<オヤジの生き方を変える>第2回
シーカヤックと出会ってからの私は週末が待ち遠しくて
たまらなくなった。
福岡から九十九島までクルマで2時間半の距離を
毎週土日になると往復した。
ある時は子連れで、ある時は妻と、ある時は一人でと、
毎週ショップにおもむき、カヤックをレンタルし、
九十九島の海を気の向くままに漕いだ。
まだ、小学生だった子供達をタンデムカヤックに乗せ、
悠々と島から島へと漕ぎ回った。
ほとんどシーカヤックに関する知識も技術もなかった。
座って漕げば前に進むから、初心者でもすぐに楽しむレベルまで
いけるのがシーカヤックだ。
実はその頃の九十九島で出会う多くのシーカヤック愛好家達は
皆そのレベルだったと思う。
カヌーショップはいくつかあったが、いずれも技術を教えるイントラというより、
ツアーを率いるガイド的なもので、私もそれをなんら不自然には思わなかった。
内海で穏やかな九十九島といえど、レスキューの何たるかも知らないビギナーだった私は、
その頃は怖い物知らずで、振り返ればよく何事も起きなかったと思う。
そう言う点では九十九島はまず誰でもシーカヤックを楽しむことから入れる数少ないフィールドで、シーカヤックの普及には最適の環境である。
一歩間違えば未熟さ故の重大な事故が起きかねない危うさも持ち合わせていた。
どちらを優先するかはそれぞれの考え方もあろうが、どちらも大切なことである。
このことが自分の進むべき道へのテーマになっていくのは、もう少し時が過ぎてからである。
それにしても、多大な時間とエネルギーとマネーをシーカヤックにつぎ込んだ。
パチンコやギャンブルに時間とマネーを費やす世のオヤジ共と
そう言う点では何も変わりがないが、私にとっては、
子の情操教育、家族サービス、健康維持等々すべてがいいことばかりに思えたものだ。
(続く)
息子とタンデムで97年頃