2015/8/25  23:30

知的障害者通所施設清涼園に係る虐待通報を受けた高崎市が群馬県にまだ虐待報告をしない理由  高崎市の行政問題

■市民オンブズマン群馬では8月21日に県庁12階の群馬県健康福祉部障害政策課を訪れました。この1年半の間に高崎市から同市内にある知的障害者通所施設清涼園に係る虐待について、通報があったかどうか確認するためでした。
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高崎市役所1階ロビーにある福祉部障害福祉課の窓口。


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 なぜなら、昨年3月以降、今年3月までに清涼園従事者だった関係者から3回にわたり、高崎市に虐待に関する通報があったことから、障害者虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律(平成23年6月24日法律第79号)の第17条に基づき、高崎から群馬県に報告があったと思われるからです。同法と第17条は次のとおりです。

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障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律
20150821_shogaisha_gyakutai_bousihou.pdf
(障害者福祉施設従事者等による障害者虐待に係る通報等)
第十七条  市町村は、前条第一項の規定による通報又は同条第二項の規定による届出を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該通報又は届出に係る障害者福祉施設従事者等による障害者虐待に関する事項を、当該障害者福祉施設従事者等による障害者虐待に係る障害者福祉施設又は当該障害者福祉施設従事者等による障害者虐待に係る障害福祉サービス事業等の事業所の所在地の都道府県に報告しなければならない
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■このことを群馬県の障害政策課に確認したところ、「第17条の条文に“厚生労働省令で定めるところにより”と記載されているが、これは障害者虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律施行規則の第2条のことを指している」という説明がありました。

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障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律施行規則
20150821_shogaisha_gyakutai_bousiho_sekoukisoku.pdf
(市町村からの報告)
第二条  市町村は、法第十六条第一項 の規定による通報又は同条第二項 の規定による届出を受け、当該通報又は届出に係る事実の確認を行った結果、法第二条第七項 に規定する障害者福祉施設従事者等による障害者虐待(以下「障害者福祉施設従事者等による虐待」という。)の事実が認められた場合、又は更に都道府県と共同して事実の確認を行う必要が生じた場合には、次に掲げる事項を当該障害者福祉施設従事者等による虐待に係る法第二条第四項 に規定する障害者福祉施設又は同項 に規定する障害福祉サービス事業等の事業所(以下「障害者福祉施設等」という。)の所在地の都道府県に報告しなければならない。
一  障害者福祉施設等の名称、所在地及び種別
二  障害者福祉施設従事者等による虐待を受けた又は受けたと思われる障害者の氏名、性別、年齢、障害の種類、障害支援区分(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 (平成十七年法律第百二十三号)第四条第四項 に規定する障害支援区分をいう。以下同じ。)その他の心身の状況
三  障害者福祉施設従事者等による虐待の種別、内容及び発生要因
四  障害者福祉施設従事者等による虐待を行った障害者福祉施設従事者等(法第二条第四項 に規定する障害者福祉施設従事者等をいう。以下同じ。)の氏名、生年月日及び職種
五  市町村が行った対応
六  障害者福祉施設従事者等による虐待が行われた障害者福祉施設等において改善措置が採られている場合にはその内容
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■つまり、群馬県の説明では、「高崎市がオンブズマンからの公開質問に対して、『提出された報告書の内容や本人からの聞取り調査からは、虐待と思われるような行為は見受けられなかったが、利用者に対する対応が不適切と思われるような箇所も見受けられたため、近日中に聞取り調査等の実施について予定している』と回答を寄せて来たのは、『虐待行為は見られないが、不適切な行為と思われる行為が見受けられた』と高崎市が判断していたことをうかがわせるから、この施行規則の観点からすると妥当だと思われる」という見解を当会に示しました。

 そこで当会では、「最初の通報から1年半も経過して、しかもその間、さらに2回も通報があり、最後には状況証拠について書面での提出もあったにもかかわらず、いまだに虐待がないが、利用者への不適切と思われる対応があったようなので、これから調査実施を検討する、という高崎市の対応は明らかに怠慢であり、ルール違反だ。だから、上級庁である群馬県から高崎市に対して、直ちに清涼園に立入調査をして当該通報に係る事実確認を行うよう指導してもらいたい」と強く申し入れました。

 なぜなら、一般住民が法律第17条を読めば、虐待の通報があった場合、市町村から県に報告し、事実確認の結果虐待が認められれば、追って詳細を報告し、虐待が認められない場合は、通報件数としてきちんと県が把握できるようにしなければならない、ということが容易に分かるからです。

■これに対して群馬県では、「今の説明だけでは状況がよくわからない」というので、当会は「当会のブログ記事をよく読んで参考にして、直ちに行動を起こしてもらいたい。そしてその結果を当会にも連絡してほしい」とお願いしました。

 群馬県では「さっそく高崎市に連絡をとってみる」との意向を示しています。

 ところで、施設従事者等による障害者虐待に関する通報があったあと、実態調査をしたら虐待ではないと判断された場合について、群馬県では「年度末にまとめて、通報があったが逆台と判断しなかった件数だけが市町村から報告されてくる」との見解をしめしました。

 そのため県では、今回の清涼園の虐待通報について、高崎市が虐待と判断しなかったことから、通報件数だけが報告されているのかもしれないが、通報内容については報告の義務がないため、清涼園についての通報なのかどうかさえ、分からない」というのです。

 これでは、せっかく虐待行為を見つけて市町村に勇気を奮って通報しても、市町村の判断次第でもみ消されてしまう余地が残ります。したがって、毎年度、厚労省がまとめて公表している「障害者虐待防止法対応状況調査報告書」には、通報や届出の件数がそれぞれ都道府県ごとに集計されていますが、昨年3月に行われた清涼園での虐待に関する高崎市への通報が、平成25年度版にきちんとカウントされているのかどうか、極めて疑わしいと言わざるを得ません。
※参考資料:平成25年度 障害者虐待防止法対応状況調査報告書↓
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12203000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Shougaifukushika/0000065135.pdf
※参考資料:平成25年度 障害者虐待対応状況調査〈障害者福祉施設従事者等による虐待〉(当会注:1頁に纏められており分かり易い)↓
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12203000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Shougaifukushika/0000065134.pdf
※参考資料:障害者虐待防止法の概要(当会注:障害者虐待の類型として「心理的虐待」も含む)↓
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12203000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Shougaifukushika/0000065136.pdf

■追記(2015年8月26日)
 たまたま、朝のNHKニュースで下関市の大藤園における虐待のその後の様子について報道されていました。その他の報道も併せてご覧ください。下関市でも高崎市のように最初は虐待の通報について、迅速なアクションがとられませんでした。マスコミで報道されて大騒ぎになってからは、それなりに対応しているようです。
 高崎市には、下関市のような受け身の体制ではなく、さらに率先して積極的な対応をとることが期待されています。

**********NHK NEWS Web 2015年8月26日 4時00分
山口・下関 利用者虐待の福祉施設を処分へ
 山口県下関市の知的障害者の福祉施設で元職員らが利用者に暴力をふるったり、暴言を吐いたりした問題で、下関市は虐待が行われたことが確認されたとして26日、運営する社会福祉法人に対して、新たな利用者の受け入れを1年間、停止する行政処分を行う方針を固めました。
 下関市の知的障害者の福祉施設、「大藤園」を巡っては施設内で職員が利用者に暴力をふるうなどの映像が明らかになり、元職員が利用者に暴力をふるったなどとして懲戒解雇されたほか、別の職員も利用者に暴行したり、暴言を吐いたりしたとして停職の処分を受けました。
 下関市は障害者総合支援法に基づいて、ことし6月、施設の立ち入り調査を行い、その後も利用者や保護者への聞き取り調査を行ってきました。その結果、下関市は「元職員ら3人による虐待が確認された」としたうえで、「これらの行為は著しく利用者の意思や人格を踏みにじるもので障害者総合支援法に違反している」として、社会福祉法人に対し、新たな利用者の受け入れを1年間停止する行政処分を行う方針を固めました。
 下関市は26日、正式に行政処分を決定したうえで記者会見を開いて詳しい内容を説明することにしています。

**********朝日新聞デジタル2015年8月26日12時42分
暴行事件の障害者施設、新規受け入れ停止 下関市が処分
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 知的障害者らが利用する山口県下関市の指定障害福祉サービス事業所「大藤園」での暴行容疑事件で、同市は26日、障害者総合支援法に基づき、同園を運営する社会福祉法人に27日から1年間、同園での新規利用者の受け入れを停止する行政処分をし、発表した。
 事件は昨年2月に発生。支援員の男(35)=懲戒解雇=が、同園で作業中だった知的障害がある利用者の男性(当時20)に暴言を浴びせながら胸ぐらをつかみ、額を3回平手打ちした暴行の疑いで今年6月、同県警に逮捕された。山口地検下関支部は同月、処分保留で釈放した。シールの束で別の利用者の頭をたたいたとして、別の支援員の男(55)=停職1カ月=も暴行容疑で書類送検された。
 市は「支援員の行為は利用者の意思や人格を侵害するもの」としたうえで、処分内容について「利用者が大藤園に通うことを望んでいることや、他の自治体の事例も参考にして決めた」と説明した。(上山崎雅泰)

**********共同通信2015年8月26日 12時58分 (2015年8月26日 13時01分 更新
虐待で受け入れ1年停止 下関市の障害者施設
 山口県下関市の指定障害者施設「大藤園」の通所者が職員から虐待された事件で、市は26日、施設利用者の新たな受け入れを1年停止する行政処分をした。市の調査で職員3人が通所者に暴言を吐いたり、頭をたたくなどの暴行をしたりしていたと確認した。
 障害者総合支援法上、国や自治体からの財政支援がなくなる指定取り消しも可能だが、市の担当者は26日の記者会見で、停止処分にとどめた理由を「ほかの処分事例を参考にした。利用者が大藤園での支援を望んでいることも考慮した」と説明した。
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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