2013/3/21  23:02

再び大規模停電で大量の放射能放出の危機をネズミ一匹に押し付けたがる東電とマスコミの体質  前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災


■「大山鳴動してネズミ1匹」という諺があります。大きい山が音を響かせて揺れ動くので、大噴火でも起こるのかと思っていると、小さな鼠が一匹出てきただけだったという意味から、大騒ぎしたわりには、実際には結果が小さいことを言う時に用いられます。しかし、今週初め3月18日(月)午後6時57分に東電福島第1原発で起きた大規模な停電により、その後、1、3、4号機の使用済み燃料プール代替冷却システムなどが停止して、再び大量の放射性物質が撒き散らされる危機に国民を晒しておきながら、東電は3月20日(水)午後4時30分からの記者会見で、事故の原因がネズミ1匹だったことを写真で示して示唆しました。おそらく、この発表を信じる人はほとんどいないでしょう。
クリックすると元のサイズで表示します
東電が今回の停電事故の原因の可能性を示唆するネズミの死骸が発見された仮設配電盤。


 東京電力福島第1原発で18日晩に発生した停電では、事故対応に当っている免震重要棟の電気も一時止まりました。さらに、1、3、4号機(4号機の燃料プールには燃料集合体1533体を収納)の使用済み燃料プール代替冷却システムのほか、燃料6377体を保管する共用プールの冷却もストップし、放射性物質を含む汚染水を処理するセシウム吸着装置「キュリオン」や、3号機の格納容器ガス管理システムの一部など、結果的に9つの設備がほぼ同時に停止しました。なお、2号機プールの冷却システムは電源工事のため3月18日朝から停止していましたが、同日午後6時半すぎに冷却を再開していました。

 当然、電源異常が疑われ、東電も「配電盤か接続ケーブルに原因の可能性がある」と言っていましたが、3月19日になっても原因を特定できませんでした。復旧の目処が立たないことから、このまま冷却できない場合、3月18日午後4時時点で、1〜4号機プールの水温は13.7〜25度で、その時点で最も温度が高かった4号機の燃料プールでは、4〜5日で保安規定の管理温度の上限である65度に達する危険が生じたのでした。

 しかも、東電が停電事故を公表したのは、発生約3時間後の3月18日午後10時すぎでした。東電は「点検する場所が多く、現場確認に手間取った」と釈明していましたが、この時点では、まだ原因が判らないままでした。

 東電福島第1原発では平成24年1月にも1〜4号機の使用済み燃料プールの冷却が1時間余り停止するトラブルがあったばかりです。平成24年6月には4号機プールで約30時間にわたって冷却が停止、水温が一時約43度まで上昇しました。いずれも、放射性物質の拡散量が増えたと見られています。

■その後も、停電原因が特定できないまま、東電は、3月19日の午前10時に東京都千代田区の本社でようやく1回目の会見を開きました。「所内の仮設配電盤に異常が発生した可能性があるが、現時点でも復旧しておらず、原因は調査中で、冷却装置復旧のメドはたっていない。故障箇所の修理に時間がかかる場合、冷却装置への電線をつなぎ替えてプールの冷却を再開する対策を検討する」と発表しました。使用済み燃料は熱を発し続けており、3月19日午前10時の燃料プールの水温は約16〜31度とみられ、1時間に約0.08〜0.37度ずつ上昇するとしていて、最も水温が高い4号機で、社内規定の65度に達するまでは停電後4日半かかるので「時間的な余裕はある」(東電)という釈明付きでした。

 この記者会見では、不安が広がった地元住民などに対する謝罪の言葉はほとんどなく、淡々とした状況説明に終始し、東日本大震災直後の事故対応のまずさが問題となった東電の「体質」が少しも変わっていないことを改めて示した形でした。

 会見の冒頭、尾野昌之原子力・立地本部長代理は「まず、発生の状況ですが…」と切り出しました。住民感情を考えれば、まずは謝罪が“常識”ですが、約2時間に及んだ会見終盤にやっと「ご心配をおかけして大変申し訳ない」と短く述べただけでした。

 さらに、午後4時30分から行われた2回目の会見でも、尾野氏は自らは謝罪を口にしませんでした。報道陣から「午前の会見では一般の人たちへの反省、謝罪の言葉が一言ぐらいしかなかったが」と話が振られた後に「ご心配をおかけしていることには申し訳ないと思っております。現在、復旧に万全を尽くしておりまして、何とぞご理解いただきたい」と淡々と述べたに過ぎません。

 会見は、停電状況を知ってもらうことが目的ですが、1回目の会見で尾野氏が行った停止した設備についての解説では、A4用紙に書かれた配線図をそのまま白板に貼り付けて使用し、最前列の席からも見るのが難しいほど小さかったが、説明はそのまま続けられました。

■東電によると、停電で1、3、4号機の使用済み燃料プール代替冷却システムなど9つの設備が停止したが、そのうち8設備は3月19日夜までに復旧し、燃料6377体が保管されている共用プールの冷却設備も、3月20日午前0時すぎに運転を再開しました。停電の影響を受けた9設備は約29時間ぶりに全面復旧しましたが、停電の原因については、その時点ではまだ特定できていませんでした。

 そして、ついに東電は3月20日(水)午後4時30分からの記者会見で、仮設電源盤の壁面や計器用変流器(端子)がすすけていることを示す写真を公表し、仮設電源盤の下の床に、体長15センチ程度のネズミと思われる小動物が死んでいたことを明らかにしました。

 東電によると、3月20日午後0時半ごろ、システムにつながる仮設配電盤内部の、電線をつなぐ端子と付近の壁が黒く焦げているのを停電原因調査中の作業員が発見し、焦げ跡の下には、体長約15センチ(しっぽまで入れると25センチ程度)のネズミとみられる小動物の死がいが落ちていたため、小動物が接触して感電、配電盤がショートしたため、何らかの原因で過電流が流れ、停電につながった可能性があると示唆しています。

 この仮設配電盤は、平成23年5月から、トラックの荷台に積まれた状態で、屋外で使用されていました。複数の電線がつながり、すき間が生じてネズミなどの小動物が入り込む恐れが十分、予測できたにもかかわらず、東電は対策を講じていなかったことになります。仮設配電盤は今月中にも本格的な設備に切り替える予定だったということです。
クリックすると元のサイズで表示します
トラック荷台の仮設配電盤。

 また、冷却システムにつながる重要な配電盤にもかかわらずバックアップ設備はありませんでした。今回の事故では、修理を試みましたが、原因は特定できず、結局、別の配電盤につなぎ替えて復旧にこぎつけた格好です。

 電力会社なのに、電気のことがわかっていないのではないか。そういう疑惑が現実を持って、私たちの前に突きつけられていることになります。

 東日本大震災に伴う事故発生以降では、最大規模だった今回の停電でしたが、冷却システムの停止により、プール水温が上がり沸騰、蒸発、燃料が露出して過熱する危険性もありました。3月20日午前0時過ぎに、最後まで止まっていた共用プールのシステムが復旧し、保管されている燃料6377体の冷却は再開されたものの、停電事故発生から全面復旧まで、実に丸1日以上、約29時間が経過していました。

 復旧後のプール水温は最も時間がかかった共用プールで31.8度、4号機のプールは31度、1、3号機は17度でした。停電前に比べ上昇は1〜6.3度で、東電は「元の水温に戻るには数日かかる」としていますが、またも失墜した東電の信用度が元に戻るには、さらに長い時間がかかることでしょう。

■しかも、その原因がネズミ1匹だったかもしれないという原因特定に結びつけるまでには、更に半日がかかり、事故発生からなんと41時間後でした。

 この仮設配電盤は3、4号機と共用プール冷却システムにつながっており、1号機は仮設配電盤のある系統とは別系統の電源でしたが、電源多重化工事のため停電時に3、4号機側の電源系統と連結しており、東電はこの影響を受けた可能性があるとしています。


 東電は、3月20日未明に冷却装置が全面復旧した後、本格的な原因調査に着手し、半日後、3、4号機のプール冷却装置などに電気を供給していた仮設配電盤(長さ5.7メートル、高さ2.3メートル、幅1.8メートル)の端子と壁面に黒い跡を発見したと記者発表しました。ネズミが接触した端子には6900キロボルトの高電圧の電気が流れていて、絶縁はされておらず、侵入したネズミが感電して、はじき飛ばされ、壁面にぶつかって、焼け焦げた体毛等が周辺に付着したとみられています。

■福島第1原発はこの1年間、ほぼ安定した状態を保っていると見られていました。原子炉の圧力容器の下部温度は17〜31度を維持しているといわれていますが、放射線量が高く、いまだ炉心の破損状況や溶け落ちた燃料の正確な状態は把握できていません。

 原子炉内の温度が100度未満になる「冷温停止状態」は平成23年12月に達成し、昨年9月に誤って3号機の燃料貯蔵プールに鉄骨を落下させたトラブルがあったものの、大きな事故もなく、東電は原子炉を制御できていると説明してきました。

 炉内の状況が安定したため、事故当初に比べ第1原発からの放射性物質の放出量は8千万分の1に減少し防護スーツや全面マスクを外して作業できる場所も増えていると東電は説明していますが、依然として放射線量が高く数時間いるだけで死亡するレベルの場所もあります。廃炉作業を計画するのに炉内の全体的な状況を把握する必要があり、1、2号機の原子炉建屋では、1階床に穴を開け、温度計や線量計を挿入して測定し、滞留水や堆積物の採取も始めました。

 最も原子炉の圧力容器が破損していると見られる2号機の原子炉建屋地下には、東電が4足歩行ロボットを投入したが、途中でバランスを崩して失敗し、小型カメラや線量計で圧力抑制室周辺の調査も試みましたが、床に穴を開けた際に障害物が見つかったため機器が入れられず、作業はストップしたままとなっています。

■お粗末な今回の停電事故での東電の対応について、ネットには厳しい意見が溢れています。

「そのネズミすら嘘八百の可能性すらあるのが東電クオリティ」
「東電の体質を考えたら、鼠の死骸配電盤に放り込んだかもしれんと疑うべきだろうに」
「わざとらしいネズミの写真からして、本当の原因は他にある。人為的ミスによる過負荷や短絡だと思う」
「はぁ?ネズミで配電盤がショート?それで停電にはならんだろ。ブレーカーすら作動しないんじゃないか」
「そんな三日四日かかって調べた結果、配電盤にネズミっておかし過ぎ!素人がやってる訳じゃ無いんだから。そんなの1,2時間で解る事だろよ!」
「あれだけハッキリとショートした後とショートした原因が転がってるのを丸一日かかっても見つけられなかった、それくらい”目がフシ穴”だったってことでいいんだな?」
「しかしなあ、ネズミのせいにするとは東電最低だな。自らマネージメント出来ないと告白しているようなもの」
「これが原因でどうしてこんなに時間がかかったんだ。一箇所の事故で全部停電とはなんといいかげんな仮設備だ。東電には福島をみる能力が無い」
「配電盤の中の死骸見つけるだけの作業に丸1日以上かかる不思議な事象」
・・・などなど。

■一方で東電の報告によれば、ネズミと停電との因果関係についてははっきりとは言及していません。

**********
福島第一原子力発電所における電源設備の不具合について(続報8)
平成25年3月20日 東京電力株式会社
3月18日午後6時57分頃、福島第一原子力発電所免震重要棟において、電源が瞬時停止する事象が発生いたしましたが、その後の状況についてお伝えいたします。
 福島第一原子力発電所における電源設備の不具合に関する調査を行っていたところ、本日(3月20日)午後0時36分頃、仮設3/4号M/C(A)の電源盤内において、端子および壁面がすすけていることを確認しておりますが、その後、双葉消防署による確認の結果、午後1時57分、火災ではないと判断されました。
 引き続き、電源設備の不具合状況の調査をすすめてまいります。
 調査状況については、新たなことが判明し次第お知らせいたします。
http://www.tepco.co.jp/news/2013/1225710_5311.html
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130320_03-j.pdf
**********

 また、今回の停電事故に関する東電野「福島第一原子力発電所における電源設備の不具合に関する時系列(通報連絡、メール実績)」
jikeiretu.pdf
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130320_02-j.pdf
を見ると、電源盤に問題があると事故直後にはにわかっており、3月19日は朝から本格的に現場の状況を詳細に確認していたはずなのに、マスコミの記事によれば、3月20日午前0時過ぎになって、突然、壁の焼け焦げや小動物の死骸が発見されたことになっており、それまでは何もなかったとしか思えません。マスコミがこぞって停電の原因をネズミ説として書きたてた背景には、それなりのワケがあるのかもしれません。

【ひらく会情報部】
0



トラックバックURL

トラックバック一覧とは、この記事にリンクしている関連ページの一覧です。あなたの記事をここに掲載したいときは、「記事を投稿してこのページにお知らせする」ボタンを押して記事を投稿するか(AutoPageを持っている方のみ)、記事の投稿のときに上のトラックバックURLを送信して投稿してください。
→トラックバックのより詳しい説明へ



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ