2014/12/28  23:56

隣りの大国インドに比べ、格段に居心地の良い島国スリランカ(その1)  国内外からのトピックス

■インド亜大陸の南のインド洋に浮かぶスリランカは、北海道より一回り小さい島国で、面積は6.56万平方キロ。同じ島国の台湾の面積が3.59万平方キロなので、台湾の約2倍の面積になります。一方、人口は約2050万人で、台湾の約2300万人とくらべると若干少なめです。したがって、人口密度は台湾の半分以下となります。
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コロンボ市街の様子。



 首都は、クイズ番組でもよく取り上げられるほど、すぐには覚えにくいスリー・ジャヤワルダナプラコッテですが、ここはコロンボ市の中心部から南東約10キロのところにあり、要するにコロンボ郊外の緑地帯にある霞が関という感じです。
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スリー・ジャヤワルダナプラコッテの風景。左奥に国会議事堂が見える。

 この首都の名前にもなっている「ジャヤワルナダ」とは、1978〜1989年までスリランカの大統領を務めたジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ(1906年9月17日 - 1996年11月1日です。

 彼は、11人兄弟の長男としてセイロンの最高裁判所判事の息子として生まれ、キリスト教から仏教に改宗し、コロンボ法科大学で優秀な成績を修めて法律家となり、その後、1938年、セイロン国家機構 (CNC) の活動家となりました。1946年に国民連帯同盟へ加入し、1947年に初代蔵相として入閣、1951年には国連に蔵相として参加し、同年、サンフランシスコ講和会議にセイロン代表として出席しました。

 この時、ジャヤワルダナ蔵相が行った演説は、我が国の現在を方向づけた極めて重要な内容でした。彼は、「日本国の掲げた理想に独立を望むアジアの人々が共感を覚えたことを忘れないでほしい」と述べ、「憎悪は憎悪によって止むことなく、愛によって止む(hatred ceases not by hatred, but by love)」という仏陀の言葉を引用し、対日賠償請求権の放棄を明らかにするとともに、「日本を国際社会の一員として受け入れるべきだ」と訴えたのです。この演説は、当時我が国に対し厳しい制裁処置を求めていた一部の戦勝国をも動かしたとも言われ、その後のわが国の国際社会復帰への道につながるひとつの象徴的出来事として記憶されています。

 サンフランシスコ条約に先立ち、1946年5月から東京で開かれた極東国際軍事裁判いわゆる東京裁判では、インド代表判事として派遣されたカルカッタ出身のパール判事が「裁判の方向性が予め決定づけられており、判決ありきの茶番劇である」との主旨でこの裁判そのものを批判し、被告の全員無罪を主張しました。これは裁判憲章の平和に対する罪、人道に対する罪は事後法であり、罪刑法定主義の立場から被告人を有罪であるとする根拠自体が成立しないという判断によるものであり、日本の戦争責任が存在しないという主張ではありませんが、連合国側の一方的な論理で戦争責任を裁く不当性について批判をしたのが、南アジアの人たちであったことは、極めて注目すべきことです。

 とくに現在の日本の立場を方向づけたジャヤワルダナ蔵相の演説は、我々日本人にとって、語り継がなければならないと思います。

 このジャヤワルダナが初代大統領として1983年、スリランカの首都をコロンボから古都コッテへ遷都しました。その際、コッテがかつてジャヤワルダナと呼ばれていたことに加え、彼自身の姓をも絡めてスリー・ジャヤワルダナプラコッテ(輝ける勝利をもたらす町・コッテ)と改称したのでした。しかし、民族間の対立を抑えることはできず、奇しくもこの同じ年に、スリランカ内戦が勃発してしまいました。

■さて、話を元に戻しましょう。遷都の決定後、1985年に国会議事堂など一部の施設が移転しましたが、行政庁舎は旧首都に残ったままで、新首都とは名ばかりでした。スリランカの内戦が2009年にようやく収束してから、最近、スリー・ジャヤワルダナプラコッテに大きな総合庁舎が建設され、移転する省庁が徐々に表れ始めています。

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完成した総合庁舎。

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新たに建設中の総合庁舎。

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玄関ホールの大クリスマスツリー。

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内部の様子。

 この総合庁舎に行ってみましたが、各階ごとになじみのない名称の省庁名が書いてあります。スリランカには実にたくさんの省があることがわかります。電話帳(イエローページ)に載っている省庁名をアルファベット順に列挙してみます。

1.Agriculture(農業)
2.Botanical Gardens & Public Recreation(植物園・公共レクリエーション)
3.Budhasasana & Religious Affaires(仏教信仰・宗教問題)
4.Child Development & Women’s Affairs(児童発育・女性問題)
5.Civil Aviation(民間航空)
6.Co-operatives & Internal Trade(協同組合・国内交易)
7.Coconut Development & Janatha Estate Development(ココナツ開発・ジャナタ農園開発
8.Construction, Engineering Services, Housing & Common Amenities(建築・技術サービス・住宅・公共施設)
9.Culture and the Arts(文化・芸術)
10.Defence & Urban Development(国防・都市開発)
11.Disaster Management(災害管理)
12.Education Services(教育サービス)
13.Education(教育)
14.Environment and Renewable Energy(環境・再生エネルギー)
15.External Affairs(外務)
16.Finance & Planning(財政・計画)
17.Fisheries & Aquatic Resources Development(漁業・水産資源開発)
18.Foreign Employment Promotion and Welfare(海外雇用促進・福祉)
19.Health(保健)
20.Higher Education(高等教育)
21.Highways, Ports & Shipping(高速道路・港湾・海運)
22.Indigenous Medicine(伝統医療)
23.Industry & Commerce(産業・商業)
24.Investment Promotion(投資促進)
25.Irrigation & Water Resources Management(灌漑・水資源管理)
26.Justice(司法)
27.Labour & Labour Relations(労働・労使関係)
28.Land and Land Development(土地・土地開発)
29.Law & Order(法律・
30.Livestock & Rural Community Development(畜産・農村開発)
31.Local government & Provincial Councils(地方議会・州評議会)
32.Mass Media & Information(報道・情報)
33.Minor Export Crop Promotion(小規模輸出作物促進)
34.National Heritage(国家遺産)
35.National Languages & Social Integration(国語・社会統合)
36.Parliamentary Affairs(議会)
37.Petroleum Industries(石油産業)
38.Plantation Industries(プランテーション産業)
39.Postal Services(郵便)
40.Power & Energy(電力・エネルギー)
41.Private Transport Services(民間交通サービス)
42.Productivity Promotion(生産性向上)
43.Public Administration and Home Affairs(行政・総務)
44.Public Management Reforms(公共管理改革)
45.Public Relations & Public Affairs(公共関係・公共問題)
46.Rehabilitation & Prison Reforms(リハビリ・刑務所改造)
47.Resettlement(再定住)
48.Social Services(社会サービス)
49.Sports(スポーツ)
50.State Resources and Enterprise Development(国家資源・企業開発)
51.Sugar Industries Development(砂糖産業開発)
52.Technology, Research and Atomic Energy(技術・研究)
53.Telecommunication and Information Technology(通信・IT)
54.Traditional Industries & Small Enterprise Development(伝統産業小規模開発)
55.Transport(運輸)
56.Water Supply & Drainage(水供給・排水)
57.Wildlife Resources Conservation(野生動物保護)
58.Youth Affairs & Skills Development(青年問題・技能教育)
59.Secretariat for Senior Ministers(シニア大臣事務局)

■以上の通り、なんと60近くもあります。初代大統領時代にもすでに40数省庁存在していましたが、現在の大統領になってから急速に増えたそうです。その理由は、自分の身内を大臣に据えるためにポストを増やしたのだという現地の声を聴きました。

 パーキンソンの法則により、「仕事の量と役人の数には何の関係もなく、雇用される物の数は、その仕事が増えようが減ろうが、そんなことに関係なくひたすら増え続ける」という現象がここでも見られますが、大統領が率先して省庁を増やせば、歯止めが利かなくなるでしょう。実際に、スリランカの国家公務員の定員は約40万人(ちなみに日本では約64万人)、地方公務員(日本では約277万人)や公社などを含めると全部で100万人程度です。公務員の被雇用者数に占める割合は15%に上るといわれています。たしかにスリランカ国内を取材中、制服を着た職員らしき人たちを頻繁に見かけました。

 賄賂やコネも横行しているそうですが、安中市土地開発公社の51億円事件のような巨額横領事件は、スリランカの役人にとっても想像の範囲をはるかに超えることでしょう。

【ひらく会情報部・海外取材班・この項続く】

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