2015/10/16  22:42

住民にとってはデメリットしかないマイナンバー制度のメリットを享受する官業癒着体質が露呈  他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件

■来年2016年1月からスタートするマイナンバー制度ですが、それに先立ち2015年10月5日から各住民に割り当てられた番号の配布が始まったようですが、51億円横領事件で103年ローンを支払い中の安中市からは、現時点ではまだ通知カードは送られて来ていません。これまで住基ネットで巨額の血税を浪費した上に、さらに多大な血税が投入され、ますます行政と関係業者との間の癒着による税金の無駄遣いが懸念されていましたが、案の定、とんでもない事件が発生しました。事件の舞台が、厚生労働省というのも象徴的です。


**********産経2015年10月13日 13:31
「マイナンバー」システムで収賄容疑 厚労省室長補佐を逮捕へ 警視庁
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警視庁に出頭する厚労省情報政策担当参事官室の中安一幸室長補佐=13日、さいたま市(橋本昌宗撮影)
 国民一人一人に12桁の番号を割り当てる「税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度」導入に絡むシステム契約を受注できるよう便宜を図った見返りに、現金を受け取った疑いが強まったとして、警視庁捜査2課が13日、収賄容疑で、厚生労働省情報政策担当参事官室の40代の室長補佐から事情聴取を始めたことが捜査関係者への取材で分かった。容疑が固まり次第、逮捕する。
 捜査関係者によると、室長補佐は平成23年秋、マイナンバー制度の導入に絡むシステムの契約を受注できるようIT関連業者に便宜を図った見返りに、現金約100万円を受け取った疑いが持たれている。
 関係者によると、室長補佐は3年に厚生省(当時)に入省し、医療・社会保障分野の情報化を推進。マイナンバー関連のシステム構築にも関与し、24年からは厚労省の情報政策を統括する情報政策担当参事官室に所属している。
 室長補佐は日本医療情報学会に所属し、国立大客員准教授も務めるなど、医療関係者やIT業者にも幅広い人脈がある。捜査2課は、室長補佐が情報政策に影響力がある立場を悪用して業者に便宜を図ったとみている。
 マイナンバーの導入には、政府側、民間側ともに大規模な情報システムの改築や、新規システムの立ち上げが必要とされる。1兆円規模の市場になるとの見方もあり、IT関連業者による受注合戦が繰り広げられている。
 マイナンバー制度は23年6月に民主党政権が「社会保障・税番号大綱」を決定し、25年5月、マイナンバー法が成立。今年9月には預金口座への適用などマイナンバーの活用方法をより詳細に定めた改正マイナンバー法が成立し、来年1月から運用が始まる。

**********産経2015年10月13日 13:44
「マイナンバー」システムで収賄容疑 厚労省室長補佐を逮捕 警視庁
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厚労省情報政策担参事官室の中安一幸室長補佐=13日午前、さいたま市大宮区(早坂洋祐撮影)
 国民一人一人に12桁の番号を割り当てる「税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度」導入に絡むシステム契約を受注できるよう便宜を図った見返りに、現金を受け取ったとして、警視庁捜査2課は13日、収賄容疑で、厚生労働省情報政策担当参事官室室長補佐、中安一幸容疑者(45)を逮捕した。
 捜査2課の調べによると、中安容疑者は平成23年秋、マイナンバー制度の導入に絡むシステムの契約を受注できるようIT関連業者に便宜を図った見返りとして、現金約100万円を受け取った疑いが持たれている。
 関係者によると、中安容疑者は3年に厚生省(当時)に入省し、医療・社会保障分野の情報化を推進。マイナンバー関連のシステム構築にも関与し、24年からは厚労省の情報政策を統括する情報政策担当参事官室に所属している。
 中安容疑者は日本医療情報学会に所属しており、国立大客員准教授も務めるなど、医療関係者やIT業者にも幅広い人脈を持っている。捜査2課は、中安容疑者が情報政策に影響力がある立場を悪用して業者側に便宜を図ったとみている。
マイナンバーの導入には、政府側、民間側ともに大規模な情報システムの改築や、新規システムの立ち上げが必要とされる。1兆円規模の市場になるとの見方もあり、IT関連業者による受注合戦が繰り広げられている。
 マイナンバー制度は23年6月に民主党政権が「社会保障・税番号大綱」を決定し、25年5月、マイナンバー法が成立。今年9月には預金口座への適用などマイナンバーの活用方法をより詳細に定めた改正マイナンバー法が成立し、来年1月から運用が始まる。

**********毎日新聞 2015年10月13日 13時49分(最終更新 10月13日 18時20分)
収賄容疑:厚労省室長補佐を逮捕 マイナンバー関連で便宜
 国民一人一人に番号を割り当てるマイナンバー制度に関連した事業の受注に便宜を図る見返りに現金を受け取ったとして、警視庁捜査2課は13日、収賄容疑で厚生労働省情報政策担当参事官室長補佐の中安一幸容疑者(45)を逮捕した。現金を渡したとみられる東京都内の経営コンサルタント会社の70代の男性役員については、贈賄罪の公訴時効(3年)が成立している。【宮崎隆、黒川晋史】
 捜査関係者によると、室長補佐は、将来的なマイナンバー制度導入に備えた社会保障分野でのシステム構築事業について厚労省が2011年10月に公募した企画競争で、コンサルタント会社側に便宜を図り、現金100万円前後を受け取った疑いが持たれている。事業はコンサルタント会社が受注し、11年11月に約7400万円で契約を結んだ。
 企画競争は、受注希望業者の提出した企画書を審査し、事業の委託先を決める入札の方式。一般的には、委託元が契約額などを事前に明示し、それに応じて受注希望業者が企画書を作る。
 関係者によると、室長補佐は1991年に旧厚生省に入省し、現在は情報政策担当参事官室で社会保障分野の情報化やマイナンバー制度に関する施策を担当。国立大学の客員准教授や日本医療情報学会の評議員も務め、医療分野での情報化を推進する立場で各地のシンポジウムにも出席していた。
 民間信用調査会社などによると、コンサルタント会社は90年に設立され、厚労省の他にも、経済産業省や総務省などの公共事業でコンサルタント業務などを受注している。厚労省の事業では09年1月〜15年6月に少なくとも6件を受注。受注総額は計13億円を超えている。
 ◇厚労省、汚職止まらず
 マイナンバー制度導入に備えたシステム構築事業の発注を巡り、警視庁が厚生労働省職員の捜査に乗り出したが、同省や外局の旧社会保険庁などでは職員による汚職事件が過去にもたびたび摘発されてきた。
 東京地検特捜部は89年、「リクルート事件」で未公開株を譲り受けたとして、元労働省(当時)事務次官を収賄容疑で逮捕。警視庁捜査2課は96年、特養ホーム建設の補助金交付に便宜を図った見返りに現金を受け取ったとして、元厚生省(同)事務次官を収賄容疑で逮捕した。
 中央省庁の再編で厚労省となった01年以降では、雇用対策助成金の申請を巡り、元愛知労働局の課長補佐が03年にあっせん収賄容疑で愛知県警に逮捕された。翌04年には、兵庫労働局の物品納入を巡り、神戸公共職業安定所の雇用指導官が収賄容疑で兵庫県警に逮捕された。
 09年に廃止された旧社会保険庁では、テレビCM発注を巡る収賄容疑で石川社会保険事務局元課長を逮捕(04年6月)▽保険料徴収に使う機器発注を巡る収賄容疑で社保庁課長を逮捕(同年9月)▽歯科医への診療報酬を巡る収賄容疑で社保庁指導医療官を逮捕(07年5月)−−と事件が相次ぎ、批判を浴びた。
 10年9月には、眼科診療所への指導・監査を巡る収賄容疑で厚労省課長補佐が逮捕された。同年12月には、年金給付手続きを教えた見返りに女性から謝礼を受け取ったとして、厚労省所管の特殊法人・日本年金機構職員が収賄容疑で逮捕された。【黒川晋史】

**********読売2015年10月13日 14時32分
マイナンバー巡り収賄容疑、厚労省室長補佐逮捕
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 今月5日に始まった共通番号(マイナンバー)制度を巡り、厚生労働省の室長補佐が、システム関連業務を受注したIT関連会社に便宜を図った見返りに現金を受け取っていた疑いが強まり、警視庁は13日、収賄容疑で室長補佐を逮捕した。
 贈賄側のIT関連会社はマイナンバー導入が決まった2011年以降、少なくとも5件、総額約12億円の業務を同省から受注していた。同庁は癒着の実態を調べる。
 逮捕されたのは、厚労省でITシステムの発注などを担当する政策統括官付情報政策担当参事官室の室長補佐の中安一幸容疑者(45)。
 捜査関係者によると、中安容疑者は11年秋、年金や医療など社会保障分野の番号制度(現在のマイナンバー)のシステム整備に関する2事業を東京都内のIT関連会社が受注できるよう便宜を図った見返りに、同社社長(当時)から現金約100万円を受け取った疑いが持たれている。

***********日テレニュース2015年10月14日 12:07
室長補佐“仕様書原案”贈賄側に作成させる
 マイナンバー制度に関連する贈収賄事件で、厚生労働省の室長補佐の男が、入札予定のシステムについて、厚労省で作成すべき「仕様書」の原案を、贈賄側のIT会社に作成させる便宜を図っていたことが分かった。
 警視庁は14日朝から、厚生労働省の家宅捜索を行っている。
 捜査関係者への取材で、14日朝に送検された厚労省の室長補佐・中安一幸容疑者(45)が、入札予定のシステムについて、厚労省で作成すべき発注の要望などを記載した「仕様書」の原案を、贈賄側のIT会社に作成させていたことが分かった。
 警視庁は、仕様書を作らせることで、入札で高い評価が得られる便宜を図ったとみている。
 厚労省によると、贈賄側の会社は今年度までに、逮捕容疑の2つを含む6つの事業で総額14億円以上を受注していた。
 逮捕容疑について、中安容疑者は自ら賄賂を要求した趣旨の供述をし、贈賄側の会社も同様の供述をしているという。

**********東京新聞2015年10月14日朝刊
マイナンバーで癒着 厚労省室長補佐を逮捕 100万円収賄容疑
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 住民一人一人に番号を割り当てる「マイナンバー制度」に絡み、厚生労働省発注の関連事業を受注した業者に便宜を図り、その見返りに百万円を受け取ったとして警視庁は十三日、収賄の疑いで、同省情報政策担当参事官室の室長補佐、中安一幸(かずゆき)容疑者(45)=さいたま市大宮区=を逮捕した。中安容疑者は、来年一月に利用が始まる制度のシステム構築に準備段階から関わっていた。国のシステムそのものへの信頼が大きく問われることになりそうだ。
 逮捕容疑では、二〇一一年十月、マイナンバー制度の準備段階として厚労省が発注した事業の入札で、東京都千代田区のIT関連会社に有利な取り計らいをした見返りに、同年十一月上旬、同社の前社長から一度に百万円を受け取ったとされる。
 捜査二課によると、中安容疑者は容疑を認めており、自ら賄賂を要求したとみられる。現金を手渡したとされる前社長は贈賄罪の公訴時効(三年)が成立している。
 この事業は、マイナンバー制度を導入する前段階で、年金や健康保険などの社会保障制度の情報連携を推進するためのシステム設計と、そのシミュレーションを行う内容だった。
 入札は、計六社の参加業者の計画書が省側の仕様書にいかに沿っているかを点数で評価する「企画競争入札」で行われた。
 中安容疑者は贈賄側業者だけに、本来国が作るべき仕様書の原案をひそかに作らせる便宜を図り、業者は原案に基づく計画書を提出し、高評価を得て契約が決まった。
 業者は、システム設計が約一億四千万円、シミュレーションが約七千万円の計約二億一千万円で受注した。
 中安容疑者の逮捕を受け、同省の田中誠二人事課長は会見し「事実であれば極めて遺憾な事態。国民の皆さまに深くおわびします」と謝罪した。
<マイナンバー制度> 赤ちゃんからお年寄りまで国内に住民票がある人に12桁の番号を割り当て、税と社会保障、災害関連などの行政事務を効率化する制度。社会保障関係の申請の際には住民票が不要になるなど、手続きが簡素化されるメリットがある一方、住民への監視強化や個人情報流出を懸念する声もある。

★マイナンバー発送開始直後 揺らぐ信頼 情報政策の第一人者
 「マイナンバー制度には多大な税金が投入され、一部業者と行政側との癒着につながる構造があり、心配だった。収賄容疑が事実なら行政側がマイナンバーを利権にしており、制度そのものへの不信感を持たざるを得ない」
 今月五日、マイナンバーの番号を知らせる「通知カード」の発送が始まった直後に発覚した今回の汚職事件。市民団体「共通番号いらないネット」事務局の宮崎俊郎さん(54)=横浜市南区=は取材に語気を強めた。
 厚生労働省によると、収賄容疑で逮捕された中安容疑者は兵庫県の高校を卒業後、一九九一年に国立療養所(現国立病院機構)兵庫中央病院の事務職に就職。二〇〇五年以降は厚労省の情報政策部門に籍を置き、情報技術(IT)に詳しい人材と評価されていた。三つの大学で無報酬の非常勤講師も兼務し、昨年度は週の半分足らずしか厚労省に出勤していなかったという。
 マイナンバー法が成立した一三年五月の二カ月前には、複数の大学でつくる研究会の場でマイナンバー制度について「社会保障給付の申請、届け出などの負担が軽くなる」などとメリットを強調するなど、学会や専門家の研修会などでたびたび講演していた。
 今回の事件とは無関係のIT関連会社「ハミングヘッズ」(東京都中央区)のインタビューでも、国が国民一人一人の年金や健康保険などの社会保障費を一括管理する重要性を強調し、ホームページ(HP)で紹介されていた。
 中安容疑者を知る東海地方の大学病院の関係者は「この分野では第一人者。法律も分かっていて政策を知っている。民間を指導する能力もあった」と話す。
 国民らを番号で管理するシステム構築の準備が、専門的な知識を持つ一部の役人に委ねられ、そこにまた専門性を売り物にする業者が金を渡した上で進められてきたとされる闇は深い。中安容疑者は本体システムづくりにも深く携わってきた。
 ジャーナリストの大谷昭宏さんは「マイナンバー制度で国民は何の利益も得られず、企業も番号管理に悩んでいる。(容疑が事実なら)国民に負担を強いておきながら、国が利便性を得て役人が金をもらったり、新しい仕事ができたりするという、この国の政策の姿が図らずも露呈した」と指摘している。

**********産経2015年10月14日14:00
【マイナンバー汚職】医療&ITに精通した「異能のノンキャリ」 派手なブランド服で身を固め…
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警視庁に出頭する厚労省情報政策担当参事官室の中安一幸室長補佐=13日、さいたま市(橋本昌宗撮影)
 収賄容疑で逮捕された中安一幸容疑者は、ノンキャリアながら民間の医療関係者やIT関係者に太いパイプを持ち、その服装や言動などから「異能の官僚」とも呼ばれた。
 13日朝、ウエーブのかかった髪に鼻まで下がった眼鏡。白いジャケットで警視庁に出頭する中安容疑者の姿は、およそ一般的な官僚のイメージとはかけはなれた姿だった。
 中安容疑者は高校卒業後の平成3年、国立病院の事務官として採用され、17年に係長として厚生労働省の本省に転任。19年以降は部署間を大きく異動することはなく、システムの導入や企画立案を担当した。医療分野のIT化の旗振り役として、政府の医療情報政策を主導してきた。
 「情報を電子化することで将来の医療の質は間違いなく高まるはず」。雑誌のインタビューにもこう持論を展開した。大学の客員准教授を務めるほか、贈賄側のIT関連会社なども入っていた産官学による研究団体にも所属していた。
 中安容疑者と一緒にシンポジウムのパネリストを務めたことがあるIT業界の関係者は「自分の考えを持って明快に説明していくことから業界内にファンも多かった」と振り返り、「厚労省の中でも医療とITに関する一番の専門家と聞いていたが、まさかこんなことになるとは」と話す。
 だが、省内では別の側面も見せていたようだ。
 ある厚労省職員は、中安容疑者がワインレッドのシャツに黒のネクタイ、くるぶしまでの長いトレンチコートと高級ブランドで身を固めた姿で省内を歩いていたことを覚えている。「金回りがいい人だな」。この職員はそう感じたという。
 「外にもパイプがあるので、いつでも役所は辞められる」「自分に近い国会議員もたくさんいるし、人脈は持っている」。同省の中堅官僚によると、中安容疑者は口癖のように周囲にそう吹聴。「勉強家だが、野心家でもあった」と振り返る。
 情報技術にも詳しく、マイナンバー制度に消極的な上司に対しても、積極活用を強く主張していた中安容疑者。一緒に数回、仕事をしたことがあるという厚労省職員は「能力が高く、代わりの人材がいないからずっと同じ部署に置かれていたのだろう。上司も彼があまりにベテランで、逆らえない雰囲気があったのではないか」と推測している。

**********読売2015年10月14日 14時31分
マイナンバー汚職、タクシー券も百万円超受領か
 共通番号(マイナンバー)制度を巡る贈収賄事件で、厚生労働省情報政策担当参事官室室長補佐の中安一幸容疑者(45)(収賄容疑で逮捕)が、贈賄側のIT関連会社「日本システムサイエンス」(東京都千代田区)側から現金だけでなく、少なくとも百数十万円分に上るタクシー券も受け取っていたことが、捜査関係者への取材でわかった。
 現金やタクシー券の授受を繰り返す過程で癒着を深めていったとみられ、警視庁で詳しい経緯を調べている。
 同庁は14日朝、容疑を裏付けるため、東京・霞が関の厚生労働省に捜索に入った。
 捜査関係者によると、中安容疑者とシステムサイエンス社の元社長は約10年前に仕事を通じて知り合った。その後の2007年4月、中安容疑者はIT分野を担当する同省社会保障担当参事官室に配属されたが、この頃からタクシー券をもらうようになったという。

**********読売2015年10月14日 15時34分
厚労省ITの「頭脳」捜索…マイナンバー汚職
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厚労省に捜索に入る警視庁の捜査員(14日午前、東京・霞が関で)=三浦邦彦撮影
 共通番号(マイナンバー)制度を巡る贈収賄事件の舞台となった厚生労働省に14日朝、警視庁の捜索が入った。
 収賄容疑で逮捕された同省情報政策担当参事官室室長補佐・中安一幸容疑者(45)が勤務していた同室は、省内のIT分野を取り仕切る「頭脳」。この日、室内は立ち入りが禁止され、緊迫した雰囲気に包まれた。
 捜索が行われたのは、同室などがある東京・霞が関の合同庁舎11〜12階。午前8時半頃、警視庁の捜査員約20人が省内に入ると、周囲は防火戸で閉め切られ、出勤してきたばかりの同省職員らが遠巻きに様子を見つめた。
 同省によると、贈賄側のIT関連会社「日本システムサイエンス」(東京都千代田区)は2008〜15年度にマイナンバー制度関連の6事業(計約14億4700万円)を受注。いずれも中安容疑者が所属する部署が発注を担当した。

**********日刊ゲンダイ2015年10月15日
マイナンバー収賄で逮捕 厚労省ノンキャリ室長補佐の“素性”
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こんな状態でスタートさせて大丈夫なのか?(C)日刊ゲンダイ
 マイナンバー制度をめぐる汚職事件で、収賄容疑で逮捕された厚労省情報政策担当参事官室室長補佐、中安一幸容疑者(45)。都内のITコンサル会社に入札で便宜を図った見返りに賄賂を要求、受け取った額は2011年から計数百万円に上るとみられている。
 中安容疑者は兵庫県出身。高校を卒業後、1991年に神戸市にある国立病院の事務官として採用された“ノンキャリ”だが、現在は各地で講演もしたり、北大大学院の客員准教授も務めていた。
「主に医療情報のIT化に携わり、05年に本省の係長に就任。“ITのプロ”として省内でも一目置かれ、医療関係者やIT業者など省外にも顔が広かった。高飛車な性格で、ワインレッドのシャツにごつい指輪をはめ、省内を闊歩。上司も何も言えなかったそうです。12年からマイナンバー制度のシステム構築に関わっていました」(厚労省関係者)
 贈賄側のコンサル会社社長は、そんな中安容疑者の人脈のひとりで、5年ほど前から付き合いがあった。
「贈賄についてはすでに時効ですが、コンサル会社は09年1月から今年6月までに6件、総額14億4700万円を厚労省から受注していました。昨年の売り上げが2億4000万円の会社ですから、中安サマサマでしょう。厚労省以外に経産省、総務省、内閣府とも“取引”していただけに、問題が“飛び火”する可能性もあります」(捜査事情通)
 中安容疑者の自宅はJR大宮駅から車で10分ほど。敷地面積約40坪の一戸建てで、近隣住民によると、中安容疑者はバツイチ、いまは再婚した妻と3歳の娘の3人暮らしだった。
「引っ越してきたのは十数年前ですが、3、4年前から髪を伸ばして後ろで束ね、ヒッピーみたいな派手な服装をするようになった。てっきりホストだと思っていました。まさか官僚とはねえ」(近隣住民)
 中安容疑者はワイロとして受け取ったカネをカードやローンの支払いなどに充てていたようだ。
 厚労省は昨13日の会見で「(中安容疑者は)マイナンバーの具体的なシステム設計をしているわけではなかった」などと、事件による制度への影響を否定したが、とてもうのみにはできない。
「個人情報を暗号化する優れた技術があっても、“ヒューマンエラー”があれば流出は防ぎようがない。マイナンバー制度にも“穴”があることを行政側が自ら“証明”してしまったような事件です」(ITジャーナリスト・井上トシユキ氏)
 のっけからグダグダで大丈夫なのか?

**********東京新聞2015年10月14日夕刊〜15日朝刊
さらに数百万円受領か マイナンバー収賄容疑の厚労省職員
100万円超タクシー券も
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マイナンバー制度導入に絡む汚職事件で、家宅捜索のため厚労省に入る捜査員ら=14日午前8時32分
 住民一人一人に番号を割り当てる「マイナンバー制度」の導入に絡んで厚生労働省が発注した関連事業をめぐる汚職事件で、収賄容疑で逮捕された厚労省室長補佐、中安一幸容疑者(45)が、贈賄側のIT関連会社(東京都千代田区、時効成立)から逮捕容疑となった百万円以外にも数百万円を受け取った疑いがあることが捜査関係者への取材で分かった。警視庁は、賄賂にあたるかどうか捜査を進めている。
 さらに、中安容疑者が二〇一〇年以降、百枚以上のタクシーチケットを贈賄側から受け取っていたことも判明した。
 利用したタクシーチケットの総額は少なくとも百数十万円に上り、警視庁は中安容疑者が都内から、さいたま市大宮区の自宅に帰る際、頻繁に利用していたとみている。同庁は十四日、同省を捜索し、中安容疑者を送検した。
 中安容疑者の逮捕容疑では、二〇一一年十月、マイナンバー制度の準備段階として同省が発注した二事業の入札で、同社に有利な取り計らいをした見返りに、同社前社長から百万円を受け取ったとされる。
 捜査関係者によると、中安容疑者は容疑を認めており、受け取った金を家のローンや月々のカード支払いなどに充てていたという。
 中安容疑者の逮捕容疑では、一一年十月、マイナンバー制度の準備段階として厚労省が発注した二事業の入札で、IT関連会社に有利な取り計らいをした見返りに、同社の前社長から百万円を受け取ったとされる。
 同社がマイナンバーの導入が決まった二〇一一年以降、一二年八月〜今年六月、三件の関連事業を約十億一千万円で受注しており、これらを含め、少なくとも厚労省発注の五件の業務を総額約十二億二千万円で受注していた。逮捕容疑を含めたこの五件の事業は中安容疑者が統轄していた。
 五件の入札は、参加業者の計画書が厚労省の仕様書にいかに沿っているかを点数で評価する「企画競争入札」で行われた。
 本来仕様書は、本来、厚労省側が作成して業者に提示するが、汚職の舞台となった一一年の二事業では、中安容疑者が贈賄側業者にひそかに仕様書を作成させた上で、贈賄側業者がそれに沿った計画書を提出し、入札を有利に進めたとされる。警視庁はほかの三件の入札の経緯についても調べている。
 日本システムサイエンスの担当者は本誌の電話取材に「一切答えられない」と話している。
 信用調査会社によると、贈賄側の同社は一九九〇年設立で社員十五人、資本金三千万円。取引先は厚労省のほか、経済産業省などの官公庁に特化していた。
★業者の契約解除検討
 厚生労働省発注のマイナンバー関連事業をめぐる汚職事件で、同省が、事件に関わったとされる「日本システムサイエンス」が今年六月に受注した約六億円の関連事業について、契約解除を検討していることが分かった。同省幹部が十四日、民主党に説明した。
 この事業はマイナンバー制度導入後のシステム改修に関する研究で、来年度までの二年間で行われる予定だった。
 また同社は二〇一一年以降、中安一幸容疑者が所属する部署が発注した五件の事業を総額約十二億二千万円で受注していたが、それ以前の〇八、〇九年にも二件受注していたことが判明。中安容疑者が所属する部署が発注した事業を計七件、総額約十五億円で受注していたことになる。

**********NHK NEWS Web 2015年10月15日 17時40分
厚労省汚職 ほかに数百万円受け取ったか
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 マイナンバー制度の導入に向けた厚生労働省のシステム設計などの業務を巡る汚職事件で、収賄の疑いで逮捕された室長補佐が、贈賄側の会社からほかにも現金数百万円を受け取っていた疑いがあることが警視庁への取材で分かりました。警視庁は、現金の趣旨について慎重に調べるとともに、いきさつを捜査しています。
 この事件は、厚生労働省情報政策担当参事官室の室長補佐、中安一幸容疑者(45)が、平成23年、マイナンバー制度の導入に向けた医療分野のシステム設計などの業務を巡り、都内の情報関連会社に便宜を図った見返りに、現金100万円を受け取ったとして収賄の疑いで逮捕されたものです。
 これまでの調べで、中安室長補佐は、100万円をカードの支払いなどに充てていたとみられるほか、複数回、飲食の接待も受けていたことが分かっています。
 その後の調べで、中安室長補佐が、会社側からほかにも現金数百万円を受け取っていた疑いがあることが分かりました。
 さらに、タクシー券も繰り返し受け取り、帰宅する際などに使っていたとみられ、総額は100万円以上になるということです。
 警視庁は、これらの現金などについて、何らかの便宜を図ったことへの見返りかどうか、趣旨を慎重に調べるとともに、いきさつを捜査しています。

**********北海道新聞2015年10月16日08:55社説
マイナンバー 汚職が募らせた不信感
 来年から運用が始まるマイナンバー制度のシステム整備事業発注をめぐり、収賄容疑で厚生労働省の現職室長補佐が逮捕された。
 東京都内のIT関連会社の受注に便宜を図った見返りに、現金100万円を受け取った疑いだ。
 制度は、個人情報の漏えいや不正利用の疑念が拭えない上、この時期になっても国民への周知が遅れている。巨額の税金投入に反発も強い。容疑が事実ならば、国民が抱く不信感はますます強まる。
 にもかかわらず、厚労省からは危機感が伝わってこない。事件を警察任せにせず、自ら汚職の経緯や原因を徹底的に究明して、再発防止に向けて襟を正すべきだ。
 室長補佐は情報政策担当参事官室でマイナンバー制度などに関する施策を担当。省内でもずばぬけたIT知識を持っていたという。
 汚職の対象となった2事業は、受注の要件を定めた国の仕様書をもとに業者側が企画書を提出し、国がそれを審査して委託先を決める企画競争入札だった。
 室長補佐は、国が準備する仕様書をこのIT関連会社に作らせ、受注を有利にさせるなど便宜を図った疑いが持たれている。
 2事業の受注額は計2億1千万円だった。しかし、同社はこのほかにも厚労省の業務を4件計12億円余で受注している。
 いずれも室長補佐の部署が発注した事業だ。これらの業務に関連し、数百万円の賄賂や多額のタクシー券を受け取った疑惑もある。
 調べに対して「自分から金を要求した」と供述しているという。その通りであれば公務員のモラルを大きく失墜させる行為だ。
 問題なのは、長年情報政策の仕事を任せ続けた点だ。厚労省は通常、1〜3年程度で人事異動を行うが、制度に精通する室長補佐は8年以上、同じ部署に所属した。
 代わりの人材がいないという理由だが、結果的にこれが癒着の温床となった。厚労省の責任は大きい。
 厚労省幹部は「事件は制度そのものと直接関係がないので、運用にはそれほど影響はないだろう」とする。大きな勘違いだ。
 国民のプライバシーを扱う制度である以上、情報管理体制の強化と慎重な制度運用は欠かせない。
 そうでなくても「見切り発車」と批判する声が強いのに、今回の汚職事件は制度に対する信頼をさらにおとしめてしまった。
 厚労省が事件のウミを出し切り厳正に対処しない限り、国民の理解は得られないだろう。

**********読売2015年10月16日
マイナンバー汚職で逮捕の厚労省職員 事業再委託を浦添市に要求
 共通番号(マイナンバー)制度を巡る汚職事件で、厚生労働省情報政策担当参事官室室長補佐の中安一幸容疑者(45)(収賄容疑で逮捕)が2008年、同省のモデル事業を受託した沖縄県浦添市の幹部に対し、贈賄側のIT関連会社「日本システムサイエンス」(東京)に事業を再委託するよう要求していたことが、市関係者への取材で分かった。同市は実際に事業を同社に再委託していた。中安容疑者は同社と密接だったといい、警視庁で解明を進める。
 同省などによると、モデル事業は、病院や薬局、スポーツジムなどが利用者の健康に関する情報を共有し、効果的な治療や指導を行うなどの内容。08年3〜4月に公募型企画競争が行われ、浦添市が計約4億3200万円で受託し、10年度までの3年間実施した。
 中安容疑者は08年3月まで、IT分野を担当する社会保障担当参事官室と併せ、医政局研究開発振興課にも所属。同課の業務として、モデル事業の企画立案などを担当していた。
 当時の浦添市の担当者によると、市が事業を受託した直後の08年4月下旬頃、中安容疑者から電話があり、「システムサイエンス社が入ることは既に決まっている。使ってくれ」などと要求されたという。これを受け、市は同8月、公募型企画競争に唯一応募してきた同社に、受託額とほぼ同じ計約4億3000万円で事業を再委託した。

**********東京新聞2015年10月15日 朝刊
マイナンバー1兆円市場 IT特需に癒着の温床
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 住民一人一人に番号を割り当てる「マイナンバー制度」導入に関連する厚生労働省の発注事業を舞台にした汚職事件は、一兆円規模とされる「マイナンバー市場」の旗振り役の官側と、そこに食い込もうとする中小のIT企業の暗部を浮き彫りにした。業界が特需に沸く中、専門家は「今後も官民の癒着の温床となる恐れがある」と指摘する。 (マイナンバー汚職事件取材班)
 厚労省情報政策担当参事官室の室長補佐中安一幸容疑者(45)=収賄容疑で逮捕=に二〇一一年十一月、百万円を贈ったとされるのは、東京・平河町にあるIT関連会社「日本システムサイエンス」。
 社員十五人、資本金三千万円の同社は、中安容疑者が統括した二件のマイナンバー導入の関連事業を計約二億一千万円で受注した。信用調査会社によると、前年まで二百万〜三百万円台の利益しかなかったが、同年は五千万円超に。マイナンバー関連の厚労省からの受注額は五件、計十二億二千万円に上る。
 「マイナンバー制度の市場規模は政府の初期投資だけで三千億円、さらにセキュリティー対策などで波及効果が一兆円規模に上るとされる」。三菱総研の中村秀治政策・公共副部門長は話す。厚労省だけでも一四〜一六年度の三年間で、自治体への補助金を含め千二百億円のコストがかかり、システム改修費やランニングコストなどに税金がつぎ込まれる。
 そこに参入するのがIT関連企業。通常の企業にとっては、制度は従業員のマイナンバー情報の管理などで大きな負担がかかるが、IT業界には大きな商機となる。東京商工リサーチが六〜七月に行った調査では、情報通信企業の35%が「マイナンバーはビジネスチャンス」と回答した。
 また、政府が個人番号によって住民の監視を強める側面を持つ。国税当局のある職員は「(個人番号で)税金をしっかり取れるようにするのが第一のメリット」と本音を漏らす。
 行政事務の効率化という長所が強調された制度だが、政府による個人の監視が進む上、莫大(ばくだい)なコストがかかるという負の側面が、次第に浮き彫りになっている。日弁連情報問題対策委員の清水勉弁護士は「IT業界には年々多大な利益が入り、メリットのある官と民が深い仲になるのは当然。今後も癒着が深まる恐れが十分ある」と懸念した。
<マイナンバー制度> 赤ちゃんからお年寄りまで国内に住民票がある人に12桁の番号を割り当て、税と社会保障などの行政事務を効率化する制度。来年1月から運用が始まる。今月各世帯に郵送される「通知カード」には、12桁の個人番号を記載。来年1月から市区町村の窓口で希望者に配布される「個人番号カード」には住所、氏名、生年月日のデータや顔写真が付き、本人確認に使える。社会保障関係の申請で住民票が不要になるなど手続き簡素化の長所がある一方、住民の監視強化や個人情報流出を懸念する声もある。
**********

※贈賄側の会社概要
商号:日本システムサイエンス株式会社 Nippon System Science. ,Ltd
設立:1990年(平成2年)6月
代表者:代表取締役 八幡秀彌
本社所在地:東京都千代田区平河町二丁目4番14号 平河町KSビル3階 〒102-0093
アクセス: TEL:03-3262-4311(代表)FAX:03-3262-4322
四国事業所:香川県高松市宮脇町一丁目1番23号 帝大ビル6階 〒760-0005
TEL:087-887-7341 FAX:087-887-7342
従業員数:20名
取引銀行:りそな銀行、みずほ銀行、三井住友銀行
沿革:
平成14年6月 本社を千代田区三番町へ移転
平成17年5月 本社を千代田区平河町へ移転
平成23年7月 四国事業所を開設
平成24年4月 日本スマートケア株式会社を設立
事業内容:
◇医療情報標準化普及促進事業
◇医療情報セキュリティ推進事業
◇情報システム構築支援サービス
◇アドバンスト・コンサルティングサービス
  ・プロジェクトマネージメント
◇情報セキュリティ関連サービス
所属団体:保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)、日本HL7協会、保健・医療・福祉情報セキュアネットワーク基盤普及促進コンソーシアム(HEASNET)、一般社団法人 日本医療介護経営研究機構

※参考情報
**********産経2015年8月22日 09:20
マイナンバー、年金連結延期 改正法成立へ
 政府・与党は21日、国民一人一人に個人番号を割り当てるマイナンバー制度と基礎年金番号との連結の開始時期を、当初予定の来年1月から延期する調整に入った。日本年金機構の情報流出問題を受け、再発防止策が図られるまで先送りする。延期期間は半年から1年の方向だ。
 民主党が年金との連結延期を求めており、今国会に提出中のマイナンバー法改正案に連結時期延期の修正を盛り込む方向。与党は修正を受け入れる方針で、法案は今国会で成立する見通しとなった。法案は衆院通過後に年金情報流出問題が起き、参院での審議が止まっていた。
 年金番号と連結すれば、年金機構内部でマイナンバーが使えるようになり、利用者の相談に応じやすくなる。
 平成29年1月からはマイナンバーを労災保険など他の制度と連携させ、給付調整などに使う予定だったが、この時期も延期する方向だ。
 改正案は、国民全員に割り当てる個人番号を、30年から金融機関の預金口座にも適用するとの内容。マイナンバー制度では、年金受給に必要な書類が簡略化できるようになる。

**********NHK 2015年09月03日 (木) 午前0:00〜
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/226730.html
時論公論  「マイナンバー 改正法 成立へ」 竹田 忠 解説委員
 国民一人一人に一生かわらない番号を割り振るマイナンバー制度。あとひと月余りで、番号の通知が始まります。このマイナンバー制度の改正法案が、日付が変わってきょう3日にも国会で可決・成立する見通しです。改正法案は、番号の使い道を、新たに銀行の預金口座などに拡大します。
 その一方で、制度の中核的な分野である、年金への適用を当面、延期します。これは、年金情報の大量流出問題を受けたものです。
しかし、もともと政府は、消えた年金問題などを防ぐために、マイナンバーの導入が必要だと説明をしてきたわけでして、その年金への適用を先送りすることは、制度の大きな軌道修正を迫られた形です。
 サイバー攻撃が相次ぐ中、マイナンバー導入に伴う情報漏えいへの不安は払しょくできるのか?きょうは、この点を中心に考えます。

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▼改正法案とは?
 まず、今回の改正法案を整理します。マイナンバーは、国民全員に割り振られる、一生変わらない12桁の番号です。
 今年10月中旬以降、簡易書留を使って、世帯単位で、国民に番号が届きます。
 そして来年1月からは、主に社会保障と税の分野で各役所が別々に管理している個人情報を、番号を使って結び付け、事務作業を効率化します。
 ここまでは、既におととし(2013年)成立したもともとのマイナンバー法で決まっていることです。

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 今回の改正法案は、どう違うのかいうと、この番号の使い道をさらに広げて、金融機関の預金口座に結び付けます。これによって税務当局や自治体が、国民の資産を把握しやすくなり、脱税の防止や税の徴収がしやすくなります。
 口座への番号の適用が始まるのは2018年からで、これは、あくまで”任意”です。
 つまり、預金者本人が同意して、自分の番号を銀行に教えれば、口座に番号が振られるというものです。政府は、その3年後に、義務化も含めて検討することになっていまして、今後の議論が焦点となりそうです。

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 この改正法案が、5月に衆議院を通過し、参議院に送られたところで、年金情報の大量流出事件が発覚したわけです。
 このため、情報管理に不安のある日本年金機構がマイナンバーを扱うことは、当面、延期する、つまり、年金を、番号の適用対象から、事実上、当面外す、というふうに法案が修正されて、きょうにも可決・成立する見通しとなったわけです。
 制度の大きな軌道修正です。

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▼無防備だった年金
 今回、問題となった、年金の大量流出事件では、年金を受けている人の氏名や住所、生年月日など、125万件、人数にして101万人分もの個人情報が外部に流出しました。直接の原因は、何者かが業務を装った大量のウイルスメールを送りつけたことにあります。
 しかし、結果として、情報が漏れた背景には、日本年金機構の日頃のずさんな情報管理がありました。といいますのも、機構では、本来、年金の個人情報というのは外部とはいっさい遮断された、基幹ネットワークの中に保管されています。厚い壁に守られているようなものでシステム的には頑丈な仕組みです。
 なのに、なぜ、流出したのか?問題は運用にありました。
 基幹ネットワクークの中にある個人情報をCDやDVDにコピーして、それを、外部のインターネットとつながっているパソコンに入れて、作業していたためです。このため、サイバー攻撃を受けて情報が漏れてしまったわけです。

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 セキュリティーの専門家は、こういう重要な情報を外に出して扱う場合は、外部のネットとは全くつながっていない、スタンドアローンと呼ばれる端末を使うべきであって、ここに安全管理上、大きな落ち度があったと指摘しています。

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 また、機構の内規では、そもそもこういう使い方をする場合は、情報が漏れにくいように、パスワードを設定したり、アクセス制限をかけたりすることになっていましたが、それも、充分に守られていませんでした。機構自身が行った内部調査の報告書は「ルールは有名無実化していた」と指摘しています。
▼変わらない ずさんな体質
 では、なぜ、このようなずさんなことが許されていたのか?
 内部調査の報告書は、旧社会保険庁時代から指摘されてきた問題、いわば“社保庁体質”が、問題の根底にあるといいます。
 それは、具体的に言えば、ガバナンス(組織統治)の脆弱さ、組織としての一体感の不足そして、ルールの不徹底、だと、報告書は言います。

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 かつて、旧社会保険庁は、年金業務を巡って様々な問題を起こしたあげく、ついには、合わせて5千万件もの年金記録が誰のものかわからなくなっていることが大問題となり、組織が解体され、日本年金機構に生まれ変わりました。
 この時に、組織の体質として指摘されたのが、ガバナンス(組織統治)のなさや、組織としての一体感の不足という、まさに同じ問題でした。
 つまり、同じことが繰り変えされているわけです。

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 さらに、日本年金機構を管理する厚生労働省の対応にも問題がありました。
 年金機構がサイバー攻撃を受ける2週間ほど前、実は、厚生労働省も同じような手口のサイバー攻撃を受けていました。

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 専門家は、この時の情報をただちに機構側に伝えていれば被害は少なくてすんだ可能性があると見ていますが、厚生労働省は連絡しませんでした。
 これについて、厚生労働省の第三者検証委員会の報告書は、厚生労働省と日本年金機構は、お互いに情報や危機感の共有がなく、組織が一体として危機にあたる体制になっていないと結論づけています。
 年金業務をあつかう現場が、ここまで、サイバー攻撃への危機意識がなく、無防備である以上、当面、マイナンバーという重要な情報を任せるわけにはいかにない、それが改正法案の趣旨です。

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▼連結延期とは?
 では、マイナンバーと年金の連結延期で、今後どうなるのか?
 法案では、延期する期間は、最長で1年5カ月となっています。本来は、マイナンバーの運用開始の来年1月から、日本年金機構では、年金相談にマイナンバーを利用したり、内部の事務手続きで基礎年金番号とマイナンバーを連結させて、事務作業を効率化する予定でしたが、そういうことがすべて凍結されます。
 今後、政府は、年金機構と厚生労働省による情報管理の強化策を見極めた上で連結時期を改めて決めることになりますが、抜本的な対策には、組織改編も必要になり、時間がかかることになります。
 そこで焦点となるのは、さ来年・2017年の1月です。自宅のパソコンで、年金の納付状況などが確認できるマイナポータルという仕組みがこの時期から開始されます。
 もし、これまでに年金との連結が間に合わなければ、マイナンバーの柱である、このマイナポータルそのものに影響が出かねません。

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▼自治体への懸念
 最後に、こうやって、年金だけを切り離して、それで情報漏えいへの不安は払しょくされるのでしょうか?
 実は今、多くの専門家がセキュリティー対策で懸念を指摘しているのは、実は、自治体です。というのもマイナンバーで結び付く、社会保障と税の実際の業務の大半を担っているのは、全国およそ1800の自治体です。
 しかし規模の小さな自治体の場合は、セキュリティー対策にあてるヒト、モノ、カネに限度があります。税や福祉などの重要な住民情報をあつかう基幹ネットワークがインターネットから、完全に分離されていない所も、まだ残っているとみられます。
 先日の参議院の質疑では、IT政策を担当する山口 沖縄・北方担当大臣が自治体のセキュリティー対策について聞かれ、「正直って心配もある」と答弁しています。
そして、「サイバー攻撃への対策が不十分な自治体でも制度に加えるのか」と問われたのに対し、「出来ていない自治体は制度に入れない」と答弁しました。
 つまり、それだけ、政府内部でも不安が残っているわけです。
 番号通知まで、あと一月あまり。政府は、日本年金機構と、自治体のセキュリティー対策について支援策を急ぐ必要があります。(竹田 忠 解説委員)

※当会注:このように、日本年金機構の情報漏えい問題で、マイナンバー制度実施開始を最大1年5カ月ほど延期しようというのが改正法です。即ち、マイナンバー制度は年金情報や税収などの管理が主目的ですから、マイナンバーとのヒモ付けができなければ意味が有りません。しかし、それでマイナンバー制度を延期すると、主目的がバレてしまうため、予定通り2016年1月から始めるというのが本音のようです。
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