荒西 祐大(オリックス3位)投手 (HONDA熊本出身)
蔵の入団前評価:☆☆ (中位指名級)
高校から社会人入りし、若くしてドラフト候補として名前が上がっていた選手です。しかし毎年のようにドラフト候補にあげられながら、指名されないまま適齢期を過ぎてゆきました。若い時のような勢いを維持しながらも、適度に「間」を使ったり力だけでねじ伏せるピッチングから脱却したところを評価してみました。同様にオリックスも、26歳という年齢ながら3位指名と高く評価しての入団でした。
そんな荒西投手の一年目は、
一軍で 13試合 1勝4敗 防 5.57 と即戦力が期待された中、厳しい結果となりました。最初はリリーフで起用されたものの結果が出ず、先発に転向して良い方向性が見えはじめたとのこと。
一方二軍では、
19試合 3勝4敗1S 防 2.60 とまずまずの数字に。もう少し二軍成績を詳しくみてみると、45イニングで41安打と、被安打率は 91.1% 。一軍を意識するのであれば80%台、一軍で活躍するのであれば70%台ぐらいで圧倒して欲しい部分があります。このへんは、ちょっと合わされやすい傾向は社会人時代からも見られていました。
四死球は9個で、四死球率 20% と極めて低いことがわかります。いつも言うように、一軍定着を狙うならば投球回数の1/3(33.3%)以下という基準を大きく上回っています。ちなみに社会人時代に参考したデータだと、四死球率は15.2% 。やはり精度の高いコントロールが、この選手の持ち味だとわかります。
奪三振は37個で、1イニングあたり 0.82個 。先発だと合格ラインの数字ですが、リリーフだと若干決め手不足の印象があります。しかし社会人時代は0.64個と平凡な数字だったので、むしろ奪三振率は社会人より引き上がっていました。このへんは、リリーフでの起用が多く、よりボールの威力で勝負する機会が社会人時代より多かったからかもしれません。
社会人時代の防御率が2.45と、このファームの防御率は 2.60 。通常一軍で信頼できるリリーフの目安は防御率2点台、先発ならば3.50以内。一軍と二軍の防御率の差は単純に求められませんが、防御率にして1点ぐらいの違いだと認識しています。そういった意味では、防御率 2.50以内には二軍では抑えて欲しいところで、若干まだ物足りなかったということでしょうか。
一軍で通用するためには、三振や四球という部分よりも、被安打をもう少し下げることが求められそう。それでもファームの数字を見る限りは、一軍に近い水準には来ていたのかなという気はします。このへんは、プロの環境に慣れた2年目、そして先発など使われ方が固定されれば良い方に転ぶ可能性は高いとみています。
あと今回社会人時代のデータと二軍成績を比較して思ったのは、やはり若干社会人よりも二軍のレベルの方が高い傾向が見られるということ。もちろん都市対抗予選の相手などは、かなり社会人チームでもレベル差があるので、その数字も込みになっており一概には言えませんが。傾向は似たものが出ているので、やはりプロと社会人のレベル差。あるいは、慣れない環境で、能力が出せなかった部分のマイナス部分はあったのではないかという感じです。
いずれにしても26歳で即戦力が期待されたという意味では、一軍では物足りなかった成績だったことは否めません。それでもある程度一軍が経験できたことで、来季に繋がるヒントは得られたのではないかと。ファームの成績は悪くないので、その辺も環境に慣れた来季は数字が改善されるのではないかという期待は持てます。いずれにしても来年は、勝負の年という位置づけになるのでしょう。
蔵の印象:△ (今年の経験を活かして欲しい)

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