2017/11/14  23:14

大同スラグ訴訟…11月10日に開かれた第12回口頭弁論で裁判長指揮により被告から提出された乙号証の意味  スラグ不法投棄問題

■平成27年4月30日の提訴から既に2年6カ月余り経過した大同有毒スラグの農道への不法投棄問題にかかる舗装工事費用の返還を責任者である吾妻農業事務所長(当時)に求めることを群馬県知事に義務付ける住民訴訟の第12回口頭弁論が、11月10(金)午前10時から前橋地裁21号法廷で開かれました。この日、原告の一人である当会代表は緊急を要する業務により、急きょ出廷できなくなったことから、当会副代表のみ出廷しました。
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12月10日に郵送され、同12日に受領した被告からの乙27-30号証の入った封筒。


 第12回口頭弁論に先立ち、前橋地裁民事第2部合議係の書記官から次の内容のファクシミリ送信書兼受領書が、あとで当会事務局に発信されていたことが分かりました。

****送信書兼受領書******PDF ⇒ 20171110fax.pdf
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事件番号 平成27年(行ウ)第7号
住民訴訟事件
原告 小川賢 外1名
被告 群馬県知事大澤正明

           ファクシミリ送信書兼受領書
                      平成29年11月7日
原告 小川賢 様      (原告鈴木庸様経由)
原告 鈴木庸 様      FAX番号 027−224−6624
(参考)被告代理人 関 夕三郎 様 FAX番号 027−230−9622

        〒371-8531 前橋市大手町3−1−34
              前橋地方裁判所民事第2部合議係
                 裁判所書記官 清  宮  貴  幸
                   電話027-231-4275(内線)324
                   FAX 027-233-0901
 頭書の事件について,裁判長の指示により,左陪審裁判官から,被告ら代理人に対し,以下のとおり伝えましたので,原告らにもその旨お伝えします。
 受領後は,下記受領欄を記入し,押印した上本書面をご返信ください。
 送信枚数1枚(本書のみ)
                  記
 本件舗装工事契約の財務会計行為について専決処理がなされたか否か確認されたい。上記財務会計行為に関連する決裁の資料があれば提出されたい。
                            以  上
――――――――――――――
 上記文書を受領しました。
  平成  年  月  日  氏名              印

               次回期日 平成29年11月10日午前10時00分
                   1/1
**********

 この日、菅家裁判長は冒頭、「(原告当会の)小川さんは来るのですか」と当会の事務局長に尋ねました。そのため、事務局長が当会代表に携帯電話を掛けて、来られるかどうか尋ねたところ、前記の理由でどうしても来られないことが判明したため、「当会代表はこられない」と裁判長に伝えたところ、裁判長は「小川さんの意見を聞かずに結審するわけにいかないですね」ということになりました。

 そこで、裁判長は次回第13回口頭弁論期日について当会代表の都合を確認する必要があるとして、当会事務局長に再度確認をしたところ、当会代表は11月末まで海外業務が入ってしまったため、帰国直後の12月1日(金)午前10時に再度口頭弁論が開かれることになりました。

 裁判長によれば「本日(被告から提出された)書証乙27〜30号証の説明を詳しくして、(原告当会代表の)小川さんの意見を聞いて結審する予定だった」とのことでした。

■その後、11月12日に被告訴訟代理人の弁護士事務所から当会代表宛てに乙27〜30号証と証拠説明書が郵送されてきました。内容は次のとおりです。

*****送付書兼受領書*****PDF ⇒ 20171110ty.pdf
目橋地方裁判所民事第2部合議係
ご担当 清宮書記官 殿
原 告 小川 賢 殿
                     平成29年11月10日
                   前橋市大手町3丁目4番16号
                   被告訴訟代理人
                   石原・関・猿谷法律事務所
                   弁護士 関   夕 三 郎
                   電話027−235−2040
           送 付 書
事件の表示: 前橋地方裁判所
       平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
当 事 者: 原 告 小川賢外1名
       被 告 群 馬 県
次 回 期 日: 平成29年12月1日午前10時00分
下記書類を送付致します。
  1 書証乙第27号証乃至乙第30号証     各1通
  2 証拠説明書                 1通
                             以上
--------------------------切らすにこのままでお送り下さい------------------
          受 領 書
上記書類、本日受領いたしました。
                       平成29年11月  日
   原 告
前橋地方裁判所(清宮書記官)御中:FAX027-233-0901
石原・関・猿谷法律事務所 行  :FAX027-230-9622

*****証拠説明書(乙27〜30)*****PDF ⇒ 20171110ty.pdf
平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原 告  小川賢,外1名
被 告  群馬県知事 大澤正明
        証拠説明書(乙27〜30)
                      平成29年11月10日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
            被告訴訟代理人弁護士  関  夕  三  郎
            同      弁護士  笠  本  秀  一
●号証:乙27
○標目:起工伺い
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:H26.6.2
○作成者:吾妻農業事務所農村整備課課長片山茂ほか
○立証趣旨:本件農道舗装工事の起工について,設計金額5000万円未満の工事に係る契約締結の専決権者である農村整備課長が決裁していること。
●号証:乙28
○標目:工事請負契約締結並びに監督員の指定について
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:H26.6.12
○作成者:同上
○立証趣旨:本件農道舗装工事の契約締結及び支出負担行為について,専決権者である設計金額5000万円未満の工事に係る契約締結の専決権者である農村整備課長が決裁していること。なお,3枚目の「予算額調書」の見出しの下に「支出負担行為」の記載があり,これが支出負担行為の決裁に係る文書である。
●号証:乙29
○標目:設計変更伺
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:H26.7.11
○作成者:吾妻農業事務所農村整備課課長片山茂ほか
○立証趣旨:本件農道舗装工事の設計変更について,設計金額5000万円未満の工事に係る契約締結の専決権者である農村整備課長が決裁していること。
●号証:乙30
○標目:支出回議書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:H26.8.8
○作成者:吾妻農業事務所農村振興課課長門倉拓司ほか
○立証趣旨:本件農道舗装工事の請負代金の支出命令について,専決権者である農村振興課長が決裁していること。
                         以上

*****乙27号証*****
起工伺い: PDF ⇒ 2017111027.pdf

*****乙28号証*****
工事請負契約締結並びに監督員の指定について: PDF ⇒ 2017111028.pdf

*****乙29号証*****
設計変更伺: PDF ⇒ 2017111029.pdf

*****乙30号証*****
支出回議書: PDF ⇒ 2017111030.pdf
**********

■次回第13回口頭弁論で、あらためて裁判長から、上記乙27〜30号証の詳しい説明が為された上で、原告当会の意見を聞いて結審することになります。

 上記の乙号証を見る限り、財務会計上の行為の責任者として、誰が該当するのか、という趣旨にも見えます。

 当会は、農道を舗装する場合には、大同の有毒スラグを敷砂利としてばらまいた農道から全て有毒スラグを撤去したうえで舗装工事を施工してほしいと、群馬県農村整備課に申し入れたところ、吾妻農業事務所が担当部署だからそちらに連絡をとってほしい」と言われたことから、吾妻農業事務所長に電話で「舗装するならスラグの撤去をしてからお願いしたい」と申し入れました。

■誰が財務会計上の行為の責任者の特定に関しては、これまでの本件の係争の過程で、裁判長から訴訟指揮があり、次のような経緯をたどっています。

 原告は当初、2015年4月30日付の訴状で次の内容で請求の要旨を記していました。
**********
第1 請求の要旨
1.被告 群馬県知事 大澤正明は、「工事名 萩生川西地区農道舗装工事」請負契約に係る支出6,490,800円を吾妻農業事務所長に請求せよ。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

※参考URL:訴状 ⇒
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1602.html#readmore
**********

 その後、原道子裁判長の訴訟指揮で2015年10月2日付「訴えの変更申立て」で次のとおり請求の趣旨を修正しました。
**********
第1 請求の要旨
1.被告群馬県知事大澤正明は、「工事名 萩生川西地区農道舗装工
事」請負契約に係る支出6,490,800円を吾妻農業事務所長に請求せよ。そのために、同人に対して賠償するよう命令せよ」
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

※参考URL:訴えの変更申立書 ⇒
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1747.html#readmore
**********

 そして2017年6月16日に開かれた第10回口頭弁論で、菅家裁判長から次の訴訟指揮がありました。
参考URL:http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2346.html#readmore
*****該当発言*****
裁判長:それで、ちょっと確認させていただきたいんだが、原告の今の請求というのは、もうだいぶ前になるのだが、平成27年10月1日に(原告が)出した訴えの変更申立書というので、変更したものということでよいか?
原告:はい。
裁判長:ここで農業事務所長に請求せよとか、賠償するよう命令せよとなっているが、ここでいう事務所長というのは、訴訟告知されているカリノ(狩野)さん?カノウ(狩野)さん?
原告:カノウ(狩野)さんだと思いますが、なにしろ(県職員の)人事が2年ピッチでころころ変わるので、しかも。それは上毛新聞に小さく出るだけでフォローし切れていないんですが、当時は確かそのようなお名前だったと思います。私も電話で話した記憶があるんですけど。
裁判長:訴訟告知した方ということでいいんですよね?
被告:結構です。
原告:はい。
裁判長:その人に請求する、請求・賠償を命ずるということでいいのかね?
原告:ええ、その人に支払いを義務付けていただきたいと思います。
裁判長:そういうことだね?
原告:ええ。私が直接話して、あれだけ、懇願したにもかかわらず(蓋をするための舗装工事を)やっちゃった、公金を投じたということでその方に払ってもらいたいと思います。
裁判長:カリノさん、カノウさん、なのかわからないんだけど・・・。
原告:カノウさんだと思います。
裁判長:それで被告に前回私がお願いしたのが伝わっていなかったのかもしれないが、結局、この手の税金というのは市から県に上がってきて、かかっているのでして、賦課して、・・おっと違う、失礼した。それでは、原告の主張はいちおうこれで出そろったということでいいのかな?

**********

■このたび、被告が提出してきた証拠説明書と乙27〜30号証は、いずれも同農業事務所の農村整備課長と農村振興課長がそれぞれの役割に応じて決裁を行っている旨、立証趣旨を記しています。

 仮に、支出に関する専決権が当該課長らにあったとしても、舗装工事に係る契約書の署名者はあくまでも吾妻農業事務所長ですから、民間で言えば、当該署名者に

 一般に契約書は、一方の当事者が起案し、他方の当事者の了解のもとに契約書としての体裁に整えられ、契約当事者本人または本人から契約締結権限を与えられた代表者・代理人の署名もしくは署名に代わる記名押印がなされることで締結に至ります。稀に組織名の後ろに代表印が押捺されただけの契約書を見かけることがありますが、それでは誰が契約当事者を代理代表したのかがわかりませんから、民間の場合では代表取締役、支店長、部長等の決裁権限のある者の氏名と肩書が記載されるのが一般的です。行政の場合であっても、同様であると考えられます。

 今回、裁判所から被告に対して「本件舗装工事契約の財務会計行為について専決処理がなされたか否か確認されたい。上記財務会計行為に関連する決裁の資料があれば提出されたい」とする問合せに対して、被告から乙27〜30号証として、それぞれ「起工伺い」「工事請負契約締結並びに監督員の指定について」「設計変更伺」「支出回議書」が提出されました。

 この場合、乙27〜29号証は、財務会計行為そのものではない「関連する」決裁資料であり、被告は専決権者として支出回議書の決裁をした農村振興課課長を挙げてきました。

 しかし、上述のとおり、民間の観点から言えば、契約書に署名した者がその組織を代表して財務会計行為の責任者と見なされるのが通例です。

■一方、これまでの数々の住民訴訟で痛感させられてきたのは、裁判所では「行政の無謬(むびょう)性」と呼ばれる我が国に根強く存在する考え方により、住民側の訴えを門前払いする傾向が強いということです。

 この無謬性という言葉のうち、謬(びょう)とは「誤り」という意味なので、無謬とは「誤りがない」ということです。我が国では、官僚・公務員・行政は間違いを起こさないということになっているわけです。

 そのため、住民訴訟の対象となる「財務会計上の行為」という意味について、裁判所が極めて限定的な判断を下す懸念が付きまといます。

 通常、住民訴訟の対象となる行為は、「財務」に関する行為、つまり@公金の支出、A財産の取得・管理・処分、B契約の締結・履行、C債務等義務負担行為、D公金の賦課・徴収を怠る事実、E財産の管理を怠る事実のうち、違法性を帯びているものを指しているとされます。

 そのため、裁判所では行政側を勝たせるために、例えば、公金の支出は、手続き通りきちんと行われていたから何ら違法性を認めることはできない、として、住民側の訴えを棄却とする判断を下したりします。

■今回は、有毒スラグというしろものを本来使ってはいけないところに使ったことから、撤去するのが最優先であるのに、その上に舗装をして蓋をしてしまったわけで、しかもスラグの有毒性を知っていたわけですから、公金の支出を伴う契約を締結した署名者である吾妻農業事務所長に損害賠償の責務があるというふうに、原告としては判断しているのです。

 果たして、12月1日の第13回口頭弁論で、裁判長がどのような説明をしたうえで、どのようなことを原告に確認を求めたり質問をしたりしてくるのか、注目したいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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