山本 拓実(中日6位)投手 (市立西宮出身)
蔵の入団前評価:☆ (下位指名級)
160センチ台の小柄な右投手だったのですが、高校生離れした完成度を誇っており指名リストに名前を残しました。高校生でも、3年以内に結果を残して欲しいタイプでした。
そんな山本選手の1年目は、
一軍で 1試合(2イニング) 0勝0敗0S 防 0.00 と、1年目から一軍を経験。
二軍では、16試合 0勝6敗0S 防 4.54 と勝運の無さが際立ちました。
もう少し二軍成績を詳しくみてみると、41回2/3イニングで被安打は45本。被安打が、投球回数を上回っています。いつも言うように二軍の選手が一軍を意識するのであれば、投球回数の80%台。一軍定着を目指すならば、80%以下にしたいところ。しかし投球回数以上ということは、ボールの威力・配球・投球フォームなど、何かしらに大きな欠点があったとしか考え難い。彼の場合、投球術も高校生離れしていましたし、投球フォームも実戦的でした。したがって考えられるのは、ボールの威力や細かいコントロールミスなのではないかと。
四死球は31個で、四死球率は74.5%。いつも言うように四死球率の目安は、投球回数の1/3(33.3%)以下。多少悪くても30%台にとどめたいところ。しかしその倍以上のペースで四死球を出しており、余計なランナーを出したり甘い球も結構多かったのではないかと考えられます。
奪三振は31個で、1イニングあたり0.75個。このへんは、平均である0.65個前後よりもやや多めなのは明るい材料。それでも先発投手で決め手があるといえるのは、0.8個以上は欲しいところです。そのためプロの打者相手には、狙って三振が奪えるといったほどではなかったことがわかります。
むしろ全ファクターが基準を満たしていなかったのに、防御率4.54で済んだのは、彼の精神力や要所での踏ん張れるセンスの高さからだったのかもしれません。逆に多少被安打・四死球が多くても、ここぞという時に三振がとれる選手は、防御率が結構抑えられる傾向にあります。
いずれにしても、完成度の高いと評判だった山本投手ですが、コントロールにはかなり苦しみ、被安打が非常に多かったという結果になりました。それほど今後の上積みが望めないタイプに見えただけに、劇的な成長を見せない限り今後のプロ生活はかなり厳しいのではないかと考えられます。しかし高卒ルーキーの1年目としては、及第点は与えられる1年目ではなかったのでしょうか。
蔵の印象:△ (今後いかに特徴を出してゆくか)

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