今日はScolopendra hardwickeiの交配を試しました。
♀の飼育ケースに♂を導入。
しばらく♂はうろついていました。♀はシェルターの植木鉢の中です。2、3度頭を入れましたが深入りはせず直ぐに出てきてうろついていましたが、やがて♀がシェルターから出てきました。左が♂、右が♀です。・・・写真1
写真1
やがて♀は♂の後ろをついて歩くようになりました。♂は曳航肢を持ち上げて排泄口を晒します。何らかの誘導物質を出しているのかもしれません。
ついて歩き始めてすぐのこと、急に♂が向きを変えて♀の体を顎肢で挟みました。
思いもしませんでした。♀が♂を襲うことは想定していましたがまさか♂がこのような行動に出るとは。一瞬噛みついたかとヒヤッとしましたが、よく見ると挟んでいるだけで力は加わっていないようです。しかし、♂がその気になればブスッといっていたのではないでしょうか?冷や冷やして見ていましたが、10分以上もこの状況で動きませんでした。・・・写真2
写真2
その後、♂が離れると♀は挟まれていた所を舐めるような仕草をとりましたが、それが舐めていたのかどうかは不明です。
そして♂の後をついて歩きまわるようになりました。
この時、何度かバックする様子が見られました。曳航肢からバックして、♀をそのまま押し戻していました。・・・写真3
写真3
しばらく歩き回った後、♂は入れてあった塩ビ管の入り口付近に排泄口をこすり付け始めました。排泄口からは生殖器らしきものが出ています。が、長い。5mm以上あったかもしれません。生殖器ではなく糸を出す器官かもしれません。それを盛んに動かし糸を張っていきます。糸を視認することはできませんでしたが、盛んに腹端を動かすと同時に床材が引っ張られて動いていたので糸を張っていたものと思われます。
やがて♂がその行為を終えて塩ビ管から出てくると、今度は♀が中に入り腹端を動かしていました。実際には中に入って行って何かを行っていたのですが、塩ビ管の中でのことで観察は出来ませんでした。ただ、糸に付いている床材が動いていたので何らかの行為が行われていたのは間違いないと思います。そして♀も行為が終わると出てきました。・・・写真4
ムカデは♂が糸を張りそこに精莢と呼ばれる精子の入ったカプセルを置き、それを♀が体内に取り込んで受精するらしいです。
写真4 くつろぐ(?)図
♀はグッタリしているように見えましたが、その後に起こったことは驚きでした。
♂は曳航肢で♀の体を挟むとそのまま引きずっていったのです。・・・写真5〜10
写真5 ♀を曳航肢で挟む♂

写真6 引きずられていく♀。わずかに曳航肢が見えています。

写真7

写真8

写真9

写真10
そして、グッタリとしているように見える♀の上に重なってそのまま30分以上動かず。
♂も♀も触角のみを時折動かしていました。・・・写真11
写真11
あまりに動かないため、この間に少し用事を済まそうと5分ほど目を離した隙に♂と♀は離れてしまいました。どのような行動をとったか観察できず残念。
♀は生殖器を舐めていました。♂が同様の行動をとったかどうかは確認できず。・・・写真12
写真12 生殖器を舐める♀。生殖器が綺麗に映っておらず、残念。
その後、しばらくすると歩き始めまた♂の後をついていきましたが・・・写真13、14
写真13

写真14
ひょっとしてもう一度?とか頭をよぎりましたが、見ていたところあまり進展がないようだったのでここで終了にして♂を取り出しました。
これが今回の交配実験の一部始終です。
果たして♀はうまく受精することが出来たのでしょうか?
念のために♀を管理する容器や置き場などを考えていかないといけませんね。
追伸
今回の交配に関しては「毒虫の飼育・繁殖マニュアル」秋山智隆著を参考にさせていただきました。
本に書かれていたことを実際に再確認できたり、それ以外にも面白い行動が観察出来て試して良かったです。

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