大竹 耕太郎(ソフトバンク育成4位)投手 (早稲田大出身)
蔵の入団前評価:指名見送り
高校時代から好投手として知られていましたが、早大進んでからも135キロ前後の技巧派サウスポーでした。明らかにプロの投手としては物足りない球威・球速だったので指名リストから外しましたが、寸評にも書いたとおりソフトバンクの剛球投手陣の中で、ピッチングのできる技巧派が異彩を放つかもしれないという興味があった選手ではありました。ただし私のイメージとは全然違う方向で、頭角を現したのは驚きでした。
そんな大竹選手は、育成枠指名でしたが1年目から支配下を獲得。
一軍で 11試合(48回2/3イニング) 3勝2敗0S 防御率 3.88 と階段を一気に駆け上がってきました。また
二軍では、22試合 8勝0敗1S 防 1.87 という素晴らしい成績を残しました。
今回は、二軍の成績を元に細かく検証してみましょう。57回2/3イニングで、被安打は40本。被安打率は実に69.4%という少なさで、二軍選手が一軍で通用する目安である80%を大いに下回りました。格段にプロ入り後磨きがかかったストレートを軸に、元々持っていた多彩な変化球、投球の上手さが上手くリンクして好成績につながったと考えられます。
四死球は11個で、四死球率は19.1%と極めて優秀。いつも書くように投球回数の1/3以下が基準ですから、約その半分強ぐらいの抜群の制球力を誇っています。
奪三振は34個であり、1イニングあたり0.59個と少なめ。平均は0.65個前後だと思いますが、それよりもかなり少なめ。速球に力が付いたとはいえ、ベースとなると投球は打たせて取る内容だったのに変わりはなかったことが伺えます。
この投手は球種は多彩ですが、なにか絶対的な変化球があるというわけではありません。多彩な変化球を上手く織り交ぜる投球術と天性の危険回避能力に優れたものがあります。そのへんが、防御率 1.87 という好成績につながったと考えられます。
育成で入団して、1年目から一軍でも3勝をあげたのですから素晴らしい1年目だったと評価できます。しかし一軍では防御率 3.88 と、物足りない数字だったことは確かです。特に慣れられた二年目であることや、こういった投球が長い期間持続できるのかも未知数な部分が多い。そういった意味では、本当の意味での真価が問われるのは今年なのかもしれません。しかしことルーキーイヤーに関しては、申し分のない1年目だったのではないのでしょうか。
蔵の印象:◎ (驚きのパワーアップ)

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