2017/3/25  22:59

東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…環境アセス不要と結論付けた前橋バイオマス発電施設を巡る官業「不作為」  東北関東大震災・東電福島原発事故

■当会は現在、前橋バイオマス発電施設にかかる大気汚染の観点から排ガス量4万ノルマル立米を超える場合は、群馬県環境影響評価条例に基づくアセスメントを実施しなければならないとするルールに基づき、なぜ群馬県が2015年3月に関電工に対して、排ガス量4万立米を超えても、水分含有量が多い木材を燃料とする場合は排ガス中に含まれる水蒸気が多くなるため、実質的に排ガス量を2割少なくカウントするという特別な判断を示したのか、その判断基準の決定にかかわる一切の情報を開示しようとせず、全部不存在として不開示にした群馬県を相手取って法廷で係争中です。

 一方、関電工がトーセンを抱き込んで行おうとしているこの亡国事業に対して、群馬県が補助金を交付するにあたって2015年9月29日に開催された平成27年第3回前期定例県議会における「環境農林常任委員会審議状況報告(環境森林部)」で、次のやり取りが委員と林業振興課長との間で行われました。

*****平成27年第3回前期定例県議会における「環境農林常任委員会審議状況報告(環境森林部)」(抜粋)*****PDF ⇒ 270929_lc2.pdf
〇あべ委員
 そのような説明で理解を得られれば、それでよい。住民との意見交換を行って、県で不安がなければ説明をしてほしい。調査して安全であることを明らかにすることは、風評被害を起こさないことにもつながると思う。県は汚染されていないと受け止めているし、私もそう考えているが、だからこそ汚染されていないことを明らかにしておくことは大事なことである。施設に搬入される木材が放射能に汚染されていないか、さらにそれを燃料にして燃やしたときに発生する焼却灰等は燃料の時よりも濃縮されてくると思うが、それらが問題ないか判断するためのチェック機能はどうなっているか。
●山崎林業振興課長
 環境面での規制については、前橋市で対応していることを申し上げておく。事業者からは、内容の聞き取り及び事業計画の内容の相談を受けているところだが、まだ詳細まで固まっていない状態である。福島県にある同様の2つのバイオマス発電施設の事例では、施設搬入時に木材の空間放射線量をチェックしており、焼却灰も検査機関でサンプル調査を行っていると承知している。
**********

 このように、群馬県では、2015年9月29日の時点では、この亡国事業について「まだ詳細まで固まっていない状態である」と認識していました。にもかかわらず、関電工は、2015年3月に、「平成27年1月に環境アセスメントの適用有無について群馬県と協議を開始し、平成27年3月には本計画(前橋バイオマス発電計画のこと)については群馬県の環境アセスメントの適用対象とならないことを群馬県環境政策課に確認」することができたのでした。つまり、群馬県環境政策課は、関電工の計画に対して排ガス量(湿り)が4万ノルマル立米を超えても、水分20%で計算したことにして再計算すれば、それ以下になるから、環境アセスは不要だというお墨付きを早くも与えていたことになります。

■一方で、県から「環境面での規制で対応している」とされている前橋市では、この関電工の亡国事業について、2015年10月20日付で前橋バイオマス発電と前橋バイオマス(現・前橋バイオマス燃料)の代表者に対して、市長名で次の書面を発出していました。

*****前橋市長から事業者への計画作成依頼*****
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                         前 環
                         平成27年10月20日
前橋バイオマス発電株式会社
代表取締役
野 本 健 司  様

株式会社前橋バイオマス
代表取締役
東 泉 清 壽  様

                   前橋市長 山 本   龍
                        (公 印 省 略)

  前橋バイオマス発電施設に関る環境配慮計画について(依頼)

 日頃から、本市の環境行政にご協力いただき、ありがとうございます。
 また、貴社が建設予定の前橋バイオマス発電施設計画について、これまでの住民説明会資料等の送付や群馬県関係課とのヒアリングに応じるなど、ご配慮いただきありがとうございます。
 さて、貴社建設予定地中編住民から騒音、放射能等について環境への懸念が示されており、群馬県環境保全課と協議した結果、前橋バイオマス発電所運営にあたって、大気、水質、騒音・振動、放射性物質、地下水関係等について、それぞれ能力や方式、基準値、管理・運営方法等を定めた、仮称 前橋バイオマス発電環境配慮計画を作成することが、発電所の適切な運営や住民への説明資料に繋がるものという判断になりました。

 法令に拠る計画書の作成ではありませんが、ヒアリング時の回答内容等をまとめた計画書の作成を依頼いたします。

 計画書が示された後は、前橋市、群馬県の担当部署で審査させていただき、環境に十分配慮した計画であることを確認させていただきます。

                 前橋市 環境部 環境政策課
                 環境保全係
                 TEL 027-898-6294(直通)
**********

■このように見てくると、関電工とトーセンによる前橋バイオマス発電と前橋バイオマス燃料は、「仮称 前橋バイオマス発電環境配慮計画」なる文書をその後、作成して前橋市に提出したことがうかがえます。

 そのため、赤城山の自然と環境を守る会では、前橋市と群馬県に対して、この「環境対策にかかわる情報」についての開示を同時に求めていました。その結果、2017年2月25日までに、前橋市は非開示処分通知を守る会に送り付けてきました。

ところがどういうわけか、群馬県は、おそらく当会と守る会が提起している住民訴訟を意識しているためなのか定かではありませんが、前橋市から提出された環境配慮計画書を部分開示してきたのでした。
※開示された環境配慮計画書: PDF ⇒
P1-11: 20170206111oocixzvih29.2.6jj.pdf
P12-16: 201702061216oocixzvih29.2.6jj2rs.pdf
P17-24: 201702061724oocixzvih29.2.6jj.pdf

■開示された計画書は、前橋バイオマス発電と前橋バイオマス燃料の代表から山本龍前橋市長あてに2016年5月18日付で提出されたものです。

 2015年10月20日に前橋市から依頼された後、実に7か月間を提出までに要しています。そして、この計画書は、2016年5月25日付で群馬県環境保全課あてに送られて、翌26日付で県に届きました。

 内容をチェックしてみると、いろいろ興味深いことがわかります。

(1) 最大連続運転(MCR)時の排ガス量(湿り)は毎時42,400ノルマル立米
 これまで一貫して排ガス量の情報開示をしようとしなかった関電工と群馬県ですが、案の定、排ガス量(湿り)は毎時4万ノルマル立米を超えていました。この計画書では、使用燃料として、「木質チップ、低位発熱量2,216kcal/kg、比重0.26、灰分0.34重量%、使用量毎時9,770s」となっています。水分量は明記されていません。
 使用量毎時9.77トンとあるので、年間MCR運転するとトータル85,585kgとなり、関電工の言う8万トンを7%ほど上回ります。この7%という数字は、年間の定期点検期間を意味するのでしょうか。となると年間25日間はメンテナンスのための整備期間なのでしょうか。もし、整備期間が年間もっと少ないとなると、実際の木質チップ燃料使用量は年間約8万トンを上回ることになります。

(2) 木質チップの水分量が未記載のため不詳
 木質チップ燃料の水分量についても、記載がないので実質的な木質チップの使用量が判断できません。通常、木質チップは水分量15%ですが、関電工の事業ではもっと水分量が多くなります。そのため、トーセンが自社開発と称する油圧プレスを使って強制的に水分量を落とすというものです。それでも水分量は30〜40%くらいだと思われます。
 普通、水分量15%の木材の低位発熱量は3,362kcal.kg程度です。ところが関電工の事業では、2,216kcal/kgとなっています。これほど低い定位発熱量の木材となると、水分量40%程度に匹敵しますが、関電工の環境配慮計画には水分量の記載が見当たりません。
 もし、関電工の事業で、実際には水分量の低い木材が投入された場合、どうなるでしょうか。排ガス量が大きいということは、ボイラーの能力がそれだけ大きいということになりますから、水分含有率の少ない木質チップを投入すればするほど、発熱量が大きくなり、沢山の木質チップを焼却処理できます。
 当会の試算では水分量15%の木質チップを燃やす場合、湿り排ガス量は毎時68,894ノルマル立米となります。また、水分量40%の木質チップを燃焼させる場合、湿り排ガス量は毎時48,545ノルマル立米となり、群馬県の言う「水分40%なら排ガス量が4万2000ノルマル立米になるが、水分20%なら3万8000ノルマル立米に減少する」ので環境アセスメントは不要だとする根拠がさっぱり分かりません。
 水分量が不明であるにもかかわらず、排ガス量が毎時4万ノルマル立米以下だから、環境アセスメントをやらなくてもいい、と群馬県は言い、関電工は群馬県がアセス不要と言ったから何もしなくていい、などと誰がどうやって判断したのでしょうか。

(3) 主な燃料供給元に得体の分からない第3者の存在
 前橋バイオマス環境配慮計画によれば、主な燃料供給元として、群馬県森林組合連合会、群馬県素材生産流通協同組合、株式会社トーセンに加えて■■■■■■■■■■■■という黒塗りの供給先があります。もしかして、これが「東京電力兜沒原子力発電所」、あるいは「福島県素材生産流通協同組合」だったら、一大事です。当会や地元住民が懸念する放射能汚染木材の焼却施設という意味だからです。

(4) 環境管理体制として結成される「前橋バイオマス運営協議会」
 環境配慮計画には、前橋バイオマス発電株式会社と前橋バイオマス燃料株式会社が、前者を会長、後者を副会長として、「住民対応」と「法定業務」等を行うと記してあります。
 これまで住民への情報開示に不熱心あるいは無関心だった法人同士が協議会を構成しても、いったい誰が信用するのでしょうか。 

(5) 流動層式ボイラーの採用
 本来、木質チップはストーカ式ボイラーで燃やされるのが一般的ですが、関電工はなぜ流動層ボイラーを選択したのでしょうか。流動層式ボイラーは、むしろ産業廃棄物の焼却で多用されています。関電工としては、東電福島原発事故で発生した放射能汚染木材や高濃度汚染された汚泥や沈殿物、稲わらや牧草、雑草などを焼却するのにはこちらの流動層方式が都合がよいと判断しものと見られます。

■こうして、東電グループの関電工は、環境アセスメントを行わないまま、最新鋭の流動層式ボイラーを導入して、高能率、高能力の焼却設備を、あろうことか群馬県民にとって聖地でもある赤城山の南麓に建設しつつあります。

 しかも、その本当の能力を知らないまま(知ろうとしないまま)、群馬県は、自ら制定した環境影響評価条例を捻じ曲げて、特例措置を講じて、石油系燃料ではないバイオマス発電の場合は水分が多い分、排ガス量を棒引きするという超法規的措置を打ち出し、関電工は「まってました」とばかりに、早々と環境アセスをしないことを明言してしまいました。

 群馬県のお役人はいったい誰のために生活環境の保全の立場を取ろうというのでしょうか?

 関電工やトーセンらは、なぜ自主的に環境アセスメントを行なおうとしないのでしょうか。

■折から森友事件で、役所が、特定の業者に対して特別扱いをした実態が明らかになっています。

 また、東電グループの関電工の体質としては、東電の「言い出せない体質」が染み付いていると思われます。環境アセスメントが条例上、義務付けられているにも関わらず、誰も「アセスメントをしなくちゃだめだ」と言い出せないでいるのかもしれません。なお、東電の「誰も言い出せない体質」はこの報告の末尾に報道記事を参考用に掲げましたので参照ください。

 かくして官業の不作為体質が逆シナジー効果となって、過大なバイオマス火力発電所の不当建設が見過ごされているのです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考報道「東電グループ社内の“言い出せない体質”の実態」
**********毎日新聞2017年3月24日 20時53分(最終更新 3月24日 23時59分)
東電社員 半数が福島第1炉心溶融「あると思っていた」
クリックすると元のサイズで表示します福島第1原発=福島県大熊町で2016年2月、本社ヘリから梅村直承撮影
 東京電力が福島第1原発事故後、約2カ月にわたって「炉心溶融(メルトダウン)」を隠蔽(いんぺい)していた問題で、当時の東電原子力関係社員の約半数が、溶融は「あると思っていた」と社内調査に答えていたことが24日、隠蔽問題に関する新潟県と東電の合同検証委員会で明らかになった。東電社内の「言い出せない」体質が改めて浮き彫りになり、木村公一・新潟本社代表は「社会がどんな情報を求めているか考える視点が欠けていた」と述べた。
 調査は昨年11月から今月にかけて実施。事故当時か現在、東電の原子力部門に所属する社員約4000人を対象にアンケートを行い、3639人が回答した。
 事故当時、「原子炉がどのような状況と推測していたか」との問いには、1730人(約48%)が1基以上の原子炉で炉心溶融が「あると思っていた」と回答。「ないと思っていた」は382人(約10%)、「分からなかった、覚えていない」は1527人(約42%)だった。
 さらに当時の東電本店広報班員7人を含む59人が、「炉心溶融」や「メルトダウン」の言葉を使わないように、社内で「指示を受けた」と回答。ただ、いずれも指示したとされた側が否定したり、指示をした理由が不明だったりし、指示系統は判明しなかったという。【高木昭午】
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