2012/2/16  10:45

フリマ中止を巡る未来塾側と安中市・岡田市長とのバトル・・・逆転劇となった東京高裁での攻防(その5)  安中フリマ中止騒動

■未来塾側が安中市側を訴えた損害賠償控訴請求事件の第2回口頭弁論は、平成22年12月20日(月)午前11時30分から東京高等裁判所第5民事部511号法廷で開かれました。

 安中市職員が傍聴の為出張して同日に市長に提出した復命書(出張報告書のこと)によると、次のとおりです。

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平成22年12月20日受付・起案、平成22年12月28日市長決裁
件 名 復命書(損害賠償等請求控訴事件の第2回口頭弁論)
地域づくり団体未来塾の市に対する損害賠償等請求控訴事件について、下記の通り第2回口頭弁論が行わ
れ、傍聴しましたので復命いたします。

1.日時  平成22年12月20日(月)午前11時30分
2.場所  東京高等裁判所第5民事部511号法廷
3.事件番号  平成22年(ネ)第4137号
4.当事者  (控訴人) 地域づくり団体未来塾 代表 松本立家、訴訟代理人弁護士 山下敏稚
       (被控訴人) 岡田義弘、安中市訴訟代理人弁護士 渡辺明男
5.概要  控訴人から第1準備書面および第2準備書面、安中市から準備書面について陳述。控訴人は平成23年2月10日(できるだけ早く)までに準備書面を提出することとなった。次回口頭弁論は、平成23年2月21日午後4時第5民事部511号法廷と決まった。(次回結審予定)
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■この復命書に記載されている安中市が第2回口頭弁論で陳述したとされる準備書面は、平成22年12月17日付の被控訴人の安中市側の準備書面(2)です。通常は弁論期日予定日の遅くとも2週間前に出すのですが、寸前に、あるいは法廷で当日提出するのもテクニックの一つです。安中市の顧問弁護士で群馬県公安委員もしている多忙な渡辺明男弁護士が、おそらく安中市の秘書行政課の職員にハッパをかけて、また、岡田義弘市長が直々に職員を叱り飛ばして、急遽ドラフトを作らせた可能性も否定できません。

 いずれにしても、同11月29日の控訴人の未来塾側から提出された第1準備書面と第2準備書面をみて、岡田義弘市長が拠り所としてた日本音響研究所の鑑定書の内容にイチャモンがつけられていたので、慌ててこれを払拭するために、わざわざ、ICレコーダーによる録音記録の改ざん等不自然な加工で証拠採用されなかった判例を引き合いに出して延々と例示するのが目的でした。

 じわじわと、外堀を埋めてくる未来塾の裁判進行テクニックには、群馬県公安員や県内有名会社の顧問弁護士をやっている渡辺弁護士としては守勢に立たされている観は否めません。

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平成22年(ネ)第4137号  損害賠償等請求控訴事件
控訴人  松本立家 外1名
被控訴人 岡田義弘 外1名
          準 備 書 面(2)
                         平成22年12月17日
東京高等裁判所第5民事部 御中
                被控訴人安中市
                訴訟代理人弁護士  渡 辺 明 男
第1 社会的評価の低下について
1 市長選挙の結果について
 控訴人らは,社会的評価の回復のために必死の努力があってこそ,市長選挙における接戦という結果を生んだと主張し,その努力の例示として,会報の発行,議会の一般質問及び本訴訟の提起などをあげている。
 しかし,乙24号証の新聞記事に「訴訟は市政の大きな課題ではなく,対立関係が市長選に持ち込まれた経緯を多くの市民が分かっている」と書かれているように,民事訴訟による対立を市長選挙に持ち込んだが故に,市民から冷ややかな見方をされ,投票率が低迷したという実態がある。
 このため,本訴訟の提起は,立候補者の高橋由信陣営の中心であった控訴人らにとって,純粋な政策論争であれば得られるべき票を失ったとも言える結果となっている。
 岡田義弘陣営の選対本部長が「不安はないが,油断することなく」(乙22号証)と述べているように,大方の推測として市長選挙があのような接戦となることは予想していなかった。
 このことから,当該市長選挙の結果や市民の冷静な反応から判断すれば,本件談話の発行が控訴人らの社会的評価に何ら影響を与えていないことは明白であって,むしろ,被控訴人岡田義弘の行政手腕が「独善的」と指摘される(乙24号証参照)要因の一つとなり,得票にも影響を及ぼしたと言えるのではないだろうか。
 なお,念のため付言すると,被控訴人岡田義弘は,直裁的な発言から誤解を受けることが多いが,行政執行そのものは,決して「独善的」ということはない。
第2 真実性・真実相当性について
1 録音記録(甲39・甲40)
(1)録音記録の提出の時期が遅れたこと
 録音記録の提出の時期が遅れたことについて,名誉毀損の立証責任から被告の抗弁事実に対する反論・反証として位置づけられることを理由としているが,平成20年(ネ)650号各損害賠償,手帳返還等請求控訴事件(乙25号証)においては,第3回口頭弁論で原告側から提出されたICレコーダの記録が時期に遅れた攻撃防除方法であると被告から批判されている。
 本件では,いったい,いつ,控訴人らは録音記録を提出する予定だったのか?
 上記事件と同様に控訴人らは,市長室で意見交換会が開催されたため,被控訴人らに録音記録があることを恐れ,それが不存在であることを確認したうえで録音記録を提出する予定であったと疑われてもやむを得ない。
 そうでなければ,控訴人らが怒鳴っていないことなどを裏付ける,極めて有利な証拠を,こちらが要求するまで提出してこない理由が見当たらない。
 しかも,原審において,被控訴人らは日本音響研究所の指示に従い,音源であるICレコーダ本体から直接データを抽出させてくれるよう求めたが,裁判長がその必要を認めなかったという経過があったにせよ,控訴人らは意見書まで提出してこれを拒んでいる。
 確かに当初は,被控訴人らもICレコーダのメーカーからの説明で,編集加工を施したものを本体に書き戻すことが可能な機種(乙15号証参照)とされたため,本体のデータ自体の真実性が極めて疑わしいことから,あえて提出を求めなかった。
 しかし,その後,鑑定を実施するに当たって,専門家である日本音響研究所から本体からのデータ抽出が必要とされたため,この事情を説明し,改めて提出を求めたが,控訴人らは,被告らの要求は理由も不合理であり,必要性を全く欠いているうえ,訴訟の遅延を招くものであると主張してこれに応じなかった。
 編集加工していないなら,なぜ正々堂々と提出に応じなかったのか,また自ら鑑定を求めなかったのか,非常に疑問が残るが,以上の経過でやむなく被控訴人岡田義弘が事実を証明するため,個人の費用をもって,写しのCD−Rにより鑑定を依頼したものである。
 このような控訴人らの不可解な訴訟対応も,本体データに編集加工を施したことが大きく疑われる証左を示すものと言える。
(2)鑑定書の信用性について
 専門家が作成した鑑定書の信用性について,互いに素人意見を重ねても意味がないため,あえて反論はしなかったが,そもそも原審においては,鑑定自体が不要とされたうえ,鑑定人の証人尋問も認められていない。
 控訴人らは,時計の衝撃音がマイクと時計との距離,マイクの感度等,何らかの原因によって録音されない場合かおるとしているが,録音した者はICレコーダの位置を変えたのは,一度だけであり,録音の障害となるものはなかったと陳述している(甲52号証松木通陳述書6頁参照)。
 したがって,マイクと時計との距離,マイクの感度などが原因で,時計の衝撃音が録音されたり,されなかったりするはずがない。
 しかも,実際に市長室に来たうえで,意識して聞いてもらえばわかるが,長針による衝撃音はかなり目立つ信号であって,それが確認できないことは非常に不自然である。
 また,30秒を単位として削除するという編集加工の作業自体が極めて不自然としているが,合計で30秒という意味であれば,例えば15秒+10秒+5秒を削除しても辻棲は合う。
 こうした場合に途中の10秒に長針による衝撃音が記録されていたが,その部分が削除の対象になったと考えれば,全く矛盾は生じないし,さらに,録音内容を削除したうえで全く同じ時間の編集加工した内容を挿入したことも想定できる。
 なお,衝撃音は聴き取りやすい場所と聴き取りにくい場所があるが,はっきり聞こえるところであれば,誰もがその衝撃音には気付くものである。
 控訴人らは,衝撃音を意識していたが,上記のような特性があるので,聞こえないところもあってもおかしくないと判断した可能性は考えられ,時間調整のみ行ったのではないだろうか。
 鑑定書後半の証明方法では,番号136から137の間で3分あるいは3分30秒のまとまった時間の削除が行われたことを示唆するものであるが,30秒又は1分までの削除ならば,誤差の増加の直線上に大きな変化は現れにくいと考えられる。
 この場合において,既に指摘したように,録音内容の挿入も行われていたとすれば,誤差増加の直線上には一切の影響は起こらない。
 時計については,市長室の時計は,子時計であり,親時計は電話交換室の壁に設置されている。
  メーカーはセイコー社であって,「RADIO CONTROL」と表示されているところから,本来はNHKのラジオを受信して,自動的に時刻修正をするタイプであったが,現在は同調しておらず単体で動いている。
 また,時計の表面にはCrystalと表示されているため,水晶振動子を使用したクォーツ時計であると推察され,その精度については,控訴人らの主張のとおり,月差±15秒以内のレベルである。
 事実,鑑定を依頼するに当たって,10月2日(金)午後3時から10月9日(金)午後3時までの1週間で市長室の時計を精査しているが,3.75秒以上の誤差は生じていなかった。
 したがって,意見交換会が行われた約2時間程度では,時計による誤差は,最大0.05秒に過ぎず,鑑定では全く問題とならない。
 また,ICレコーダの機械的な誤差については,鑑定書では「このような誤差は機械的,ソフトウェア的に発生するものであるとすれば,急激に変化するものではなく,徐々にずれていくものである」(鑑定書7頁15〜16行目)としている。
 鑑定を依頼した日本音響研究所は,村越吉辰ちゃん誘拐殺害事件をはじめとして,数々の刑事事件の音声分析のほか,裁判所,各国政府機関等からの依頼で音声・音響分析の鑑定を行っており,その信頼性は高い。
(3)控訴人らの鑑定について
 控訴人らは,次々回期日までに専門家の立場から分析した書面を提出するとしているが,被控訴人としても全く異存はない。
 しかし,付言するならば,先の平成20年(ネ)650号各損害賠償,手帳返還等請求控訴事件では,原告側から「音声データのすべてについて,周波数分析を行い,音や信号の周波数成分の状態をスペクトログラムに表示し,録音内容の聴取検査をも併用し,本件音声データを検査した結果,合成,修正及び加工された箇所は見当たらず,編集改ざんされた録音ではない」とする鑑定書が提出されているが,デジタル方式で録音された音声データは,削除,結合等による編集を行ってもその痕跡は残らないと認められるため,本件音声データについて録音後に編集改ざんが行われなかったと断定はできないと事実認定が補足されている。
 本件鑑定書において,編集についての一般的な所見として,デジタル編集は,ICレコーダ等で録音された音声データを,パソコン等を用いて内容の削除・挿入等の波形編集を行う方法で,編集の初歩的な知識があれば編集した形跡をほとんど残さないため,その証明が難しいことをはっきり記している。
 このため,鑑定は市長室に設置された時計の特徴的な音響信号に着目して,その点を中心として分析が行われているが,この調査で明らかに不自然な箇所が生じているため,編集加工されたものと推定しているのである。
 これに対して控訴人らは,デジタル編集であるICレコーダでしかも無断録音された音声データについて,今さらどのような鑑定方法で編集改ざんが行われなかったと証明するのか不明であるが,真実性の証明は極めて困難であると言わざるを得ない。
2 要点筆記(丙17)
 意見交換会の要点筆記であるが,被控訴人安中市代理人が,証人尋問前日,被控訴人岡田義弘に確認したときには,意見交換会においては要点だけを走り書きでメモをしておいた。これが,本人が言うところの頭だけ書いた部分であると思われるが,その夜に意見交換会の内容について,当該メモを元に一生懸命思い出しながら書き,残りを翌日に書いたものであると話していた。
 つまり,あらためて清書したわけであるが,被控訴人岡田義弘にとって,はじめての証人尋問という経験のなかで,質問を勘違いして回答している場面も多かったと思われる。
 なお,市長がメモをとっていたことは,意見交換会の出席者の誰もが認める紛れもない事実である。
 また,市長という立場においては,いったん非常時が発生すれば,睡眠不足や過労があったとしても,休むことは許されず,これを理由に意見交換会の当日に書いたことを不自然であるとするのは,あまりに行政運営を知らない者の考えである。
3 長澤証人に関する録音記録(甲54・甲55)
 確かに民事訴訟法には証人尋問等の証拠調べ中に書証を提出してはいけないという規定はないが,同法156条には,攻撃防御方法の提出時期として,訴訟の進行状況に応じ適切な時期に提出しなければならないとされている。
 おそらく控訴人らは,証人長澤和雄から意見交換会において怒鳴っていないという証言を得るために,弾劾証拠として甲54号証及び55号証を提出したと思われるが,そこには,言葉を濁すだけで怒鳴っていない旨を発言した内容は全く記録されていなかった。
 そもそも無断録音したのも証人長澤和雄が控訴人松本立家に配慮し,本人は怒鳴っていないと発言してくれることや自己に有利な発言を引き出すことを期待して,それを記録に残そうとしたと推測できるが,徒労に終わっている。
 にもかかわらず,証人尋問では,記録された当日の会話の詳細な内容を中心として,厳しく質問しているが,証人長澤和雄から控訴人らが怒鳴っていない等の有利な証言を得ることはできなかった。
 つまり,証人長澤和雄の証明力を弱めることを目的として提出されたものの,はじめから弾劾証拠とするだけの内容は含んでいなかったことになる。
 むしろ,甲54号証及び55号証の内容を全く知らされないまま,その詳細までいきなり聞かれたのでは,記憶が曖昧であることから誘導尋問となるおそれが多分にあり,訴訟における信義則に反することは明らかである。
第3 人格権侵害
1 自己情報コントロール権
 これまで何度も主張したとおり,本件談話は,安中市の広報紙の一部として発表されたものではあるが,情報の厳格な正確性が求められる一般記事ではなく,あくまで市長としての意見表明の場であった。
 市長本人の表現方法として,本件談話を作成し,その内容も同席した3人の部長に確認を行っており,その主旨とするところは真実に全く反していない。
 控訴人らとしては,書かれた内容に不満かおり,本件談話の相当部分が真実に反すると考えることには理解できるものの,それはあくまで主観的な感情であって,客観的に判断すれば,自己情報コントロール権を侵害するような虚偽の内容ではなく,ましてや社会的評価を低下させるものではないことは,原審において認めるとおりである。
2 団体の人格権
 平成22年9月29日付け準備書面においては,公法私法の二元論に基づき,基本的人権が公権力との関係を規律するものではないと主張したわけではなく,控訴人らはその主旨とするところを故意に前提を間違えている。
 人格権は,その性質上,本来は私法上の権利として,私人間に適用されるものであるが,その根源は憲法上の人権として幸福追求の権利に結びつくものである。
 なお,私人間の効力を積極的に捉えない立場においては,人格権は即憲法上の人権とは考えない。
 それに加えて基本的人権は,自然人の権利として承認されてきたものであるから,未来塾のような団体に人格権として名誉やプライバシー(自己情報コントロール権を含む。)を認めることの是非をはじめとして,仮りに,認められるとしてもその範囲を問題としているのである。
 法人等の団体が一定の基本的人権を享有できるとしても,団体一般に名誉感情侵害は認めることはできないし,名誉侵害に対する救済方法として慰謝料を認めることに対しても議論がある。
  しかし,団体一般に対する名誉保護の範囲が,人格権の権利主体であるべき自然人と対等に取り扱われるべきではないことは、控訴人らも異論はないはずである。
 特に,その名前で独自の社会的信用の保護が問題となるような控訴人未来塾の場合,相応の社会的関心の下にあり,社会的評価や批判にさらされる立場にあるのだから,私人よりもはるかに名誉保護の範囲は限定されたものになるべきである。
第4 請願権侵害
 本件談話の掲載・発行が,なぜ控訴人らの請願権(憲法16条)を侵害することに結びつくのか,全く理解ができない。
 本件談話の掲載・発行が請願を行った一審原告らに対する「差別待遇」であって,請願を実質的に萎縮させる圧力を加えるものであるとしているが,意見交換会はその名称のとおり,対等な立場における話し合いの場であって請願を行うものではないし,本件談話の掲載・発行が「差別待遇」にも当たるはずがなく,控訴人らの論理は飛躍しすぎている。
                        以 上

【証拠説明書】
平成22年(ネ)第4137号 損害賠償等請求控訴事件
控訴人 松 本 立 室外1名
被控訴人  岡 田 義 弘 外1名
            証 拠 説 明 書
                        平成22年12月17日
東京高等裁判所 第5民事部 御中
                 被告安中市
                 訴訟代理人 弁護士 渡 辺 明 男
号証/標目(原本・写しの別)/作成年月日/作成者/立証趣旨/備考
乙25/高裁判決・写し/21.3.27/東京高等裁判所/本件の類似事件において、ICレコーダによる録音記録の提出が遅れ、その他不自然な点から削除等の加工をされたと認められたこと。

【乙第25号証】
裁判年月日 平成21年3月27日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平20(ネ)650号
事件名 各損害賠償、手帳返還等請求控訴事件
裁判結果 取消、自判 上訴等 上告、上告受理中立 文献番号 2009WLJPCA03277002
要旨
 ◆名誉毀損による損害賠償等請求訴訟において証拠として提出された音声データが削除等の加工をされたものと認められ,録音がないことを理由に録音されたもの以外の発言等がなかったとは認められないとされた事例
裁判経過
 第一審平成19年12月21日東京地裁判決平17(ワ)15151号・平17(ワ)15738号・平17(ワ)23436号損害賠償等請求事件、手帳返還等請求事件
出典
 判タ1308号283頁
評釈
 上田竹志・法セ663号122頁
 林昭一・法セ増刊(速報判例解説)6号149頁
参照条文
 民事訴訟法231条
 民事訴訟法247条
 民事訴訟規則1 4 3条
裁判年月日 平成21年3月27日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平20(ネ)650号
事件名 各損害賠償、手帳返還等請求控訴事件
裁判結果 取消、自判 上訴等 上告、上告受理中立 文献番号 2009WLJPCA03277002
控訴人・被控訴人(原審第1,第2事件原告,第3事件被告) 甲野一郎(以下「控訴人甲野」という。)
控訴人・被控訴人(原審第1,第2事件原告,第3事件被告) 乙山二郎(以下「控訴人乙山」という。)
控訴人・被控訴人(原審第1,第2事件原告,第3事件被告) 丙川三郎(以下「控訴人丙川」といい,控訴人甲野及び同乙山と併せて「控訴人ら」という。)
上記3名訴訟代理人弁護士         佐藤博史
同                    新堀富士夫
同                    海野秀樹
同                    小川治彦
同                    金庫優
被控訴人・控訴人(原審第1,第2事件被告,第3事件原告) 丁田春男(以下「被控訴人丁田」という。)
同訴訟代理人弁護士            弘中惇一郎
同                    久保田康史
同                    川端和治
同                    河津博史
同                    弘中松里
同訴訟復代理人弁護士           大木勇
同                    品川潤
被控訴人・控訴人(原審第1,第2事件被告)株式会社講談社I(以下「被控訴人講談社」という。)
同代表者代表取締役            野間佐和子
被控訴人・控訴人(原審第1,第2事件被告) 戊原大介(以下「被控訴人戊原」といい,被控訴人講談社と併せて「被控訴人講談社ら」といい,被控訴人丁田及び同講談社と併せて「被控訴人ら」という。)
上記両名訴訟代理人弁護士         的場徹
同                    山田庸一
同                    服部真尚
同                    大塚裕介
同                    小西裕雅理
主文
1 原判決中,控訴人らの請求に係る部分のうち,被控訴人ら敗訴の部分を取り消す。
2 上記取消部分に係る控訴人らの請求をいずれも棄却する。
3 原判決中,被控訴人丁田の請求に係る部分を次のとおり変更する。
(1)控訴人らは,被控訴人丁田に対し,別紙物件目録記載の手帳及び関連資料を引き渡せ。
(2)控訴人らは,被控訴人丁田に対し,連帯して300万円及びこれに対する平成17年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3)被控訴人丁田のその余の請求をいずれも棄却する。
4 控訴人らの控訴(当審において変更した被控訴人丁田に対する請求を含む。)をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は,一審及び当審を通じてこれを10分し,その1を被控訴人丁田の負担とし,その余を控訴人らの負担とする。
6 この判決は,第3項(1)及び(2)に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 控訴人ら
(1)原判決中,控訴人ら敗訴の部分を取り消す。
(2)被控訴人講談社らは,控訴人ら各自に対し,連帯して1780万円及びうち890万円に対する平成17年7月25日から,うち890万円に対する同年8月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3)被控訴人丁田は,控訴人ら各自に対し,被控訴人講談社らと連帯して1890万円及びうち1000万円に対する平成17年7月25日から,うち890万円に対する同年8月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4)被控訴人丁田は,控訴人らに対し,別紙謝罪広告を被控訴人講談社発行の「週刊現代」に原判決別紙掲載要領記載の要領で1回掲載せよ。
(5)訴訟費用は,一審及び当審を通じて被控訴人らの負担とする。
(6)仮執行宣言
2 被控訴人講談社ら
(1)原判決中,被控訴人講談社ら敗訴の部分を取り消す。
(2)上記取消部分に係る控訴人らの被控訴人講談社らに対する請求をいずれも棄却する
(3)訴訟費用は,一審及び当審を通じて控訴人らの負担とする。
3 被控訴人丁田
(1)原判決中,被控訴人丁田敗訴の部分を取り消す。
(2)上記取消部分に係る控訴人らの被控訴人丁田に対する請求をいずれも棄却する。
(3)控訴人らは,被控訴人丁田に対し,別紙物件目録記載の手帳及び関連資料を引き渡せ。
(4)控訴人らは,被控訴人丁田に対し,それぞれ1000万円及びこれに対する平成17年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(5)仮執行宣言
第2 事案の概要等
1 本件事案の内容等
(1)原審第1事件(以下,単に「第1事件」という。)は,控訴人らが,被控訴人講談社発行の週刊誌「週刊現代」(以下「本件週刊誌」という。)に掲載された,控訴人らが被控訴人丁田の自宅から同被控訴人が極秘事項をメモしていた手帳を持ち去った,控訴人らは家探しをしていったとする記事により名誉を毀換されたとして,それぞれ,被控訴人らに対し,共同不法行為を理由として1000万円の損害賠償及びこれに対する不法行為日である平成17年7月25日(同記事が掲載された本件週刊誌の発売日)以降の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めるとともに,謝罪広告の掲載を求めている事案である。
 原審第2事件(以下,単に「第2事件」という。)は,控訴人らが,「上記手帳は無理矢理持ち去られたものであり,上記記事の内容は真実である」旨の被控訴人丁田のコメントを内容とする本件週刊誌の記事により名誉を毀損されたとして,それぞれ,被控訴人らに対し,共同不法行為を理由として,1000万円の損害賠償及びこれに対する不法行為日である平成17年8月1日(同記事が掲載された本件週刊誌の発売日)以降の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めるとともに,謝罪広告の掲載を求めている事案である。
 原審第3事件(以下,単に「第3事件」という。)は,控訴人らが,被控訴人丁田所有の手帳及び関連資料を強奪した上,同被控訴人の自宅を家探ししてプライバシーを侵害したとして,被控訴人丁田が,控訴人らに対し,所有権に基づき上記手帳及び関連資料の返還を求めるとともに,不法行為を理由として控訴人ら各自に対して1000万円(合計3000万円)の損害賠償及びこれに対する不法行為日以後の日である平成17年5月30日以降の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。
(2)原判決は,第1事件及び第2事件において控訴人らの被控訴人らに対する請求を一部認容するとともに,第3事件において被控訴人丁田の控訴人らに対する請求を全部棄却した。そこで,控訴人ら及び被控訴人らは,いずれも原判決のうち敗訴部分の取消し及び請求の全部認容(控訴人講談社らを除く。)を求めて,それぞれ控訴した。なお,控訴人らは,当審において,被控訴人丁田に対して求める謝罪広告の内容を一部変更した。
2 前提となる事実関係(末尾に証拠を掲げたもの以外は,争いがない。)
(1)控訴人ら
ア 控訴人甲野は,昭和34年から同38年まで墨田区議会議員,同年から同55年まで東京都議会議員,同年から同61年まで参議院議員を務め,同45年から同61年まで公明党中央執行委員の地位にあった。
イ 控訴人乙山は,昭和38年から同42年まで神奈川県議会議員,同年から平成5年まで衆議院議員を務め,昭和62年から平成2年まで公明党中央執行副委員長の地位にあった。
ウ 控訴人丙川は,昭和40年から平成7年まで参議院議員を務め,同5年から同7年まで公明党中央執行副委員長の地位にあった。
(2)被控訴人ら
ア 被控訴人講談社は,雑誌及び書籍の出版等を目的とする株式会社であり,本件週刊誌を発行している。
イ 被控訴人戊原は,本件週刊誌の編集人である。
ウ 被控訴人丁田は,昭和38年に大阪府議会議員となり,同42年から平成5年まで衆議院議員を務め,昭和42年に公明党の書記長に就任し,同61年から平成元年まで同党中央執行委員長の地位にあった。
 被控訴人丁田は,衆議院議員を引退した後,政治評論家として活動している。
(3)控訴人らは,平成17年5月15日に2回,同月17日及び同月30目に各1回,合計4回にわたって被控訴人丁田の自宅に赴き,同被控訴人所有の別紙物件目録記載の手帳及び関連資料(以下,この手帳を「本件手帳」といい,関連資料と併せて「本件手帳等」という。)を持ち帰った。
(4)被控訴人講談社らは,平成17年7月25日発売の本件週刊誌同年8月6日号に,控訴人らが被控訴人丁田の自宅から同被控訴人の手帳を持ち去った,控訴人らは家探しをしていったとする原判決別紙第1記事のとおりの記事(以下「第1記事」という。)を掲載した(甲1)。
(5)控訴人らが同年7月26目に第1事件の訴訟を提起したところ,被控訴人講談社らは,同年8月1日発売の本件週刊誌同月13日号に,控訴人らは,被控訴人丁田が強い抗議をしたにもかかわらず,同被控訴人の手帳を無理矢理持ち去ったものであり,第1記事の内容は真実である旨の被控訴人丁田のコメントを内容とする原判決別紙第2記事のとおりの記事(以下「第2記事」といい,第1記事と併せて「本件各記事」という。)を掲載した(甲2)。
3 争点及びこれについての当事者の主張
(1)第1記事による名誉毀損
(控訴人らの主張)
 第1記事は,控訴人らが,共謀の上,被控訴人丁田の自宅において,同被控訴人に,同被控訴人が極秘メモを記載していた衆議院手帖を引き渡すよう強要し,本棚,押し入れ,妻の部屋に至るまで家探しし,同被控訴人の衆議院手帖100冊を10箱近い段ボール箱に詰めて同被控訴人から奪い,これを持ち去ったとの事実を摘示したものである。
 このような内容の第1記事は,一般読者に対し,控訴人らが犯罪行為又はこれに準ずる行為を行ったとの印象を抱かせるものであり,控訴人らの名誉を毀損するものである。
(被控訴人講談社らの主張)
 第1記事が控訴人らの社会的評価を低下させることは認め,その余は争う。
(被控訴人丁田の主張)
 控訴人らの主張事実は認める。
(2)第2記事による名誉毀損
(控訴人らの主張)
 第2記事は,控訴人らが,4回にわたって被控訴人丁田宅を訪問し,その都度,執拗かつ強い要求をし/同被控訴人が「プライバシーの侵害になる」と強い抗議をしたにもかかわらず,2回にわたって家探しを強行するなどして,同被控訴人の手帳を無理矢理に持ち去り,これを強奪したとの事実を摘示したものである。
 このような内容の第2記事は,一般読者に対し,控訴人らが,強要,恐喝又は強盗等の犯罪行為によって,被控訴人丁田から手帳を奪い取ったとの印象を与えるものであり,控訴人らの名誉を毀損するものである。
(被控訴人講談社らの主張)
 第2記事は,被控訴人丁田の手帳が同被控訴人の意に反して持ち出されたとの事実を摘示したものであり,これが控訴人らの社会的評価に触れることは認め,その余は争う。
(被控訴人丁田の主張)
 控訴人らの主張事実は認める。
(3)被控訴人丁田の責任
ア 第1記事について
(控訴人らの主張)
 第1記事は,被控訴人丁田が,被控訴人講談社に情報を提供したものであった。第1記事中の「丁田氏と同世代の元公明党幹部X氏」は被控訴人丁田にほかならず,「黒革の手帖」あるいは「衆議院手帖」という事実,殊に,「大きな事件が起きたときや,政局が動いた年は何冊も使っていたので,合計100冊以上にのぼる」との事実は,被控訴人丁田以外には知りようのない事実である。このような第1記事の内容のほか,相当性を主張しない被控訴人講談社らの態度等からしても,第1記事の情報源が被控訴人丁田であることは明らかである。
 したがって,被控訴人丁田には,同記事による控訴人らの名誉毀損について,控訴人らに対し,被控訴人講談社らと共に共同不法行為の責任がある。
(被控訴人丁田の主張)
 被控訴人丁田は,第1記事の作成に関与していない。同被控訴人は,控訴人らの行為に憤概しており,話の通じる人にてん末を話をしたことがある。しかし,その話が被控訴人講談社に伝わったか,どのようにして伝わったかは知らない。
イ 第2記事について
(控訴人らの主張)
 被控訴人丁田は,被控訴人講談社から,控訴人らによる第1事件の訴え提起についてコメントを要請され,コメントの内容を自ら読み上げた。
 ある者の情報提供に基づく記事が人の名誉を毀損する場合において,当該情報提供者が,自らの提供する情報が報道されることを認識し,これを容認していたときは,不法行為責任を負うというべきところ,被控訴人丁田は,自らのコメントを内容とする記事が本件週刊誌に掲載されることを認識,認容していたばかりでなく,積極的に意図して虚偽の情報を提供し,記事の作成に深く関与したものであり,第2記事について不法行為責任がある。
(被控訴人丁田の主張)
 情報提供者に対して不法行為責任を問うためには,取材に対する事実の摘示や評論,意見を述べる行為が虚偽であることを知りながらあえてされるなど,取材当時,情報提供者が置かれた立場を考慮してもなお相当でないことが明らかであり,情報提供者が,自らの発言内容がそのまま雑誌等に掲載されることについて了解した上,あえて第三者の名誉を毀損するような事実の摘示や論評,意見を述べたという特段の事情が存在することを要すると解すべきところ,被控訴人丁田による第2記事のコメントはこれらの要件を欠くから,同被控訴人は第2記事について不法行為責任を負わない。
(4)真実性の抗弁等
ア 第1記事について
(被控訴人らの主張)
 第1記事は,元公明党委員長という要職にあった被控訴人丁田が多くの政治的秘密をつづった被控訴人丁田の手帳をめぐる,政権与党の一翼を担う公明党及びその支持母体である創価学会内部の騒動を報じたものである。これらの内容は国民の関心事で,公共の利害に関する事実に関わるものであり,被控訴人講談社らは,専ら公益を図る目的で第1記事を本件週刊誌に掲載した。そして,控訴人らが被控訴人丁田の意思に反してその手帳を持ち出したとの摘示事実,控訴人らが同被控訴人宅の本棚,押入れから妻の部屋に至るまで家探ししていったとの摘示事実はいずれも真実である。
 控訴人らの提出に係るICレコーダによるデジタル録音データ(甲25〜28.枝番号は省略する。以下同様)は痕跡を残さずに削除,分割,結合等の編集を行うことが一般的に可能なものであり,本件においても,被控訴人丁田宅における控訴人らと同被控訴人等のやり取りのうちの重要な部分が削除されている。
(被控訴人講談社らの主張)
 控訴人らの提出に係る上記ICレコーダによるデジタル録音データは,時機に後れた攻撃防御方法として却下すべきである。
(控訴人らの主張)
 控訴人らが,手帳を渡すように被控訴人丁田を脅迫,強要したり,同被控訴人宅を家探ししたり,同被控訴人の手帳を強奪した事実はない。被控訴人丁田は,自ら進んで手帳を控訴人らに引き渡したものであり,第1記事の摘示事実は虚偽である。このことは,ICレコーダによるデジタル録音データにより明らかなところである(同データについては削除等の編集は一切されていない。)。
イ 第2記事について
(被控訴人講談社らの主張)
 第2記事は,政権与党の一翼を担う公明党及びその支持母体である創価学会内部における元公明党委員長という要職にあった被控訴人丁田に対する訴訟提起及びこれに対する同被控訴人の反論を報じたものである。これらは,国民の関心事で,公共の利害に関する事実に関わるものであり,被控訴人講談社らは,専ら公益を図る目的で,第2記事を本件週刊誌に掲載したものである。そして,控訴人らが被控訴人丁田の意思に反して手帳を持ち出したとの摘示事実,控訴人らが被控訴人の強い抗議にもかかわらず,家探しを2回にわたって強行したとの摘示事実はいずれも真実である。
 控訴人らの提出に係るICレコーダによるデジタル録音データに関しては,前記第1記事に関する主張と同一である。
 仮に本件第2記事の内容が真実でないとしても,被控訴人講談社らには,これを真実と信じるについて相当な理由があった。
(被控訴人丁田の主張)
 第2記事は,政権与党を構成する公明党の元委員長という要職にあった被控訴人丁田に対して訴訟が提起されたことを報じるとともに,訴訟の対象とされた第1記事が真実であることを同被控訴人が述べたと報じるものであり,その報道が国民の関心事であり,公共の利害に関するものであること,報道目的が専ら公益を図ることにあったことは明らかである。そして,被控訴人丁田が控訴人らから脅迫,暴行を受け,手帳を強取されたとの摘示事実,控訴人らが同被控訴人の強い抗議にもかかわらず,家探しを2回にわたって強行したとの摘示事実はいずれも真実である。
 控訴人らの提出に係るICレコーダによるデジタル録音データに関しては,前記第1記事に関する主張と同一である。
(控訴人らの主張)
 控訴人らが,手帳を渡すよう被控訴人丁田を脅迫,強要したり,同被控訴人宅を家探ししたり,同被控訴人の手帳を強奪した事実はなく,第1記事の摘示事実は虚偽である。被控訴人丁田は,自ら進んで手帳を控訴人らに引き渡したものである。このことは,ICレコーダによるデジタル録音データにより明らかなところである(同データについては削除等の編集は一切されていない。)。本件第2記事の内容を真実と信じるについて相当な理由があったとの被控訴人講談社らの主張は,争う。
(5)第1事件及び第2事件の損害額
(控訴人らの主張)
 被控訴人らの上記各不法行為により,控訴人らの社会的評価は著しく低下し,控訴人らは多大な精神的苦痛を被った。
 第1記事及び第2記事は,ねつ造された虚構の記事であり,被控訴人講談社らにおいても,これを認識し,又は容易に認識することができたものであり,被控訴人らの行為は悪質である。
 被控訴人講談社らは,第1記事において情報提供者が被控訴人丁田であることを隠ぺいした上,情報提供者をねつ造し,さらに,第2記事により再び虚偽の事実を公表し,控訴人らの提訴を擲楡し,嘲笑している。これらに加え,本件各記事の内容,本件週刊誌の社会的影響力,被控訴人講談社が得た利益,控訴人らの受けた被害の内容,被控訴人丁田が本人尋問において虚偽の供述をしていることなどを考慮すると,被控訴人らの上記不法行為による控訴人らの損害額は,弁護士費用相当分の損害を含めて,控訴人各自において第1事件につき1000万円,第2事件につき1000万円を下らない。
(被控訴人らの主張)
 控訴人らの主張は争う。
(6)謝罪広告
(控訴人らの主張)
 上記のとおり,被控訴人らの不法行為は悪質であり,また,本件週刊誌が大きな社会的影響力を有していることにかんがみると,これらの記事により低下した控訴人らの社会的評価を回復させるためには,金銭賠償のみでは足りず,謝罪広告が必要である。その内容は,@第1記事については,被控訴人講談社らにつき原判決別紙謝罪広告1のとおりの謝罪広告,被控訴人丁田については別紙謝罪広告のとおりの謝罪広告,A本件第2記事については,被控訴人講談社らにつき原判決別紙謝罪広告2のとおりの謝罪広告,被控訴人丁田については原判決別紙謝罪広告3のとおりの謝罪広告がそれぞれ相当であり,これらを原判決別紙掲載要領記載の要領により掲載することを命じる必要がある。
(被控訴人らの主張)
 控訴人らの上記主張は争う。
(7)本件手帳等の返還請求及び控訴人らの不法行為について
(被控訴人丁田の主張)
ア 控訴人らは,平成17年5月15日,同月17日及び同月30日,被控訴人丁田宅を訪問し,同被控訴人に本件手帳等を出すよう強要し,同被控訴人の意思に反してこれを奪い,持ち去り,本件手帳等を強奪した。
 仮に,控訴人らの挙げる念書により本件手帳等を占有管理する権原が控訴人らに付与されたとしても,同念書により成立するのは民法上の寄託契約であり,民法662条により寄託者たる被控訴人丁田はいつでもその返還を請求することができるから,本件第3事件の提起による解約告知に伴い寄託契約は終了した(なお,寄託契約の解約を制限する特約の効力を認める学説も,受託者に特別の利益が認められる場合か又は有償寄託の場合に限って特約の効力を認めるものであるところ,本件においては受託者に特別な利益は認められず,また無償寄託であることは明らかである。)。
イ また,控訴人らは,同年5月17日及び同月30日,被控訴人丁田の意思に反して同被控
訴人宅を家探しして検分し,同被控訴人のプライバシーを侵害した。
(控訴人らの主張)
ア 被控訴人丁田は,平成5年9月以降,月刊誌「文藝春秋」(以下,単に「文藝春秋」という。)に,「極秘メモ全公開」と題する,公明党の書記長,委員長時代のぼう大な資料とメモに基づくと称する手記を公表していたところ,平成17年4月28日付の聖教新聞には,被控訴人丁田は,創価学会の副理事長らとの面談の席で,上記記事によって支持者に迷惑を掛けたことを謝罪したとの話が紹介された。
 このような経緯の下で,被控訴人丁田は,今後,本件手帳等を利用するつもりはないとし,控訴人ら立会いのもとで処分したいとの意向を示したことから,同被控訴人と控訴人らで協議した結果,被控訴人丁田が本件手帳等を封印した上で控訴人らに交付し,以後,控訴人らがこれを保管・管理することになった。
 被控訴人丁田は,本件手帳等を控訴人ら立会いの下で処分する,これを使う気はないし,自分のもとに残ってもろくなことはなく,万一これを控訴人らの立会いの下で見ることはあっても,これを持って帰ることはない,自分の死後は燃やしてくれと述べ,「被控訴人丁田が利用しないことを約して控訴人らに交付し,以後,控訴人らがこれを保管・管理すること」を約する内容の2通の念書を作成し,控訴人らとの間で,その内容の合意をした上,本件手帳等を控訴人らに引き渡した。
イ 上記合意は,被控訴人丁田が公明党やその関係者に迷惑をかけることがないよう,本件手帳等を利用できない状態に置くことを目的としたもので,本件手帳等の負担付贈与ないし信託的譲渡あるいは信託の設定とみるべきであり,これにより,本件手帳等の所有権は控訴人らに移転し,被控訴人丁田はその所有権を喪失した。
 また,控訴人らは,上記のような日的のもとに締結された無名契約である上記合意により,本件手帳等を保持する権原を取得したというべきである。この合意は,被控訴人丁田による本件手帳等の利用を制限することを中核とするものであり,被控訴人丁田に返還することは予定されておらず,寄託契約ではない。
(被控訴人丁田の再反論)
 上記の念書は,本件手帳等を奪い取られるにしても,せめてその後の管理について一定の願いだけは聞き入れてほしいという趣旨で被控訴人丁田が作成し,控訴人らにおいて,これを聞き入れるという趣旨で署名したものである。所持者が畏怖して物を交付し,あるいは奪取行為があった場合においても,念書など自由意思があったかのような文書が交付される例はままあることであり,上記のような念書が作成されたことによって,本件手帳等が強奪されたとの事実が変わるものではない。
(8)第3事件の損害額
(被控訴人丁田の主張)
 被控訴人丁田は,控訴人らによる本件手帳等の強奪及び被控訴人丁田の意思に反した家探しにより,多大な精神的苦痛を被った。これに対する慰謝料の額は,控訴人ら各自について1000万円(合計3000万円)を下らない。
(控訴人らの主張)
 被控訴人丁田の主張は争う。
**********
【ひらく会情報部・この項つづく】
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