「2021年ルーキー回顧20 伊藤 将司(24歳・JR東日本)投手」
状況説明
伊藤 将司(阪神2位)投手 (JR東日本出身)
蔵の入団前評価:☆☆ (中位指名級)
横浜高校・国際武道大 と、常に主力投手として活躍し、球速以上に感じさせる切れ味鋭い真っ直ぐがありました。マウンドさばき、制球力にも優れていましたが、あと一歩プロで活躍するためには、年間を通しての球威の部分で不安があった選手です。それでも、ボールのキレを年間持続させることで、そういった心配を払拭してくれた一年でした。ちなみに一年目の一軍成績は、
23試合 10勝7敗 防 2.44 といった内容。ルーキーで二桁も素晴らしいのですが、何より防御率 2.44 の安定感は見事でした。
数字をもう少し詳しく見てみると、140回1/3イニングで被安打は119本。被安打率は、84.8% と、一軍としては充分に合格ラインです。ちなみにいつも書きますが、一軍での被安打率の目安は、90%以下です。心配された球威も、多彩な変化球で的を絞らさぜず、投げミスの少ない制球力、球速以上に感じさせるボールのキレで、一軍打者を抑え込むことに成功しています。
四死球は40個で、四死球率は 28.5% 。これも、投球回数の1/3以下どころか、一軍で28.5%は素晴らしいです。一軍の場合、四死球率は40%以内ならば合格レベルでしょうから。
ただし、奪三振は79個。1イニングあたり 0.56個 と極めて少ないことがわかります。それだけ三振ではなく、相手の打ち損じを誘うピッチングだったということ。この点は、被安打や四死球が増えてランナーを背負うことが多くなると、一気に防御率を悪化させる危険性ははらんでいます。ちなみに、先発の三振比率の目安は、1イニングあたり0.8個以上、リリーフならば0.9個以上になります。
信頼できる先発の防御率の目安は、先発ならば防御率3.50以内。リリーフならば、2点台となります。それを、先発で2.50以内ですから、大変優秀だったと評価できるでしょう。例年ならば、新人王を受賞してもおかしくない成績です。
ことルーキーとしては、文句なしの内容で即戦力の期待に応えました。結構彼の活躍に関しては、球団やスカウトの中でも懐疑的にみていた球団が多かったと思うのですが、それをあえて高い順位で獲得して活躍させて魅せたのですから、阪神スカウトの眼力を褒めるべきだと思います。問題は、それほど余力がある素材ではないので、年々成績が尻窄みにならないことを祈るばかりです。
蔵の印象:◎ (一年目としては文句なしの内容)

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