坂本 裕哉(DeNA2位)投手 (立命館大出身)
蔵の入団前評価:☆☆ (中位指名級)
プロの投手としては、ストレートがやや物足りないところが気になったものの、ストレートのコマンドの高さを評価した選手でした。左腕投手陣が充実したベイスターズに、上位でまた左腕が必要だったのか?という疑問をあげた人が多かったのですが、必ず誰かしら欠けることを考えれば、その隙間を埋める左腕が必要だった。そういった意味では、理解できる指名ではありました。
そんな坂本投手の一年目は、
一軍で 10試合 4勝1敗 防 5.67 といった内容に。
二軍では、4試合 0勝0敗 防 1.47 という内容に。6月に初勝利をあげたのですが、その試合で足を捻挫。それから思いのほか回復に時間がかかり、登板数が少なかった要因となりました。
まず1年目から先発で4勝をあげ、貯金3つ残したことは評価できます。ただし、防御率の5.67が示している通り、それに内容が伴っていたのか?と言われると、疑問が残るところではありました。
もう少し一軍の成績を細かく観てみると、46イニングを投げて被安打は48本と投球回数を上回ってしまっています。いつも書くように、一軍の被安打率の目安は90%以下ぐらいなので、当初から心配していた通りボールの力含めた総合力が、まだ一軍打者相手だと見劣りしたことは否めません。
それ以上に気になるのが、四死球が23個あり、四死球率が50.0%に昇ることです。アマ時代から、コントロールを評価した選手にしては、その持ち味を存分に発揮はできていなかったことが伺えます。一軍ですから40%以内ぐらいまでは許容範囲だと思いますが、50%やはり多いでしょう。しかし彼が制球を乱したのは、執拗以上に首脳陣が球速を求めたことに原因があるのではないかと。ベイスターズは、球速が売りの選手ではない選手にまで球速を求め、なんとか力んで球速を出そうと制球を乱す投手が少なくありません。そういった意味では、坂本投手はその代表的な選手だった気がします。立ち上がり凄い球を投げていても、失速する場面を何度もみました。本人の能力以上のボールを、無理だそうとしていたのがありありでしたので。
その割に奪三振は29個であり、1イニングあたり 0.63個 と平凡です。先発投手の目安は、0.8個以上ですから、アマ時代の寸評にも書いたように(氏名をクリックすると当時の寸評が自由に読めます)、決め手不足のところがハッキリ出た形となっています。被安打が多くても防御率が抑えられる選手は、得てしてランナーを背負ってから三振が奪える選手が多いのです。
しかし坂本選手場合は、被安打・四死球が多く出塁させても、三振が奪える決め手に欠けるところが、そのまま防御率の悪さにつながっています。この点を改善してゆかないと、慣れられた2年目に成績を伸ばすことは難しいと考えられます。
まずは、無理に速い球を投げようとせずに、無駄な四死球や投げミスによるヒットを減らすこと。そして、武器になる変化球を磨くことができれば、さらに成績を伸ばすことができると思います。ストレートの球速を伸ばすのは、無理に出すのではなく自然とトレーニングを積み上げることで、引き上がってゆくことが理想なのではないのでしょうか。
ことルーキーとしては、一軍で4勝を残した以上に貯金を3つ加えられたことを評価して合格点にはしたいと思います。ただし、2年目以降成績を伸ばせるかに関しては、内容を見る限り厳しいのではないかと感じました。それだけ本人が、この結果を元に改善してゆこうとしないと伸び悩む可能性は否定できないと感じた一年目でした。
蔵の印象:◯ (合格点だが2年目に不安)

3