パワハラとエコ贔屓が跋扈する群馬県庁…知事の「コメントに値せず」を受け第三者委員会に消極的な人事課  オンブズマン活動

■部長級であと1年で定年退職の参事が自殺するという衝撃的な事件が起きたにもかかわらず、山本一太知事は、9月24日の第26回定例記者会見で、「記事の中身を読めばわかるが、すべて伝聞方式。『らしい』とか『言われている』とか、殆ど事実に基づかないと思っており、コメントするに値しない気がする」と述べました。
 また、発言を促された友松寛総務部長も「知事が言ったとおり、報道内容は、主要な部分で正しくないと思う。実際にどういった仕事との関わりがあったのか、しっかり確認をしたいと考えており、その結果がまとまれば、ご家族には丁寧に説明したい」と言いました。
*****令和3年9月24日定例記者会見動画*****
https://www.youtube.com/watch?v=t-pJkqcbtwU
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20210924山本一太群馬県知事定例記者会見
○県職員の自殺について
28:48〜NHK記者の質問
29:08〜山本知事の回答コメント
30:18〜31:15友松総務部長の回答コメント
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■視聴いただくとお分かりのとおり、知事も総務部長もそれぞれわずか1分程度の見解を述べたにすぎません。知事は「伝聞じみた記事でコメントに値しない」とまで断言しました。

 また、あらかじめ記者会見場の袖で待機していた総務部長は、一太知事に促されて会見席に座り、「報道内容は、主要な部分で正しくないと思う。実際にどういった仕事との関わりがあったのか、しっかり確認をしたいと考えており、その結果がまとまれば、ご家族には丁寧に説明したい」として、額面通りに受け止めれば、第三者委員会の設置も視野に入れているかのような発言をしました。

 しかし当会が先日、実際に県庁を訪れて人事課に聞いてみるとやはり第三者調査委員会の設置はまったく未定とのことです。

■パワハラやエコ贔屓人事など、群馬県は内部の不都合な情報については、隠蔽体質の為、きわめて及び腰で、当会が現在係争中の事件でも、群馬県総務部人事課は「伝聞情報に過ぎない」と主張し、内容について説明をしたがらないのが常です。

 しかし、伝聞情報だからこそ、真相をきちんと確認する必要があるはずです。一太知事と友松総務部長の記者会見での対応を見れば見るほど、県庁内でパワハラが横行していることがますます可能性として高く感じざるを得ないのは当会だけではないと思います。

■実際、県庁をリタイアした職員OBの間からは、「県庁内では前々からパワハラが凄かった! 特に国から来た幹部にロクな人物はいなかった!」という率直な感想が聞こえてきます。

 今回自死に追い込まれた農政部参事のかたは、週刊誌によれば群馬県内の出身で、岩手県の大学で畜産を学んだあと、群馬県庁に入庁し、一時期は県内の土木事務所に出向していたこともあるということですが、本来は環境森林部に長年所属していたとみられます。

 同参事は農政部の鳥獣被害対策担当で、高崎市箕郷町西明屋にある農林大学校の一画にある鳥獣被害対策支援センターに常駐していました。

 同参事が自死に追い込まれた原因として、週刊誌の記事では「上層部が経費削減の一環で、県内の狩猟関係者向けの射撃練習場の予算をバッサリ切ったため、その対応に苦労していた」と報じられています。

 ちなみに、群馬県の狩猟行政は環境森林部所管で、自然環境課の野生動物係が狩猟免許・登録の業務に携わっています。また、自然環境課の桑原宏政課長によれば、射撃練習場の予算は自然環境課扱いなのだそうです。

 ところが、有害鳥獣対策については、以前は環境森林部で所管していたようですが、農業被害が多くなったことから、その後、農政部に所管された経緯があります。そのため鳥獣被害対策の担当参事は、代々、環境森林部出身者がその任に当たっているのです。

 そのため、自死された農政部参事のかたも、3年前に環境森林部から農政部に異動になりました。

■ちなみに、2019年7月21日の知事選に先立ち、自民党群馬県連内では、群馬県森林組合連合会(会長・八木原勇治)をはじめとする森林関係者は、大澤正明前知事の続投を支持しており、現知事の山本一太を応援していませんでした。なぜなら群馬県森連の八木原会長は、群馬県森林組合連合会(県森連)の生え抜きの職員で、県森連に勤めながら、自民党群馬県連の青年部を創設し、知事選や国会議員をはじめとする各種選挙で重要な役割を果たしており、その功績で県森連のトップに上り詰めた御仁で、大澤正明を全面的に支持していたからです。

 一太知事は、2018年12月5日に逸早く出馬を表明していましたが、自民党内での一本化は難航を極め、2019年2月6日に前知事の大澤正明がようやく不出馬を宣言したあとも、党内では別候補を立てる動きが続いていました。

**********日経2019年2月6日22:00
群馬県知事選、焦点は「自民一本化」 現職不出馬で
 群馬県の大沢正明知事(73)が任期満了に伴う今夏の知事選に出馬せず、今期限りで引退する。2007年に初当選した大沢氏は現在3期目。多選や自身の年齢などを総合的に判断した。知事選には自民党の山本一太参院議員(61)がすでに立候補を表明している。党内には別の候補者を模索する動きもあり、今後は自民が山本氏に一本化するかが焦点となる。
 6日午前の記者会見で正式に不出馬を表明した。大沢氏は初当選時に「2期8年」を公約に掲げており、「多選や自身の年齢のこともあって、3期目の当選時から今期限りという思いだった」と話した。
 任期中には特別支援学校の整備を進めたほか、14年の「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録に尽力した。高崎市では大型コンベンション施設が着工し、20年春に開業を控える。同年春には長野原町に八ツ場ダムが完成する予定だ。大沢氏は「大きな事業の方向性がついた。今後は若い人に群馬を引っ張っていってもらいたい」と述べた。
 知事選への立候補を表明している山本氏は第2次安倍内閣で沖縄・北方相を務めた。経験や知名度は豊富だが、党内では党県連に事前説明なく出馬を表明したことに反発する声もある。大沢氏が出馬すれば保守分裂となることから、進退に注目が集まっていた。
 大沢氏は07年、自民党公認候補として知事選に出馬。4期16年にわたって知事を務めていた当時現職の小寺弘之氏を破り、初当選した。
 会見で大沢氏は「自分が知事になったときも分裂選挙だった。経済界にも現職(の支持者)が多く、腹を割って議論できるまでに時間がかかった」と話した。その上で「官民一体となって進むため、(今夏の知事選では)一本化して選挙ができるよう期待したい」と述べた。自身の後継候補を指名することは否定した。
 大沢氏の不出馬表明について、県庁内では冷静な受け止めが目立つ。ある幹部職員は「山本氏の出馬表明を受け、大沢氏には追い込まれている感じがあったので、この結果を予測していた人も多いのではないか。無理に出馬して晩節を汚さなかったことはある意味英断だと思う」と話す。
 一方、自民党内の一部では現職知事が進退を明らかにする前に出馬表明した山本氏への反発が根強く残る。大沢氏に近い有力者の間では「このまま不戦敗というわけにはいかない」と、対抗馬擁立を模索する動きが消えていない。
 大沢氏の地元である群馬県太田市では、不出馬を残念がる声が上がった。太田商工会議所の正田寛会頭は「国道354号の全線開通など、市民の課題解決に尽力してくれた。中心部だけでなく((群馬の南東部にあたる)東毛地域に光を当ててくれたと思う」と振り返った。
**********

 こうして知事選出馬レースを苦労して勝ち抜いてめでたく知事に当選した一太知事としては、辛酸を味わされた林業関係者を疎んずるようになったことは、十分に考えられます。

 事実、一太知事就任後、冷遇された林業関係者の間で盛んにボヤキがささやかれ、当時、大澤正明知事時代、環境森林部長だった林業畑の桑原雅美氏は、さっそく農林大学校長に飛ばされました。
※農林大学校だより「Sinrei榛黎」第73号令和3年3月18日発行
http://gunma-iaf.ac.jp/daigakkou_annai/shinrei_images/dai73gou.pdf

 そしてその後任に、総務部の管理課長だった事務職の岩瀬春男氏が環境森林部長に就き、現在に至っています。

 こうしてみると、環境森林部所管の射撃場予算も切られたのかもしれません。他方、農政部の技術支援課には鳥獣対策係という部署があり、農作物鳥獣害対策に携わっています。興味深いことに、2018年度に農政部技術支援課長だった藤井俊弘氏が、今年の4月から、前任の林業畑の桑原雅美氏に代わって農林大学校長に就任しています。
※農林大学校HP
https://xn--gunma-iaf-py9n006k.ac.jp/daigakkou_annai/aisatsu.html

■一太知事自身、知事就任直後のブログで、大澤正明前知事の県政を検証した感想を綴っています。

**********山本一太ブログ「気分はいつも直滑降!」2019年10月06日18:31:34
大澤県政検証プロセスの中で痛感した前知事との大きなスタイルの違い〜県庁幹部の戸惑いは当然?!
2019年10月6日:パート2
 夕方。先ほど首席補佐官と電話で話をした。豚コレラ対策に関する新たな指示を出した。
 忙しい公務の間を縫って、12年間の大澤県政の実績や軌跡を検証している。大澤知事が日々、どんなスケジュールで活動していたのか?!どんな戦略で海外出張を行なっていたのか?!任期中、主にどんな人たちと会い、どんな情報交換をしていたのか?!そうしたことを正確に把握したい。
 もちろん、目的は大澤県政のアラを探すことではない。政策決定プロセスから、仕事の内容、議会や職域・業界団体との関係、県職員との繋がり、前知事の人脈や参加行事まで、あらゆる分野の活動の中で「ひとつでも参考になる点」があれば、自らの県政運営に生かしていきたいからだ。引き続き情報収集に努めたい。
 先日、大澤前知事3期目のある1ヶ月間の活動にスポットを当ててみた。過去の日程表と秘書室等からの情報を踏まえ、前知事の30日間の仕事の中身を調べた。かなり正確な活動内容のメモが作成出来た。それと山本一太の1ヶ月間の日程表を並べ、比較してみた。
 なるほど、こんなにスタイルが違うのか!(驚)これじゃあ、県庁職員(特に幹部)も戸惑うわけだ!! 何がどう異なるのか、細かいことは書かない。
 山本一太知事誕生から2ヶ月。この間、幅広い分野で様々なプロジェクトが始動。同時進行している。断っておくが、自分は各部局の幹部に、「これとこれを明日までにやって結果を持って来い!」みたいな高圧的な要求はしない。
 その代わり、(ほとんどの場合)「これまでの部局の努力は良く分かっています。少し時間がかかると思いますが、このプランを何とか実現したいので検討してもらえませんか?」とお願いする。
 が、それでも、この2ヶ月で新知事が提案したほとんどの事業が実現したか、形になりつつある。(感謝)県庁の職員には、それだけの能力とやる気があるということだ。👍
 職員の皆さん、次々と新しい宿題が出て来て大変だと思いますが、群馬県をもっと輝かせるための共同作業です。今後も知事の挑戦に力を貸してください!!
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 こうした流れを見てみると、自殺した農政部参事の方の置かれた微妙な立場が浮き彫りになってきます。

 自死されたご本人の立場になって考えてみれば、そもそも畜産分野を学んだとはいえ、その後農政部ではなく、森林部門で長らくキャリアを積んだあと、農政部幹部に就任したわけで、今年の3月までは、一太知事に飛ばされたとはいえ、元の古巣の環境森林部長だった人が同じ敷地内の農林大学校長として居たことから、少しは愚痴もこぼせたかもしれません。

 しかし、今年の4月から、農政部の技術支援課長だった人が、農林大学校長として就任してきたわけで、よけいストレスが溜まった可能性もなきにしもあらずです。まさに、相談相手もいない「針のむしろ」状態だったのかもしれません。自死された農政部参事の方は、真面目で優しい性格だったので、色々な逆境に耐えられなかったのではないか、という見方もできるでしょう。

■一太知事による森林関係者への冷遇措置が、今回の悲劇の引き金になったかもしれず、とりわけ総務部の人事課は、慎重にパラハラの有無について調査をすることにより、そうした疑念を払拭すべきです。一太知事は、直ちに第三者調査委員会の設置を人事課に指示し、早急に、自死の原因や遺書の内容の確認と分析を中立の立場で、推進しなければなりません。

 知事が自死した参事の自宅に弔問に訪れようとして遺族に断られたと報じられていることからも、自身や腹心の副知事によるパラハラの影響があったのかどうかについて、しっかりと調査を行わない限り、まじめに公務に専念している多くの県職員のモチベーションは損なわれたままになってしまうでしょう。

■そのため、当会では10月13日までに県庁を訪れて、総務部人事課、環境森林部自然環境課、農政部技術支援課を訪れて、この痛ましい事件に関係する諸情報を集めようとヒヤリングを試みました。人事課によれば、亡くなった農政部参事が常駐していた鳥獣被害対策支援センターでは、参事の後任は任命せず、ナンバーツーの船戸弘所長が、参事の業務を兼務しているとのことでした。

 しかし、週刊誌の記事で「上層部が経費削減の一環で、県内の狩猟関係者向けの射撃練習場の予算がバッサリ切られた」と報じた件について、射撃練習場の予算を司る自然環境課は「とくに予算がバッサリ切られたという実感はない」としており、技術支援課では「豚熱対策の為、野生のイノシシ駆除などには補正予算を十分に充当している」と話していました。ただし、同課鳥獣害対策係では、「人事課に聞いてほしい」と当会の質問に対して初めから拒否反応を示しました。

 こうした状況の為、隠蔽体質の群馬県に対して果たしてどの程度効果があるかは未知数ですが、限られた手段として条例に基づき公文書開示請求を通じて事実関係を確かめることにしました。そして、10月13日に以下の内容で一太知事あてに情報開示請求をしました。

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*****開示請求項目*****
最近、週刊誌で「群馬県庁『パワハラ自殺事件』59歳職員服薬自殺の深まる謎」と題する記事の中で、「上層部が経費削減の一環で、県内の狩猟関係者向けの射撃練習場の予算をバッサリ切ったようで、その対応に苦労していた」と報じられている事実関係がわかる一切の情報
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■さっそく自然環境課から、請求内容の趣旨について問い合わせの電話が当会にありました。当会からは、「過去数年間の射撃練習場関連予算の推移をチェックして、大きく減額された予算の費目がないかどうか、その結果を知りたい」と伝えました。

 最終的にどのような情報が出てくるのか来ないのか、予断を許しませんが、開示通知が到来したら、読者の皆様にご報告することにしております。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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