意を見たものである。そして、本件協定は、福間町において、旧協定に代わる協定締結の必要性を説明し、控訴人から具体的な協定書案の提示を求められるなどの経緯を経て締結されたものである。
 イ 一方、甲野は、旧協定の締結当時、同協定は控訴人において守るべき約束である旨既に認識していたし、その後も福間町との協議の席上や福岡県に提出した平成13年9月18日付け確約吝(〔証拠略〕)において「(平成)エ5年には撤退する」とか「平成15年12月31日の時点で必ず撤去する」旨を述べていたのであるから、甲野において、控訴人には本件協定を遵守すべき法的義務があることを認識していたことは明らかである。
 ウ 以上によれば、本件協定は、控訴人と福間町問の契約として法的拘束力を有するものというべく、控訴人は、福間町に対し、同協定に基づき、平成15年12月31日経過後は本件処分泌を使用してはならない義務を負っている。
(控訴人の主張)
 ア 本件処分場は、平成5年12月の時点で埋立可能な容量の限界に達しており、それゆえに、控訴人にとっては、第4次事業計画について所定の許可を得る必要に迫られていた。その一方で、控訴人は、福岡県から、福間町との間での公害防止協定の締結を強く指導されており、上記許可を得るためには、公害防止協定の締結が不可欠の前提となっていた。控訴人は、もともと本件処分場に使用期限を設けることには反対であったが、上記のとおり窮地に立たされていた最中、当時の矢野久雄町長(以下「矢野町長」という。)から、平成15年12月31日を本件処分場の使用期限とするように強硬に求められ、やむなくこれを受け入れて旧協定を結んだものである。
 したがって旧協定は、控訴人の自由な意思に基づくものではないし、同協定中の施設使用期限条項は、控訴人の営業権や事業活動等を著しく不合理に制限するものであって、公序良俗に反する。
 イ また、矢野町長は、旧協定の締結へ向けた交渉や同締結後の町議会において、公害防止協定を指して紳士協定であるとか、施設使用期限条項は法的根拠のないものである旨発言していたのであるから、その旨の認識を持っていたはずである。
 ウ 仮に、旧協定や本件協定に法的拘束力が認められれば、廃棄物処理法において業者に対して何らの監督権限も認められていない市町村(長)に法令上の根拠なく産業廃棄物行政を行うことを許し、強行法規である同法に違反するとともにその潜脱を認めることとなる。
 エ 以上によれば、旧協定及びこれを受けて具体的な交渉を経ないまま事務的に調印されたものに過ぎない本件協定、なかんずく同協定中の施設使用期限条項には、法的拘束力はない。
(4)差止めの必要性
(被控訴人の主張)
 控訴人は、本件処分場について、産業廃棄物最終処分場としての埋立処分の終了及びその廃止へ向けた廃棄物処理法所定の手続を何ら履行していない。そうである以上、本件各土地の全部について、産業廃棄物最終処分場としての使用を差し止める必要性がある。
(控訴人の主張)
 控訴人は、原判決別紙物件目録記載5、7、19、21、25、34ないし37、39、44、46ないし52、54、57、59、61、68の各土地の全部又は一部については、既に産業廃棄物最終処分場としての使用を終了し、覆土・整地仕上げをして、地主に返還するなどしており、現時点では産業廃棄物の処分場としては使用していない。したがっ
・・・(42ページが歯抜け)・・・・・・
絡に応じたのは、本仲冬土地の周辺に居住する住民の生命・健康や同住民が安心して生活するために必要な環境を守らなければならないという責務を負っていたからにほかならないと・ころ、かかる責務は、本件冬土地及びその周辺を管轄する行政主体である福間町において引き受けているものであることは明らかである。
 そして、矢野町長は、旧協定の締結交渉の過程において本件各土地周辺住民の意見を踏まえ、これを代弁すべく控訴人との交渉に臨んだ上で同協定を締結し、もって、福間町の上記責務を全うしようと立ち働いたことが認められる(〔証拠略〕)。
(4)以上のとおり、旧協定の締結主体が福間町であるのか、それとも同町長であるのかについては多分に曖昧で、微妙な面もないわけではないが、上記(3)で見たところからすれば、旧協定は、町長において、行政主体である福間町を代表して締結したものであるか、あるいは、産廃条例上の文言に留意して協定の締結者は福間町長としたものの、それは福間町のために締結したものであると解するのが自然であり、そうであれば、いずれにしてもその効力は福間町に及ぶことになる。
 上記第2の3(1)の控訴人の主張は結局のところ採用することができない。なお、以下においては、旧協定の締結者は福間町であるものとして検討する。
3 争点(2)について
(1)ア 旧協定は、控訴人並びに福間町及び福岡県の各担当者において、産廃条例15条にいう「協定」として認識されていたものであることは明らかであるが、同条は、「協定]が締結される場合における県知事の助言・指導の余地を定めたものに過ぎず、これをもって旧協定そのものの法的根拠とすることはできないし、ほかに旧協定が特定の法令上の根拠に基づくものであることはうかがえない。そして、旧協定の協定書の前文及び末尾の体裁は前提事実(4)オのとおりであることをも考え併せれば、旧協定は、福間町と控訴人とが、自らの意思で締結した「契約」にほかならない。
 イ とはいえい日協定締結の重要な契機が産廃条例15条にあったこともまた明白であること、協定締結の当事者の一方が福間町という地方公共団体であること、その協定締結の目的は本件処分場の周辺住民の健康の保持と生活環境の保全といった公共の利益(ただし、それは、地域的にも人的範囲の面でも多分に限定されたものである。)の実現にあること、というような幾つかの特色があるのであって、これらの諸事情に鑑みれば、この契約は行政契約としての性格を有するものと解するのが相当である。
 ウ ところで、控訴人は、平成14年最判を援用して、上記第2の3(2)控訴人の主張欄のとおり主張する。
 しかしながら、同最判の事例は、地方公共団体において、条例に基づいて同地方公共団体の長が発した建築工事の中止命令に従わない名宛人を被告として、同建築工事の続行差止めを請求し、もって上記命令に基づく行政上の義務の履行を求めたものであるのに対し、本件は、契約(本件協定)に基づいて、一方の当事者である被控訴人(福間町)が他方の当事者である控訴人に対し、契約上の本件処分場の使用期限の到来を主張して本件処分場の使用差止を請求しているものであるから、平成14年最判の事例とは事案を大いに異にするものといわなければならない。
 もっとも、上記イで見たとおり、旧協定は行政契約の性格を有するものであるところ、一般論としては、行政契約に基づく義務の履行請求も行政上の義務の履行を求めるものにほかならないという場合もないとはいえない。しかし、産廃条例15条は、この種の協悒が、産業廃棄物処理施設を設置しようとする者と関係住民との間で締結される場合もあることをも予定しているのであり、その場合においては、協定締結の当事者がともに私人であること、協定締結の目的とされる関係住民の生命・健康の保持と生活環境の保全も、まさに協定締結の当事者である関係住民自身の権利そのものであること等からして、同協定は民事契約としての性格を有することは疑問の余地がない。そうであれば、旧協定が行政契約の性格を有するといっても、同種の協定が関係住民と設置者との間で締結された場合と対比しても、その差はまさに紙一重といった微妙なものにすぎないというべきである。したがって、福間町(被控訴人)の控訴人に対する本件請求をもって、直ちに行政上の義務の履行を求めるものであると解することはできない。
 また、平成14年最判の帰結は、地方公共団体等の行政主体の国民に対する義務履行請求を著しく制限するものであるから、その射程距離は極力控え目に解するべきであり、そのような観点からしても、本件のような場合についてまで同最判をそのまま当てはめるのは相当でないものといわなければならない。
 そうすると、控訴人の上記主張は採用することができない。
  (2)以上によれば、本件訴えは、福間町の権利義務を承継した被控訴人と控訴人との間における、契約に基づく権利義務ないし法律関係の存否をめぐる紛争にほかならず、かつ、法令の適用により終局的に解決することができるものというべく、これが「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)に当たることは明らかである。
4 争点(3)について
(1)産業廃棄物の処理については、これを業とする者(収集運搬業者、処分業者)は当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事(以下「知事」という。)の許可を受けなければならないこととされ(廃棄物処理法14条)、産業廃棄物処理施設(以下「産廃処理施設」という。)の設置・変更についても同様に知事の許可を要するものとされ(同法15条、同条の2の5)、知事は、産廃処理施設の改善を命じ、期間を定めて施設の使用の
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えを提起しないわけにはいかないというのも理解できないことではない。
 しかしながら、控訴人が、本件処分場の変更許可申請をするに際して、福間町との間で旧協定を締結したのは、産廃条例15条にその種の協定を締結することが予定されているからにほかならない。換言すれば、控訴人としては、本件処分場についての変更許可を得るためには旧協定を締結するほかはなく、これを円満に締結するためには施設使用期限条項が盛り込まれることを受け容れるほかはないという状況下に置かれていたものというべく、当時、控訴人にとって、それ以外の選択肢はなかったものといってよい(したがって、施設使用期限条項を、同協定と切り離して、これとは別個の合意であると解することもできない。)。もとより、産廃条例15条が予定する協定は、それが関係市町村(長)との間で締結される行政契約であるか、関係住民との間で締結される民事契約であるかに関わらず、双方当事者はともに賊実に締結しなければならず、その場しのぎのものであってはならないことは当然である。そうであれば、控訴人が旧協定に施設使用期限条項が盛り込まれることを受け容れながら、今になって、その効力を否定するというのは、遺憾なことではある。控訴人としては、旧協定締結のための折衝時に、施設使用期限条項は同協定に相応しくないことを福間町や関係住民に十分に説明し、それでもなお理解を得られないのであれば、産廃条例15条の規定するところに従い、正式に県知事の助言を得るべきであったものといわなければならない。
 このように、まるで手の平を返したかのような控訴人の態度には遺憾な点があることは否めないのであるが、そのことのゆえに上記(3)の結論を覆すというのも相当なことではない。
(5)以上によれば、旧協定に施設使用期限条項が盛り込まれており、それが本件協定にも引き継がれているからといって、それに基づいて控訴人の本件処分場の使用差止めを請求することはできないものといわなければならない。
 本件処分場の存続そのものに関わるような事項は、県知事において、諸般の事情を勘案した上で判断すべきものであり、被控訴人及び本件処分場の関係住民としては、廃棄物処理法15条の3に該当する事由があることを主張して、県知事に本件処分場をめぐる許可の取消しを求めるべきである(その場合に、本件協定に施設使用期限条項が置かれていて、同期限が既に到来しているという事情も、県知事が判断する際の考慮要素の一つとはなり得るかもしれない。)。そして、許可が取り消され、控訴人においてこれに承伏できなければ、控訴人が同処分の取消しを求めて行政訴訟を提起する成り行きとなるのであって、司法権の判断は、同訴訟の場においてなされることとなるものと解するのが相当である。
5 そうすると、本件協定のうち施設使用期限条項については法的拘束力を認めることができないから、被控訴人の控訴人に対する本件処分場の使用差止請求権は認められないものというべく、その余の点について検討を加えるまでもなく、被控訴人の本訴請求は理由がないというに帰する。
 以上の次第であるから、本件訴えは適法な訴えであるけれども(上記2、3)、本件請求は理由がないから棄却すべきである。これと異なり、被控訴人の請求を認容した原判決は失当であって、取消しを免れない。本件控訴は理由がある。
 (裁判長裁判宮西垣裁判官有吉一郎 吉岡茂之)

≪参考≫福岡地裁平成18年5月31日判決(平成16年(ワ)第568号)
【主文】
1 被告は、別紙物件目録記載の各土地につき、産業廃棄物を搬入もしくは処分するなどして産業廃棄物最終処分場として使用してはならない。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
【事 実】
第1 当事者の求めた裁判
 1 請求の趣旨
主文と同旨
 2 請求の趣旨に対する答弁
 (1)原告の請求を棄却する。
 (2)訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者の主張
 1 請求原因
 (1)原告は、福間町と津屋崎町が平成17年1月24日に合併してできた地方公共団体であり、旧福間町(以下、福間町という。)内には、被告の産業廃棄物最終処分場(以下、本件処分場という)が存する。
 被告は、土木工事請負業、残土処理及び産業廃棄物の処理等を目的とする有限会社である。
 (2)福間町と被告は、平成7年7月26日、本件処分場につき、公害防止協定を締結した(以下、旧公害防止協定という。)。
 (3)福間町と被告は、平成10年9月22日、本件処分場につき、旧公害防止協定と同趣旨の公害防止協定を締結した(以下、本件公害防止協定という。)。
 (4)本件公害防止協定12条は、「乙(被告)は、頭書記載の処理施設の概要に記載された面積、容量、使用期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならない」と規定している。
 本件公害防止協定の頭書には、「(処理施設の概要)」として次の記載がある。
「1 名称 有限会社乙社福間産業廃棄物最終
・・・(46ページが歯抜け)・・・・・・
を図る目的で締結されたものであることは認めるが、その余は否認する。
 平成11年11月ころから、本件処分場の観測井戸において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令及び本件公害防止協定書に定める「総水銀」の基準値を超える水銀が検出されている。
(3)同(3)の事実は不知ないし否認する。
(4)同(4)の事実のうち、福間町、宗像市、津屋崎町及び玄海町で構成する宗像清掃施設組合(一部事務組合)は、宗像市曲区所在の広域し尿処理施設「宗像浄化センター」について、・住民との施設設置に関する協定による使用期限(平成11年3月末日)が経過した後も、施設を使用し続けていることは認めるが、その余は否認する。
 住民との間で、平成20年9月末日を使用期限とする訴訟上の和解が成立している。
(5)同汲フ事実のうち、被告が調停を申し立てたが、不調になったことは認め、その余は否認する。
 福間町は、被告から、平成12年10月13日付の文書(〔証拠略〕)で公害防止協定について疑義があるので協議したいとの申し出を受けたことがあり、これに対し、福間町は、被告に対し、同年10月23日付の文書(〔証拠略〕)で、いかなる点に疑義があるかを文書で明示するよう求めたが、被告がこれに応じなかったため、協議に至らなかったものである。
(6)同(6)の事実は否認する。
 平成6年7月8日の福間町と被告間の話し合いにおいて、被告の方から、「早急に公害防止協定を締結したい。」と述べていたのであり、福間町が被告に対し、旧公害防止協定を押しつけたものでないことは明らかである。
 また、被告は、条例による規制ができないため、これを潜脱するために旧公害防止協定を締結したかのように主張しているが、当事者の合意である公害防止協定と条例とが異なるものであることは言うまでもない。
(7)同(7)は争う。
【理 由】
1 請求原因(1)ないし(4)の各事実は、いずれも当事者間に争いがない(なお、本仲冬土地は、合計77筆であり、証拠(〔証拠略〕)によれば、本件処分場の設置場所は、福間町大字本木〔番地略〕外76筆であることが認められるから、旧公害防止協定及び本件公害防止協定の処理施設の概要の設置場所に「福間町大字本木〔番地略〕外77筆」とあるのは、「福間町大字本木〔番地略〕外76筆の誤記」ではないかと考えられる。)。
 被告は、本件公害防止協定は、紳士協定に過ぎないから、法的拘束力はないし、特に、本件処分極の施設使用期限に関する条項には、法的拘束力がない旨主張するが、本件公害防止協定は、福間町と被告との間の合意として、法的拘束力を有するものであり、その中の本件処分場の施設使用期限に関する条項も法的拘束力を有するものというべきである。
 すなわち、上記争いのない事実、〔証拠略〕と弁論の全趣旨によれば、本件公害防止協定の締結に至る経緯、締結後の事情として、以下の各事実が認められる。
(1)被告は、昭和63年6月6日、福岡県知事に対し、産業廃棄物処理施設設置届(〔証拠略])を提出したが、地元住民の反対運動があったため、受理されず、福岡県知事は、地元との協定を締結するように指導した。そこで、被告は、昭和63年10月18日、・宗像郡福間町大字本木区と公害防止協定書(〔証拠略〕)を取り戈わし、これを福岡県知事に提出し、上記届出が受理されたいその後、被告は、本件処分場を使用していた。
(2)福岡県知事は、福岡県産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防及び調整に関する条例(平成2年福岡県条例20号、〔証拠略〕、以下、紛争防止条例という。)が制定された後、産業廃棄物処分業者に対し、行政指導として、産業廃棄物処分場所在の自治体との公害防止協定の締結を求めていたが、被告に対しても、福間町との公害防止協定書を提出することを要求した。被告は、平成4年7月、平成元年以降に買収した土地について、これを本件処分場に組み入れるために、紛争防止条例の規定する手続を履践しなければならなかった。
 そこで、被告は、福岡県知事に対し、平成5年4月20日、紛争予防条例に基づき、申請書(第4次事業計画書)を提出したが、担当者が補正等を求めたため、同年8月11日に至るまで正式に受理されなかった。そして、被告が迅速に手続を進めるよう求めたが、平成6年2月4日に至るまで関係地域を指定せず、福間町との協議、地域説明会等にも時間がかかってしまった。
 そのため、本件処分場は、埋立容量を超える状況となり、管理型産業廃棄物最終処分場許可地に建設汚泥が積み上げられた状態となり、被告は、福岡県知事から、平成7年2月1日付で、廃棄物の処理及び清掃に関する法律15条2項1号及び15条5項に違反するとして、本件処分場の使用の停止及び必要な改善を命ずる旨の命令(〔証拠略〕)を受けることになった。
(3).被告は、そのような中、福岡県知事の本件処分場の第4次事業計画の認可を受けるため、福岡県知事の行政指導に従い、福間町(当時の町長矢野久雄)との交渉を重ね、その間、福間町長宛に、平成5年6月3日付で「本木処分場の今後の運営計画について」と題する書面(〔証拠略〕)を提出し、その中で、「5.埋め立て搬入の終了期限は、平成10年12月までとします。その後覆土復原仕上げ工事をすべて終え、完全撤退します。」との計画を示す等した結果、平成7年7月26日、旧公害防止協定を締結した。施設使用期限は、福間町と被告の交渉
・・・(48ページが歯抜け)・・・・・・
が、公害防止の観点から交渉を重ねたうえで締結されたものということができ、その内容も、被告が公害防止のための具体的な措置を講じなければならないこと等を具体的に規定するほか、本件各土地を、産業廃棄物最終処分場として使用する期限につき具体的な日時を設定し、その後は使用をしないとの不作為義務を被告に課すものであって、被告代表者自身、厳しい条件であることを覚悟の上で、締結したのであり(厳しい条件であるとしても、これによって福岡県知事の認可を得ることが可能になるのであるから、被告にとっては、平成15年12月31日まで操業できるという利益があったといえる。また、そもそも、被告が本件処分場を設置するについても、本木区との協定の締結が必要だったのである。)、被告が福間町とそのような合意をすることに法律上の制約はないから、仮に、被告が福岡県知事の認可を受けるために、やむを得ず締結したものであるとしても、旧公害防止協定及び本件公害防止協定は、福間町と被告との間の契約として、法的拘束力を有するものというべきである(旧公害防止協定締結当時の福間町長である〔証拠略〕も、契約であり、法的拘束力を有しているとの認識を有していだ。)。
 被告は、旧公害防止協定は、地方公共団体である福間町が、―私企業である被告に対し、条例でその使用期限を制約することができないにもかかわらず、被告が、福間町と公害防止協定を締結しなければ、第4次事業計画の認可が得られず、本件処分泌について、事実上操業できない状態が継続する等の窮状にあることを奇貨として、無理矢理に使用期限を設定する協定を締結させたものであり、被告の自由な意思によるものではなく、また、福間町長は、被告に対し、紳士協定という言葉を用いたり、施設使用期限が来ても、埋立容量に達しない場合は、協定に定める事項に疑義を生じたときにあたるとして、協議し、延長すればよい等と言い、これを基礎づける条項が、旧公害防止協定書16条2項に設けられたため、被告は、これを信じ、旧公害防止協定の締結に至ったのであって、旧公害防止協定は、紳士協定に過ぎず、法的拘束力はないし、本件公害防止協定も同様である旨確々主張する。
 しかしながら、上記認定事実に照らすと、福間町が旧公害防止協定の締結を無理矢理に被告に押し付けたと認めることはできず、仮に、福間町長が紳士協定という言葉を使用していたとしても(なお、〔証拠略〕によれば、当時の福間町長は八日公害防止協定を公開しないとの被告との口頭の約束を指して紳士協定という文言を使用したに過ぎないものと認められる。)、これによって、直ちに旧公害防止協定の法的拘束力が否定されるものとは解されないし、旧公害防止協定書16条2項が被告の主張するような内容であると認めることも困難であり(施設使用期限につき、平成15年12月31日と定めているのであり、被告のいうような疑義が生じるとはいえない。)、さらに、被告代表者は、旧公害防止協定や本件公害防止協定の施設使用斯限の経週後は撤退する旨、本件公害防止協定の締結後に、何度も、福間町や福岡県に表明していたのであり、旧公害防止協定及び本件公害防止協定に法的拘束力がないと認識していたとは到底いえないから、この点につき、被告代表者は、「私は確かに最初から守らんでいいという気持ちで公害防止協定を結んだとは思ってませんよ。」と供述するところである。)、本件公害防止協定が法的拘束力を有するとの上記判断は左右されない。
2 請求原因(5)の事実のうち、被告が、平成15年12月31日が経過した後も、本件各土地の一部を産業廃棄物最終処分場として使用していることは、当事者間に争いがない。
 そして、原告の被告に対する請求は、本件公害防止協定という福間町と被告の合意に基づくものであり、しかも、〔証拠略〕によれば、被告は、本件各土地を最終処分場の設置場所として、産業廃棄物処分業の許可(廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条4項の許可)を得ていることが認められるのであるから、本件各土地の中で、現に産業廃棄物最終処分場として使用していない土地があったとしても、原告が被告に対し、平成15年12月31日の使用期限を超えて産業廃棄物の処分をしないとの合意に基づく債権的請求(債務の履行請求)として、本件各土地の使用禁止を求めることの妨げとはならないものと考えられる。
3 抗弁について
(1)抗弁(2)の事実のうち、本件公害防止協定は、本件処分場の設置に伴い、住民の健康保持と生活環境の保全を図る目的で締結されたものであること、同(4)の事実のうち、福間町、宗像市、津屋崎町及び玄海町で構成する宗像清掃施設組合(一部事務組合)は、宗像市曲区所在の広域し尿処理施設「宗像浄化センター」について、住民との施設設置に関する協定による使用期限(平成11年3月末日)が経過した後も、施設を使用し続けていること、同(5)の事実のうち、被告が調停を申し立てたが、不
調になったこと、以上の各事実は当事巷間に争いがない。
(2)上記1認定の事実のほか、〔証拠略〕と弁論の全趣旨によれば、以下の各事実が認められる。
 ア 平成11年11月ころから、本件処分場の観測井戸において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令及び本件公害防止協定に定める「総水銀]の基準値を超える水銀が検出されている。
 福岡県は、被告に対し、平成16年11月12日付で、「有限会社乙社に係る水質等調査結果について」と題する通知(〔証拠略〕)をしたが、その内容は、福岡県が平成16
・・・(このあとのページが見当たらない)・・・・

【乙5号章の3】
判例地力自治 平成20年7月号 通巻304号
平成20年7月1日発行(月刊)
 定価1,220円(本体1,162円)送料84円
 年極定価(1月号〜12月号、索引・解説号)15,860円

【9月8日安中市の起案用紙】
年度    平成20年度
文書種類  内部
文書番号  第12168号
保存年限  永年
受付年月日 平成20年9月4日 保存期限
起案年月日 平成20年9月4日 廃棄年度
決裁年月日 平成20年9月8日
分類番号  大0 中8 小2 簿冊番号1 分冊番号1
完・未完別 完結
簿冊名称  訴訟書類
完結年月日 平成21年5月31日
分冊名称  訴訟書類
施行区分  重要
公 開   1 非公開 時限秘( 年)部分秘 全部秘 2 公開
起案者   市民部環境推進課廃棄物対策係 職名 課長補佐 氏名 真下 明 内線(1121)
決裁区分  市長・岡田 部長・原田 課長・多胡 係長・真下 係・中曽根  公印−
関係部課合議 総務部長・秋山 秘書行政課長・鳥越  ※そのほかに「吉岡」の印あり
課内供覧   環境衛生係長・竹内
件名 協定書無効確認の訴えに対する準備書面(1)の提出について
 上記のことについて、別紙のように提出してよろしいか伺います(別紙 枚)
 このことについて、8月5日にFAXにて原告準備書面1が送付され、それに対する準備書面(1)及び関係書類を作成いたしましたので、前橋地方裁判所民事第1部宛提出してよろしいかイ司います。なお、あわせて答弁書の副本については原告訴訟代理人弁護士野村創宛にも送付したい。
   記
1.事件番号 平成20年(行ウ)第6号
2.管轄裁判所 前橋地方裁判所民事第1部
3.当事者
 (原告)群馬県安中市大谷1900番地1 サイボウ環境株式会社 代表取締役 結城剛
 (被告)安中市 代表者 安中市長 岡田義弘
4.指定代理人 市民部環境推進課 課長 多胡 正
        市民環境推進課廃棄物対策係 係長 真下 明
        総務部秘書行政課文書法規係 係長 吉田 隆
5.準備書面内容 別紙のとおり
6.口頭弁論期日  平成20年9月24日(水)午後3時30分
7.準備書面提出日 上記口頭弁論期日1週間前(平成20年9月12日)まで

【9月25日安中市の回議用紙】
年度    平成20年度
文書種類  内部
文書番号  第13437号
保存年限  永年
受付年月日 平成20年9月24日
起案年月日 平成20年9月24日
決裁年月日 平成20年9月25日
分類番号  大0 中8 小2 簿冊番号1 分冊番号1
完・未完別 完結
簿冊名称  訴訟書類
完結年月日 平成21年5月31日
分冊名称  訴訟書類                  l
施行区分  普通
公開    1 非公開 時限秘( 年) 部分秘 全部秘 2 公開
起案者   市民部環境推進課廃棄物対策係 職名 課長補佐 氏名 真下 明 内線(1121)
決裁区分    市長  部長   課長  係長   係            公 印 I
関係部課合議 総務部長・秋山 秘書行政課長・鳥越
課内供覧   環境衛生係長・竹内
件名 平成20年(行ウ)第6号協定書無効確認請求事件(第2回口頭弁論)
1 第2回口頭弁論                        、
(1)日時 平成20年9月24日(水)午後3時30分〜40分
(2)場所 前橋地方裁判所3階31号ラウンドテーブル法廷
(3)出席者 原告 野村創弁護士、高山和之取締役
       被告 多胡正、真下明、吉田隆(以上指定代理人)、原田勇市民部長
(5)裁判官氏名 (裁判長)小林敬子(裁判官)渡邉和義、青野卓也(書記官)米山哲雄
(6)内容
 裁判長から原告に対して証拠書類の甲第5号証の、差替えについて確認し了承する。原告から前回の和解勧告について、被告からの法廷外で連絡を受け和解できないとのことなので結審でお願いしたい旨の報告あり。市も持ち帰って上司と相談した結果和解に応じられない旨報告する。
 原告から、既に主張すべき点はないので、本日をもって弁論を終結してもらいたいとの要望が出され、裁判長より、被告はその他主張があるか聞かれたが、ない旨を回答する。しかし、裁判所としても、弁論終結の後に問題点が発生しても困るとの判断で、もう一度弁論の機会を設け、終結したいとの説明あり。
 裁判官から原告に対し法的拘束力に関し質問があり、原告としては、協定書に法的拘束力がないことの確認ができれば、協定書の無効まで踏み込まなくてもよいとの回答がなされる。
 次回日程について調整し、11月5日(水)午後4時から第3回口頭弁論を実施することが決定。


【岩野谷の水と緑を守る会】
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