公害企業のDNAを脈々と受け継ぐ東邦亜鉛安中製錬所で第30回工場視察会が9.11に開催(前編)  東邦亜鉛カドミウム公害問題


■恒例の東邦亜鉛安中製錬所の工場視察会が、今年はメモリアルな9月11日(土)午前9時から開催されました。このイベントは、安中公害による損害賠償請求訴訟で、昭和61年9月に裁判での和解が成立し、公害防止協定が締結された後、公害防止協定に基づき、原告団及び弁護団等による製錬所への立入調査が行われ、平成3年4月に、会社と旧原告団等との間で、協定書に定めた事項の完了について確認書が取り交わされ、同日、平成3年9月22日の協定期間満了後の3年間を期間とする新協定が締結され、その後、継続協定(期間延長を内容とする。)が3年ごとに締結されてきており、その協定に基づき毎年4月の第2土曜日に開催されるものです。昨年はコロナで8月22日(土)に、そして今年は9月11日(土)に開催されました。
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↑3年ごとの協定書更新で署名する藤巻会長(左)と森田所長(右)。↑


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 当日9月11日土曜日、筆者は午前8時30分過ぎに東邦亜鉛安中製錬所の総合事務棟の玄関前の道を隔てた反対側の駐車場に車を止めました。誘導係の社員のかたが、やってきて「すいませんが、8時50分から受付けなので、しばらく車の中で待機していてください」と言いました。

 三々五々、今回の視察会参加者の乗った車が集まってきました。車を降りて歓談をしているうちに、8時50分になりました。さっそく参加者一同は総合事務棟の入口に向かいました。

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 入口で非接触式温度計で体温測定をすると36.1度Cで無事に通過し、2階の大会議室に上がりました。中に入ると、机がロの字型に配置されており、コロナ対策用の透明アクリル板の衝立がそれぞれの椅子の位置ごとに、机の上に並べられていました。今回も、コロナ対策として東邦亜鉛側は、安中緑の大地を守る会側に対して、参加者を15名に制限してきました。

■さっそく会場において、あらかじめ20部印刷してきた降下煤塵データをエクセルにまとめた資料を、参加者一同(会社側も含め)配布しました。ちょうど全員分に配布出来ました。毎月群馬県が工場周辺の4箇所の地点で測定していること。

 また、大型のディスプレーが大会議室の一画に設けられ、本社の会議室の様子が映し出されていました。まだ、9時前だったので空席でしたが、やがて本社の幹部の皆さんが集まり出す様子が画面に現れました。そして、開始時刻の9時になりました。

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会社司会:えー、皆様、おはようございます。

場内:おはようございます。

会社司会:事務部環境管理室を担当しております中島でございます。本日の工場視察会におきまして、会社側の司会を担当させていただきます。宜しくお願い致します。例年4月に行われています工場視察会ですが、新型コロナウイルスの影響により、この時期の開催となってしまいました。新型コロナウイルスに対する特別措置法に基づく、緊急事態宣言発令中でありますので、感染予防に十分配慮しながら開催してまいります。ご協力の程よろしくお願い致します。ソーシャルディスタンスのために人数制限をさせていただいたり、マスクの着用、手の消毒など、いろいろとご協力をいただきましてありがとうございます。本日の工場視察会は、時間短縮の為、終了を11時と予定をさせていただいております。ご協力の程よろしくお願い致します。それでは、まず、会社側の出席メンバーの紹介をさせていただきます。本社のメンバーにつきましては、新型コロナウイルス感染予防対策として、WEBでの参加となります。モニターをご覧ください。まず、最初に、総務本部長の大久保(浩)常務執行役員でございます。

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総務本部長:おはようございます。本日はよろしくお願い致します。

会社司会:同じく、総務本部の高橋(宏)副本部長でございます。

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総務副本部長:高橋ともうします。宜しくお願い致します。

会社司会:同じく総務本部の安藤顧問でございます。

総務本部顧問:本日は宜しくお願い致します。

会社司会:次に環境安全室の石井(光)室長でございます。

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環境安全室長:えー、石井でございます。本日はよろしくお願い致します。

会社司会:総務部の橋田(幸弘)課長でございます。

総務課長:えー、橋田でございます。本日はどうぞよろしくお願い致しまあす。

会社司会:続きまして、安中製錬所のメンバーでありますが、所を代表します森田(英治)執行役員所長でございます。

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製錬所長:本日はよろしくお願いします。

会社司会:次に、製造部の八杉(貴雄)部長でございます。

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製造部長:八杉です。宜しくお願いします。

会社司会:それと、事務部環境管理室を担当してます、私、中島(正宏)です。宜しくお願い致します。本日の工場視察会、以上のメンバーで対応させていただきます。どうぞよろしくお願い致します。では、続きまして、朝の代表挨拶を頂戴したいと思います。安中緑の大地を守る会会長、藤巻岩男様、宜しくお願い致します。

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藤巻会長:おはようございます。

場内:おはようございます。

藤巻会長:マスクをしたままで、ちょっと聞きにくいかもしれませんけど、宜しくお願いいたします。まあこの、新型コロナウイルス、たいへんなことでね、なかなか収まらないで弱ったなあと思っておりますけれどもね、そんな中で、視察会が実施されることになりました。まあ、時期的には少しずれましたけれどもね。せっかくの視察会ですので、有効に過ごしていきたいと思います。説明の方、宜しくお願い致します。

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会社司会:ありがとうございました。続きまして、会社を代表しまして、所長の森田よりご挨拶を申し上げます。

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製錬所長:おはようございます。

場内:おはようございます。

製錬所長:所長の森田でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。例年ご報告しております、まあ、会社動向については、この後、ご説明させていただきますが、さきほど会長も申されましたように、一昨年から新型コロナウイルス感染症で、足元では変異型のデルタ型と、蔓延の繰り返しが続いております。そういうなか、開催時期についてはいろいろと、安中緑の大地を守る会の役員さんとですね、いろいろと打ち合わせをさせていただく中で、本日、猛暑と長雨をちょっと避くような9月の時期に、ここ、開催することができましたことに、まずもって、大変、ご協力いただきまして、ありがとうございます。えー、当社の昨年の会社の状況でございますが、年初はちょうどコロナウイルスが発生し蔓延した、という状況だったと。コロナがどういうものかということで、物流関係がほとんど止まってしまいまして、当社の製品もですね、なかなか、動きがとれないと、そういうなかで、鉄鋼メーカー、とくに亜鉛をよく使っていただきます鉄鋼メーカーの国内の高炉がですね、相次いで止められるという報道がされて、非常に厳しいスタートでございました。そういうような中で逸早く中国市場が立ち直ってからですね、逆にコロナで、日本国をとりまく国々とか、なかなか物が手に入らないと、いうことで、海外へのですね、輸出がそこそこ出ましてですね。2期連続赤字でございましたなかで、昨年は黒字を達成しまして、なんとか、まあ、立て続けの赤字から解消されたという状況でございます。あわせまして、非鉄スラグ問題につきましてはですね、昨年から群馬県の行政指導のもと、進めております特定箇所の撤去作業もですね、これまで発見されました民家等、主要場所については、HPでもご案内しておりますように、ほぼ入替えが済んだという状況で、現在も粛々とその対応をやっております。まあ、コロナワクチンが出たあと、まだまだ、コロナ感染の中では納まらない状況の中での、工場視察会ではございますが、地元の皆様のご指導とご鞭撻をいただきますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、ご挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い致します。

会社司会:続きまして、本日の視察コースである日程につきまして製造部長の八杉より説明をさせていただきます。

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製造部長:製造部の八杉です。よろしくお願いします。例年と同じく、製錬所内の製錬工程、並びに公害防止設備のご案内をさせていただきます。操業も、まだ概ね順調でございますので、現時点では例年と比べて設備は大きな変化はございません。安定して事業を進めている姿をご視察いただければというふうに思います。昨年と同様、コロナ対策でマスクをしておりますので、私の声が聞きづらいかもしれませんけども、なるべく丁寧にご説明さしあげたいと思っていますのでよろしくお願いします。えー、昨年の8月に比べて、今年の9月は若干涼しくて過ごしやすいですけれども、マスクもしておりますし現場に行きますと温度が上がりますので、湿度が高いですから、熱中症に注意して進めていただければと思います。もしご気分が悪くなったりされた方がいらっしゃったら遠慮なく申し出ていただければ対応する準備は整えてございます。今日はあいにくの雨ですが、今、上がっているようですが、地面が濡れておりますので足元が滑ると危ないので、注意の程よろしくお願いします。えー、視察についてですけれども、お手元の資料をご覧ください。視察コースというページが、カラーで写真で示してあります。えー、今年もマイクロバス1台、ワゴン車2台を準備してございます。健脚コースの第1班は視察場所ごとにバスを降りてご案内します。ヘルメットの着用をよろしくお願いします。案内は私、八杉が行います。マイクロバスにご乗車となります。楽々コース2班は、ワゴン車の中からの視察となります。ワゴン車の乗り降りは致しませんので、ヘルメットは不要です。案内は総務の長岡という者が担当致します。ヘルメットをお渡しする場所は、入口の玄関のところで、楽々コース以外の方は申し出ていただければ、というふうに思います。お手元の資料をご覧になると、例年と異なる場所がございます。客土仮置き場というものがコースに入っております。公特事業の視察が出きるのではないかと思います。この点については環境管理室の中島からご説明致します。

会社司会:環境管理室の中島でございます。今回の視察コースには、先ほど八杉の方から話があった通り客土材の置場が入れてあります。事前の協議会で事務局長さんのほうから公特事業で使う客土の仮置き場と、排土置場、こちらもですね、視察コースに入れてほしいという要望がございました。客土仮置き場につきましては、今回の視察コースに入れてございます。なので、本日このあとご覧をいただきます。排土置場のほうですけれども、こちらは製錬所の外の為ですね、今回の視察コースには入れられませんでした。代わりにですね、排土処理場計画地の写真をですね、先程、八杉のほうから説明があった、このコースの裏面ですね、2枚目の裏側、こちらに、掲載させていただきました。ご覧をいただければというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

製造部長:それでは、工場視察の前の注意事項についてご説明をいたします。1点目のお約束ということなんですけども、場内の写真撮影はご遠慮願います。カメラ等は場内に持ち込まないように宜しくお願いします。また、健脚コースの方はバスを降りて工場内を歩いていただきます。安全確保を大前提でございますので、足元のご注意をお願いしたいことと、設備や製品についてはですね、まだ熱いものもございますので絶対に手を触れないように、よろしくお願いします。それではよろしければ視察に入りたいと思います。事務所の前へ移動のほう、よろしくお願いします。

会社司会:例年ですね。工場視察の前に記念撮影、こちらをお願いしておりましたが、昨年に続いて、三密を避けるということから、記念撮影については中止とさせていただきます。トイレ等済ませていただいて、玄関前に移動をお願い致します。

■そして参加者の皆さんはやや急な階段を下りて、1階の廊下から玄関に移動しました。そしてヘルメットを受け取って、健脚コースと楽々コースのそれぞれのマイクロバスに分乗すると、バスは総合事務棟を出発して、製錬所前のメイン道路を通り、製錬所の守衛前のゲートを通過し、製錬所構内に入りました。

製造部長:みなさま、改めましておはようございます。

参加者:おはようございます。

製造部長:工場視察をご案内いたします製造部の八杉です。さきほどご説明をいたしましたとおりでございますけども、まず工場の最上部に上がって、くだりながら順次視察していただきます。当社は主に亜鉛、鉛、銀の地金を生産しております。そのほかには、電子部品材料、粉末冶金などの生産を行っています。この安中製錬所では亜鉛地金、亜鉛合金、硫酸、粉末冶金、焼結部品などの生産を行っています。亜鉛は年間14万トン、月に1万トンの生産能力を持ってございます。国内約20%のシェアでございます。生産した亜鉛の65%が、自動車などに使用される薄板メッキ鋼板に使われます。この先カーブが多くて揺れますので怪我の無いよう、よろしくお願い致します。

■引き続き、バスは急な上り坂をエンジン音をうならせながら登っていきます。

 事務所を出発して9分後、まだ坂を登り終わらないうちに、司会の中島次長がマイクロバスの運転手に「この辺りでちょっと寄ってもらっていいですか。はい、この辺で大丈夫です」と声を掛けるとバスがとまり、ドアが空きました。

製造部長:それでは降りていただけますか。

 八杉製造部長に促されて、バスから全員が社外にぞろぞろと降りました。一番上の最終処分場に着かないうちに、手前で排ガス処理施設の前で降りたことになります。キーンという甲高いブロアのような騒音の中、健脚コースの参加者の皆さんは説明板の前に集まりました。

製造部長:聞こえますかあ?

参加者ら:はーい。

製造部長:ここは排煙脱硫装置で、行っているところです。ロータリーキルンから発生する排ガスの処理を行っております。こちらに、看板がございますけども、手前がこちら側、上の方が向こう側というふうに分かれております。ロータリーキルンから、このあと見ていただくんですけども、ロータリーキルンから発生した排ガスを、亜鉛華TCA (注:TCAはTurbulence Contact Absorberの略称で「乱流接触式吸収機」の意味)というもので脱硫をして、苛性ソーダの苛性TCAというもので脱硫をして、水TCAというもので洗浄して、排気塔から排出しております。主に除去するのは、亜硫酸ガスであります。排ガスの硫黄濃度についてですけども、赤外線の連続測定器がついてございまして、常時、硫黄酸化物の測定を行っております。一番最初に亜鉛華TCAという、この装置、そちらの後ろの、後ろ手に見えるところにあります。この亜鉛華TCAは、4段積みになっておりまして、段の上にピンポン玉の様なボールが乗っかってございます。ガスは下から上に向かって上っていきます。一方、吸収液は上から下に向かって降り落とします。交流で接触させてガスを洗浄するという形です。吸収する液はキルン工程で発生した粗酸化亜鉛を水で溶いて、その、ミルク液と言うんですけども、それを掛けていくというようなかたちでございます。次に、苛性ソーダの苛性TCAというものに投入します。これの構造は同じなんですけれども、掛けているものが苛性ソーダというもので、亜硫酸ガスを洗浄してございます。その次は、水TCAというところで、水でガス洗浄して排気塔から放出するというかたちになります。よろしゅうございますか。それでは、バスに戻ってもらいます。

■一同、車内に戻り、そこからマイクロバスは、今度は下り始めました。下り始めてまもなく、車内で筆者が質問を出しました。

小川:すいません。一つ確認があるんですが、一番上の最終処分場には何か入れました?

司会:えーと、まだ何にも入れていません。

小川:まだ入れていませんね。はい、分かりました。

■バスは今度は静かに下ってゆくと、途中で左手に入りました。錆だらけの古い設備が目の前に広がりました。筆者が車内で勝手に参加者の皆さんに解説しました。

小川:この左側に見えるブルーシートの奥に昔の焙焼炉がありました。黄色い煙をいっぱい出していたものですね。もう、博物館のようなものです。

参加者:使っているんですか?

小川:いえ、全然使っていないです。撤去もしないし。これを撤去してこのスペースに、新しく設備を、と言っているんですが、(会社側は)撤去費用がもったいないと言っているんです。幼稚園の頃、(この付近の山道を通園の為往復していたころ)この焙焼炉から出る黄色い煤煙に巻かれて窒息しかけたことが何度もあるんです。

■ロータリーキルン前の空き地に着いたマイクロバスは、限られたスペースで切り返しを繰り返して、転回してから、一同車を降りて、ロータリーキルンを見上げました。

 ふと見ると、空き地の脇に大陽日酸の酸素ボンベが並べてありました。燃焼助燃材として使っているのかもしれません。「酸素吸入を必要とするコロナ患者のようなものだね」との声が聞かれました。ここでも、ブロアのキーンという騒音が充満しています。

製造部長:もう少し前へどうぞ。次はロータリーキルンの工程について、でございます。まず、真ん中でございますけども、ロータリーキルン、こちらにあるものがロータリーキルン。全長45mございます。このキルンでは一次鉱さいというものを処理しております。水分を含んでおりますので、まず、ロータリーキルンより少し小さいものの、ロータリードライヤーというもので、そうですね、この奥にございます。これで乾燥させて次にロータリーキルンに投入します。投入する際にコークスを一緒にブレンドして投入をしていきます。炉前のほう、向こう側を炉前と言うんですけども、炉前のほうに・・・・ちょっと。

 というと、何かを見かけた製造部長は説明を中断すると、参加者の後ろで撮影している参加者にむかって、何か注意をしようとしました。どうやら、安中緑の大地を守る会の事務局員であることを知らない様子です。それを見た筆者は「許可を得ているよ、心配ない」と製造部長に諭しました。製造部長は元の場所に戻りました。

製造部長:失礼いたしました、続けます。炉前にですね、バーナーが、重油バーナーが付いてございまして、だいたいこのあたりが1300度くらいの温度になっております。中に入っている亜鉛を回収するんですけども、投入した原料から亜鉛が揮発してきまして、その後すぐ酸化して固形分になって、後段のガスクーラー、バグフィルターでシッカリ除塵を行っていきます。除塵を行った後は先程ご覧いただいた排ガス工程で、ガスをクリーンにしていくという工程でございます。このガスクーラーというものが、そこに、ご覧いただけるかと思うんですけども、中に、チューブが入ってございまして、排熱回収をしてございます。その排熱は、このロータリーキルンのバーナーの熱に使ったりしたりということで、有効利用をしております。はい、キルン工程は以上でございます。そしたら、次の工程がございますので、バスに乗車願います。

小川:ちなみに(キルンの)直径は何mでしょうか。

製造部長;3.77m、3.55m です。外形と内径といろいろ種類があります。

小川;耐火煉瓦を内部に回してあるからね。

■再びバスは参加者を乗せたバスは再びメイン道路の坂道に戻りました。筆者がまた質問しました。

小川:すいません。質問いいですか?移動中ですが。いまのロータリーキルンの躯体は導入してから交換したことはございますか?

製造部長:あのう、場所によってですね、何m間、何m間ということで交換はしています。

小川:では、最初に秩父セメントから(中古のロータリーキルンを)持ってきたころに比べると、完全に入れ替わっているというふうに考えてよろしいわけですか?

製造部長;完全には入れ替わってないですけど、熱負荷が高いところ等は。

小川:なるほど。では、向かって右手のほうですね。分かりました。ありがとうございます。

■坂道に合流する際、「では下に行きます。はい」と運転手が確認の指差し点呼をしました。そして、バスは、非鉄スラグを運ぶベルトコンベアの高架の脚柱が立ち並ぶ坂道を下っていきました。くだり終えたバスは、電解工場の建物の脇を通過して、K砕置場に向かうスロープを下り、置場の構内に入りました。

 バスの窓から内部をみた参加者の皆さんは「すごいな。ここは。広いな」と声を上げました。

製造部長:先程のロータリーキルンから発生したクリンカーはベルトコンベアでこのK砕出荷場へ送られます。常時、水で湿らせてございます。滑りますので車からのご視察ということでお願いします。このK砕出荷場の面積は1万2千uです。建設の目的は、もともと使っていた古い置場は手狭であること、物量バランスや出荷選別先がとりやすい広いスペースになるために、ここに設置しました。建設に係る法的手続きとしては大気汚染防止法に関します粉塵発生施設の届出を行っております。また、出荷場に保管された時点では、廃棄物に該当しませんけども(注:この発言については行政に確認する必要がありそうです。なぜなら行政が廃棄物と認定したものをここでストックしているのが実態だからです)、出荷先によって、廃棄物として委託処理をしております。すなわちこの保管場所も、廃棄物の保管場所として満足させた出荷場となっています。地面には厚いコンクリート製の土間、周りは高さ4mのセメントの防護壁に鉄製フェンスが2m足してございますので粉塵や音が外部に周辺しないように工夫しております。またご覧のように、土間は常時濡れた状態で、常時シャワーリングしてございますので、発塵の、がないように管理なども気を配ってございます。それでは、次へ。

小川:一つだけいいですか?確認の質問、すいませんねいつも。今全量を、廃棄物として処理されているというふうにうかがったのですが、そういう理解でいいんですよね?全量ですよね?

製造部長:はい。

小川:はい、ありがとうございます。

■K砕ヤードを出たバスは、電解工場の北側の道に入り、右手に、先年降雪でつぶれた高裁置場を新設した建物を見ながら少し進みながら、「では次は、調合の前で降りていただきます」と八杉部長がアナウンスした後、運転手に「スラブの前で拾ってもらいます」と指示していました。ほどなくバスが調合合金の製造現場に到着しました。以前はここで、バグフィルターの説明をしていましたが、今回は調合場所の付近でバスが停車しました。下車の前に八杉部長が「次は鋳造工場になりますけども、製品等熱い場合もございますので、お手を触られないようによろしくお願いします」と参加者に注意喚起をしました。

 下車した参加者の皆さんは熱気を感じる調合合金の製品が並んだ一画に集いました。

製造部長:こちら熱いですから気を付けてください。こちらは、鋳造工場。最終的にこういう亜鉛の製品になっていきます。亜鉛製品は常時120種類くらい、作ってございます。少量のものを入れますと、およそ200種類くらい作ってございます。各タイプの製品があります。そのなかで、このエリアは調合亜鉛工場と言いますけれども、大体この製品で6割くらい、量をつくってございます。この調合亜鉛というのはジャンボ・インゴットとも言いますが、高炉メーカー、鉄鋼のメッキ鋼板に使われるものです。自動車用のメッキ鋼板に使われるのですが、この、これは純亜鉛のものとアルミを添加した調合亜鉛というものがございます。あの奥に溶解炉がございますが、電解工程で電気分解して作ったカソード板を溶解させて、専用の金型に鋳込んで製造します。アルミを調合する時には、アルミの溶解炉に入れてアルミ地金を予め溶かしておいて、亜鉛溶鉱と混ぜて合金をつくります。ちょうど今、吊り上げていますけど、専用の金型に鋳込んだ後、下から油圧で押し上げて、これから、払い出していきます。全部で3系列、調合炉が3系列ございまして、それぞれ違うかたちで、ユーザーのかたちで、商品を作っています。ああいう形というのは、ユーザー指定のかたちでありユーザーもこの形に合った自動機械を入れて掴んで投入していると、いう形でつかっています。

 参加者の目前でちょうど、天井クレーンで吊り上げられたジャンボ・インゴットが床面の上に置かれて、作業者が測定し始めました。

製造部長:今規格に合っているか、調べています。大型のノギスを使った外形寸法を計測しています。では次は、一般的な電気亜鉛のほうへ行きますので、そのまま、西側に向けて歩いていただきます。

小川:あれはレベルで測っているのですか?それとも重量?

製造部長:重量もレベルも両方で測っています。製品によっていろいろな規格がありますので、それらの規格に合うように決めた事項を確認しています。

小川:いろいろな規格というのはユーザーサイドから示された規格ということですね?

製造部長:そうです、そういうことです。

■調合合金エリアをあとにして、参加者は西側に歩いて移動しました。

製造部長:ここは電気亜鉛というものを作っております。一般的な電気亜鉛スラブというものがありまして、純亜鉛であります。で、あそこに見えるひとつが溶解炉で、さきほどの調合亜鉛と同じく、電気分解でできたカソード亜鉛を溶解しているところです。そのあと、今、こう、シーソーみたいに動いていますが、あれが規定量の亜鉛溶鉱を汲んできて、インゴットケースのなかに流し込んでいきます。この設備は2レーンございまして、今、西のレーンだけが動いています。出てきた製品はロボットで自動的に積み上げています。昔は人手で積んでいましたが、今ではロボットになっています。今、ちょうどそこに出てきていますが、1枚が20キロで50枚で、重さが1トンとなっています。ちなみに、こちらに出ているのは脚(あし)と言いまして、あのへんを見ていただくと一番下だけ脚が付いておりまして、この脚も電気亜鉛でつくりますので、こちらの方から脚をつくってきて最終的に積み立てて既定の重さにするというかたちでございます。

 現場では鋳型から電気スラブを取り外すときに生ずるハンマリングの音が騒がしく響き渡っていました。先程の調合工程でもそうでしたが、ここでも、耳栓が必須だと感じました。

製造部長:よろしければバスに戻って抱きます。

小川:すいません。これのユーザーは小ロットのお客さんですか?高炉とかの製鉄会社ではなくて、どのようなお客さん向けですか?

製造部長:小さな亜鉛メッキもあれば、ダイキャストに使ったりとか、ですね。

小川:なるほど。ありがとうございます。

参加者:40年位前、公害が起きた頃、世界で4番目くらいの電気亜鉛の生産だと誇っていたけど、いまでもそれぐらいかね?

小川:世界的に見れば、ここは伸びていないので、今は他のところがどんどん大きくなっているはず。先程も日本の亜鉛精錬のシェアが20パーセントだといっていたように、日本でもトップではない。たしかにかつては世界最大級と言われて、あの変電所を違法につくったくらいですから。でも今は国内の産業での亜鉛消費が伸びていないので以前のような活況は見られない。最近は非鉄金属の価格があがっているから、輸出ドライブがかかっているかもしれないけど、でも昔のような、あれほど大量にはさばけないでしょうね、もう二度と。

■参加者を乗せるとバスは再び構内を出口の方向に向かいました。車窓には古びた工場の建物が連なります。

小川:こうしてみていると、昭和のレトロ感を感じるでしょう。そういう意味で、名所スポットになりうる要素はありそうですね。産業遺産でね。負の産業遺産でしょうけど。あ、そんなこと言っちゃいけないのかもね。フィルムコミッションでね、映画のマトリックスみたいな近未来的なシーンのネタにもなりうるかもね。

■などと社内で参加者同士で話が弾みましたが、バスは間もなく浄水施設のある場所につきました。一同、バスから降りて、勾配のある鋼製の階段を上り、グレーチングの上を歩いて、浄水設備や集水池がいくつも見渡せる場所に出ました。

製造部長:えー、次は…廃水処理工程でございます。製錬工程の雑排水を集水池に集めております。製錬工程で使っているさまざまな溶液は、こういうところに来ないように、工程内で繰り返して使っております。それ以外のたとえば道路に降った雨だとかそういうものを集めて、浄水処理をしております。

 八杉製造部長の説明の合間に、集水地の脇の樹木帯から蝉の声がしきりに聞こえてきます。

製造部長:えーと、こちらが、集水池の絵でございます。現物を見ていただいたほうがいいかもしれませんが、集水池というものが、第1集水池がむこうにあります。今、ここでいうとここなんです。道路、私たちがここにいます。第1集水池、第2集水池が、今ここに見える集水池です、第3がむこうですね。

小川:奥にありますね。

製造部長:はい。第4は奥ですね。第5は今見えません。第6は新しいものです。極力、空にして待っておいて雨が降ったときに集水を掛けて水処理をしていくという形になってございます。処理方法でございますけれども、集水池に集められたものは、中和槽というもので苛性ソーダを入れて、pHを10から11くらいに調整します。凝集沈殿法で、重金属を固形分にして沈殿させてシックナーで、静かにしておくと固形物と上澄み液と分かれていきます。固形分のほうはフィルタープレスをかけて、製錬溶液と混ぜながら、もう一度製錬工程へ戻していきます。上澄みのほうですが、まだ微量なSS分といいますか、浮遊分が残ってますので、沈殿池で静かに沈降させた後に、濾過機にかけて、まだここの時点ではpHが10から11なので、放流できるようなpHに、7とか8に調整してから放流していきます。ご覧のように安定した状態で浄水処理を行っていると、いうことであります。まあ、最近のあの雨に対しても、こういうようなかたちで集水池は空の状態で準備、ということで応対しています。よろしければ、バスに戻りたいと思います。

小川:すいません。ここにサンドフィルター2つ入っているんですが、どこにあるんですか?

製造部長:ここですね、砂沪過器は。

小川:前はなかったような気がするんですが。

製造部長:いえ、昔からあるこの2つですので。

小川:そうか、(説明板に描かれた)字が古くなり書き換えたのですね?

製造部長:はい。

高坂弁護士:これはさ、K砕にかけている水はどこに行っているんですか?

製造部長:そこに持って来てですね、処理します。

高坂弁護士:集水地に入れて?

製造部長:集水地に持って来て。あの、先程ご覧になられたK砕出荷場の水ですよね?

高坂弁護士:はいはい。

製造部長:はい、繰り返し使用しながら濃度が高まった場合に、こっちに戻ってくるという形です。

■展望台のような視察場所からバスに戻る際、製造部長から「左側に飛び出ている部分がるので気を付けてお進みください」と注意喚起がありました。浄水施設も水回りなので、錆が出やすいと見えて、足元の薄いエキスパンドメタルもペンキこそ厚く塗られていますが、何やら腐食が進んでいるのではないかという懸念が、感じられました。

 ちょうど10時のサイレンが鳴り渡りました。すると構内にチャイムが鳴り、「環境時間になりました。窓を開けて換気をお願いします」と男性のアナウンスの声が響きました。コロナ対策のスローガンのようです。

 バスに戻りましたが、今日は蒸し暑いため、参加者から「蒸しますね」と感想がこぼれました。製造部長が気を遣い「ちょっと蒸してきたようですが、体調の悪い方は…、大丈夫ですかね?」と声掛けをしてくれました。「なんとか大丈夫です」と参加者から応答がありました。

■バスは正門を出ると、昔、売店と食堂だった建物の脇を左手に入り、従業員の駐車場から、柳瀬川添いに、隣のパチンコ店の広い駐車場の近くの空き地に向かいました。そこにはブルーシートで覆われた土砂の山がありました。説明者が、今度は司会の環境管理室長です。

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会社司会:こちらが公特事業で使われる客土の仮置き場。昨年の12月に第1回目の土砂の搬入がありました。そして今年の7月に2回目、うかがっているのは1回目が1800㎥ほど。今年の夏に入れたのが1400㎥ほどと聞いております。向かって左側はブルーシートが掛かってますけれども、右側は第2回目の搬入が終わった後、だいぶ、そこにブルーシートが掛かっていたんですけど、だいぶ雑草と言いますか、が、だいぶこうブルーシートが見えないくらいの状況になっていたんですけど、どうもその雑草の処理のために、一回ブルーシートを剥いで、雑草をいま除去している最中のようです。この後ブルーシートが掛かるというふうにうかがっております。よろしいでしょうか。

小川:それほど今年の夏は雑草の伸びがよかったというわけだ。

 駐車場をぐるっと回るとバスはすぐに総合事務棟前の広場に到着しました。

製造部長:これで工場内の視察は終わりになりますけれど、お願いがございます。お手数をおかけするんですが、手の消毒をよろしくお願いします。トイレに行かれるかたは、1階若しくは2階のトイレをご利用ください。ありがとうございました。

【市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬・・・この項つづく】
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