楠本 泰史(DeNA8位)中堅 (東北福祉大出身)
蔵の入団前評価:☆ (下位指名級)
大学時代から非凡なバットコントロールの持ち主で、プロでも毎年3割残せる素材だと評価していました(氏名をクリックすると当時の寸評が読めます)。しかしその一方で、完全に肩がイカれておりまともな送球ができませんでした。また打球勘などもよくなく、守備に関してはプロでもレフトでなんとかといった印象。走力もソコソコ、長打力もソコソコの左の外野手ということで、その打撃能力に比べ低く見積もられていた選手だと言えるでしょう。
そんな楠本選手の1年目は、線の細さもあり
1軍で 56試合(73打数) 0本 2盗(1失敗) 打率.205厘 と結果が残せませんでした。しかし
2軍では、48試合(164打数) 1本 16点 3盗塁(2失敗) 打率.323厘 と好成績を残します。
1、2軍合わせて、104試合(237打数)を経験できたことはまずまず。また二軍とはいえ、3割2分以上の破格の対応力を示し、ファームレベルではないことを示せたことが、今年の開幕スタメンを掴む土台になったことは間違いありません。
何より大きかったのが、イカれていた肩が治ったこと。今はむしろ、強肩の部類ではないかという返球を魅せています。また元々内野手だったので経験の浅かった外野の守備も、昨年一年で無難レベルにまで成長。走力に関しては、盗塁をバシバシといったほどではないのですが、ある程度動ける選手といった感じの成績で、これはアマ時代のイメージどおりでした。
もう少し二軍の打撃成績を詳しくみてみると、164打数で25三振。三振比率は、15.2% と優秀です。いつも書くように、一軍を意識するのであれば20%以下が目安。15%近いということは、それだけ振ったバットがボールを捉えていた可能性が高く技術の高さが伺えます。
四死球は12個で、四死球率は7.3%と平凡。これはボールを見極める「眼」がなかったというよりは、積極的に打ちにいったからでしょう。その証に打率が、3割2分以上あったのですから。特に試合を観ている限り、ボールの見極めも優れている方だと言えます。
非凡なミート技術と、積極的な打撃で2年目のオープン戦では首位打者を獲得。いまベイスターズで、最も期待され結果を残している若手野手だと言えます。身体がしっかりしたことで、思い描いた打撃が一軍の舞台でもできるようになってきたのではないのでしょうか。一軍で結果を残せなかったことは残念でしたが、ことルーキーイヤーとしては合格点の与えられる1年目だったと言えそうです。
蔵の評価:◯ (あとは一軍で結果を出すのみ)

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