原 樹理(ヤクルト1位)投手 (東洋大出身)
蔵の入団前評価:☆☆☆
春先から精神力の強さを感じさせる投球で
☆☆ の評価をしていたものの、最後の秋に魅せた入れ替え戦での熱投を確認し、最終的には
☆☆☆ に引き上げました。ただし寸評にも記載したとおり(氏名をクリックすると当時の寸評が読めます)、こういった入れ替え戦などモチベーションが高まる特別な時は見栄えはするものの、普段の投球は140キロ前後で物足りなく感じる。プロの長いシーズンを想定すると、そういった投球の方が多くなりそうで、そのへんで心配していました。ある意味、そういった悪い部分がモロに出て、プロの打力を抑えきれなかった一年だったと言えるでしょう。
今シーズンの成績は、1軍で
13試合 2勝8敗 5.91 と、お世辞にも即戦力になれたと言える内容ではありません。ファームでは僅か2試合(11回2/3イニング)であり、
1勝1敗 防御率 2.31 。一軍で即通用しなくても、ファームで欠点を修正したり、基礎を構築できた一年だったかと言われると、必ずしもそうではなかった点が来年にも暗い陰を落とします。そのファームでの登板の少なさは、6月に右肩甲下筋の肉離れを起こし、復帰が9月にズレ込んだことが大きかったようです。その影響が、今後に出なければ良いのですが。
一軍での成績をもう少し詳しく見てみると、67イニングを投げて被安打は80本。被安打率は、1イニングあたり1.19本と極めて多めでイニングを上回ります。一軍での目安は、イニングに対し90%以下に抑えらるかが一つポイントになります。その点で、球威・球速・コンビネーション・フォームなど、何かしらに一軍では物足りなかった要因が考えられます。アマでの投球を見ている限り、球威・球速不足で、持ち前の技術では一軍の打者をかわしきれなかったことが伺えます。
四死球率も、44.8%に及び、基準であるイニングの1/3以下(33.3%以下)に比べると、かなりアバウトだったことがわかります。元来微妙なコントロールの出し入れで勝負する選手だけに、それを活かせなかったのは痛かったかと。一軍打者の打力に自分の投球ができなかった、もしくは、肩などの違和感でフォームや制球を乱していた可能性があります。ここを取り戻さないないと、球威以前に一軍では厳しいでしょう。
奪三振は33個であり、1イニングあたり0.49個とこれまた極めて少ないのが気になります。だいたい平均が0.65個ぐらいであり、先発ならば0.8個以上が決め手のある投手となります。この点からもプロの一軍レベルでは、かなりボールの威力・決め球という観点でも劣っていたことがわかります。当然どのファクターも厳しいので、防御率が 5.91 だったのも致し方ないでしょう。
問題は2年目はどうなのか?という部分です。特にこの投手は、ポテンシャルで圧倒するとか、今後の上積みを期待してというタイプではないので、1年目から苦しむと以後も厳しくなる可能性が高いタイプだということ。よほど劇的に改善できないと、来年も戦力としては厳しいということになりかねません。
やはりプロのローテーションを担うような選手を見極めるには、MAXの時の投球ではなくアベレージでどうなのか? この部分に重きを置かないと大きな誤りをしかねない。改めてそのことを、強く実感させられることになりました。
蔵の評価:☓ (基礎構築もままならず苦しい一年)

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