昔の友人の訃報に少し落ち込んでたパディですが、気を取り直して亡くなったSteve Newの思い出を語ってくれました。
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2003年くらいのSteve
「スティーヴのことは、本当にびっくりした。やっぱり気持ちが沈んじゃった……。去年の暮れにロンドンにいたとき、Rich Kidsが再結成ライブをするって話は聞いたんだけど、彼のガンのためだなんて知らなかったんだ」
「スティーヴはグレンと一緒に、よくRapedやCuddly Toysのギグを見に来てたんだよ。元々フェビアンの友達だけど、僕とグレンが仲良かったから、すぐ顔なじみになって一緒に遊んだりして」
「スティーヴって性格がすごくいいヤツなの。気さくで優しくて。ミュージシャンってエゴの強い人も多いけど、彼はおとなしくて控えめだった。あ、それから甘いものが好きだったなぁ」
「スティーヴとグレンが、イギー・ポップのレコーディングに参加したことがあるのね。ロンドンから離れた田舎のほうのスタジオで。そこにうちのバンドのショーンとトニーが遊びにいったんだけど、ショーンが酔っぱらってレコーディングをめちゃくちゃにして帰ってきたことがあるんだよ〜」
SteveがRich Kidsに参加したのは18歳の時
「最後に会ったのは、僕がパナッシュやってた頃だから1980年くらい。ロンドンのキングス・クロスの駅でばったり会った。 Hey Paddy! って声かけられて、おしゃべりして別れたんだ」
「スティーヴが Tranny(=性別越境者)で、Stellaになってたのも知らなかったの。あの頃は彼、バイ・セクシャルだったから。パンクスにはゲイやバイの子も多かったんだ。若いうちはバイでも、たいてい年取るうちに方向が決まっていくんだよね」
「昔の仲間が減って行くのって、つらいね。そのうち自分の番が来るんだろうな、とか考えちゃうし……。でも、あの頃のロンドンの仲間たち、いろいろあっても結局音楽から離れてないんだよね。きっとねぇ、一度あのパンクの波をかぶると、そうなっちゃうんだと思うの。だから、僕もできる限りがんばりたい!」
Steve/Stella(右)。左は彼と一緒にバンドをやっているBeatrice。
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やはり当時のロンドンのパンク・ムーヴメントは、いわゆる「音楽シーン」とは別物の社会現象(一種の革命)で、その時期の仲間は音楽性を超えて「戦友」なのかもしれません。ドラッグ依存を克服し、セクシャリティの問題に立ち向かい、最後にガンと戦いながら音楽を続けたSteve/Stellaは、静かで強い「戦士」だったと思います。 R.I.P.