一般の方にはあまり聞き慣れない制度ですが、小児慢性特定疾患医療給付というものがあります。
対象疾患は
1、悪性新生物
2、慢性腎疾患
3、慢性呼吸器疾患
4、慢性心疾患
5、内分泌疾患
6、膠原病
7、糖尿病
8、先天性代謝異常
9、血友病等血液疾患・免疫疾患
10、神経、筋疾患
11、慢性消化器疾患
それぞれに細かく病名が指定してあります。
りょりょは、1歳の時に悪性新生物の中の横紋筋肉腫として認定を受け、がんの治療・検査は自己負担なく受けることができました。
とてもありがたい制度で、多くの難病に苦しむ方々が助けられてきました。
ところが、昨年4月から制度が改正され、所得に応じた階層別自己負担制度となりました。
最高で月額入院11,500円、外来5,750円の自己負担が必要になります。
多くの方は最高額の対象になってしまいます。
たかが月に5千から1万程度と思われるかもしれません。
しかし、難病を抱えた家庭にとって大きな出費なのです。
もちろん、今までも同じように指定された疾病以外の病気に関しては別途に医療費がかかります。
難病治療の出来る医療機関は限られていて、りょりょの病院には沖縄、北海道からもいらしています。
病院までの交通費はまるまる自己負担です。
我が家から病院まででさえ、りょりょがもう大人料金になるため2人分往復最低4680円かかり、りょりょの調子が悪くて電車で座るためにグリーン車を利用して残りの部分タクシーを利用すれば軽く1万を超えてしまいます。
これが1回の通院にかかる交通費です。
検査のために月に数回通えばどれほど家計を圧迫することでしょう。
我が家以上に遠くの地方から通う方々がどれほどの出費になっているのか想像もつきません。
入院ともなれば、約1年にも及ぶ治療のため、仕事を持っていた母親の多くは仕事をやめざるを得ない状況になり、収入の多くがなくなる事態になるのです。
そこにかかる毎日の面会にかかる交通費。
地方の方は付き添いの親の宿泊費。
重症認定が下りれば以前と同じく医療費は無料になりますが、基準が厳しく小児がんに関しては再発の場合でそれに対して濃厚な治療を行っている場合と限定されます。
治療が終わると認定をうけることができません。
一般にがんの治療は手術・抗がん剤治療等を組み合わせて行います。
抗がん剤治療は際限なく続ければ、治療効果はあがりますが、必ず命を失うことになります。
そのため、ある一定のところで終わらせなければなりません。
その時点で治療は終わったとされるため、その後は再発患者も一部自己負担をしながら通院をすることになります。
しばらくは頻繁に検査をして経過を見ていかなくてはならないので、通院頻度も高くなります。
一番お金が掛かる期間ともいえます。
さらに、今までは申請をすれば給付対象の疾病が診断された日までさかのぼって適応を受けることが出来ましたが、今度の改正で申請書受理日からの適応なので、制度を知らずに過ごしてしまうと、その間の自己負担は返ってきません。
がんの治療のためには始めにいろいろな検査を行います。
検査費用は相当なものです。
それはすべて自己負担(健康保険は適応されます)です。
この制度を熟知していて、子供が小児がんと聞かされ途方に暮れた状態で、さあ申請手続きをしなくっちゃ、なんて判断できる家庭がどれほどあるでしょう。
まず、一般の人でこの制度を知っている人はどれくらいいますか?
医療機関からもアドバイスがもらえるわけでもなく、多くの人が入院中に仲良くなった他の患児の親から教えてもらってはじめて知ります。
それから申請をしてようやく翌月から医療費が軽減されるのです。
他にも、保険適応の治療で効果がなければ、数百万円というお金が掛かってしまう重粒子線治療や骨髄バンクを利用した骨髄移植(意外にも保険の適応外なのです)などすべて患者負担で受けることもあります。
(※すでに移植費用は保険適応になっているのですね、古い情報ですみませんでした。ただ、骨髄バンクに支払うコーディネイト費用やドナーが差額ベッドを希望した場合は保険適応外で支払いが必要になります。2007/2/12 追記)
年頃の女の子にもなれば、かつらだって必要です。
かつらって安くないですよ。
あれこれ挙げていけばきりがないほど、多額のお金が必要なのです。
お金がなければ子供の命を救えない、そんなことにならないように、もう少し患者の実態を把握した改正をお願いしたいと思います。

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