「2019年ルーキー回顧30 大貫 晋一(24歳・新日鉄住金鹿島)投手」
状況説明
大貫 晋一(DeNA3位)投手 (新日鉄住金鹿島出身)
蔵の入団前評価:☆ (下位指名級)
指名解禁の年には指名漏れしたものの、さらに良くなって社会人3年目に指名されました。かなり微妙なところで投げている選手なので、前年より成長は感じましたが高い評価はできませんでした。
そんな大貫選手の一年目は、
一軍で 15試合 6勝5敗 防 5.00 といった成績に。先発投手の頭数に不安があったチームで、上茶谷だけでなくもう1人先発要員を獲得。その期待に応える活躍が、できた一年目ではなかったのでしょうか。
もう少し数字を細かくみると、66回2/3イニングで81安打(122.2%)と遥かに投球回数を上回ります。一軍ならば被安打率は90%以下なら合格ラインだと思いますが、100%越えているのは頂けない。それだけボールの力が(変化球含めて)、一軍の打者相手には物足りないことを示している。
四死球は30個で、四死球率は 45.0%。一軍の場合、四死球率は40%台までは許容範囲内だとは思うが、被安打数も多く走者を多く出してしまっており失点に絡んでしまうケースは多かった。四死球で自滅するタイプではないだろうと思っていたが、それほどピンポイントを突いて抑える繊細なタイプではない。あくまでも独特のゆったり感で、相手の打ち気をのらりくらりと交わすタイプだった。
奪三振は54個で、1イニングの奪三振は0.81個と先発なら三振が取れていたということ。彼の場合は、速球で三振が取れるというよりはツーシームやスプリットなどの縦の変化で奪えることが、この数字に現れたのだろう。ランナーを背負っても三振が奪えたことが、ある程度試合を作り6勝に繋がったと考えられる。ちなみに信頼できる先発の投手の防御率は3.50以内なので、かなり開きがあったことは否めない。
元々私の評価が微妙だったのは、一軍のローテーションを守るには球威・球速的に物足りないものを感じていたから。その点は、被安打の多さなどからも裏付けられることに。それでも私の心配をよそに、6勝をあげたのは想定以上のものがありました。そういった意味では、合格レベルの一年目だったと評価できます。
ただし今の球威・球速のままだと、来年以降年々成績は尻窄みになるのではないかと。そのためもう少し球威を増すか、球速を常時2,3キロ引き上げて行かないと、来年は同様の成績やチャンスは与えられないのではないかと考えています。ただしこと1年目に関しては、球団の目論見どおりに先発を担い結果を残したという部分では、戦略的に3位で指名したのは正しかったのだとは思います。ただし長い目でみてどうかは、これからの彼の頑張り次第ではないのでしょうか。
蔵の印象:◯ (全体の出力を引き上げたい)

10