田部 隼人(DeNA5位)遊撃 (開星出身)
蔵の入団前評価:☆ (下位指名級)
攻守に荒削りではありましたが、スケールの大きな内野手でした。プロでショートは厳しいとみていましたが、強肩でスローイングが乱れないのと、瞬時の判断力に優れていたのが印象的。打撃は、スイング軌道はやや遠回りだったものの、スイングの弧が大きく、少々芯から外れても本塁打してしまう長打力には見るべきものがありました。
そんな田部(たなべ)選手の一年目は、一軍での出場は無し。
2軍では、44試合(121打数) 0本 13点 0盗(0失) 打率.240厘 と内容でした。
開幕直後は好調だったのですが、シーズンが進むにつれ徐々に数字を落とした感じです。打数が121なのは、経験といった意味ではもう一つ。それほどプロ・アマ交流戦なども組んでいる球団ではないので、200打数ぐらいは積んで欲しかった思いはあります。ただドラフト1位の森でも186打数しか確保できていないので、このへんはこのチームの構造的な課題でもあるようにも思えます。
高卒ルーキーの打率の目安は2割なので、それを4分ほど上回ったのは評価できます。元々粗いスケール型だと思っていたのですが、実際入れてみると意外に実戦でやれてしまう不思議な選手ではあります。しかしその分、本塁打0など長打で魅了する場面が少なかったのは物足りませんでした。
盗塁が0個だったのは、走力的に納得。守備は、二塁手として12試合(守備率.962厘)、三塁手として27試合で(守備率.845厘)、遊撃手としては6試合で(守備率.786厘)といった成績に。三塁手と遊撃手としては、かなり低い数字で守備に課題を残します。二塁手としては、安心してみていられるという目安は.980厘以上。それでも、守っていたポジションの中では、一番無難に守れていたことがわかります。2年目は、主にこの二塁と三塁あたりを守る機会が増えています。
打撃をもう少し詳しく見てみると、121打数で26三振。三振比率は、21.5% で、高卒ルーキーとしてはかなり優秀。一軍への目安は20%以下ではあるが、かなり振ったバットがイメージどおりに当たったのではないのだろうか。
また四死球は10個で、四死球率は 8.3% と平均的。四死球率の目安は10%以上ではあるが、この数字も高卒ルーキーとしては悪くない。すなわちある程度ボールも見えていたし、振ったバットもそこそこ当たっていたということ。それが高卒1年目としては優秀な、打率.240厘という数字に繋がったということなのだろう。
想像以上に打撃は対応できた一方で、思ったよりも長打が出なかったことは意外でした。その辺どっちを取るか難しいところですが、守備や走力で魅了するタイプではないので打撃でアピールするしかありません。やはり「強打の二塁手」というのが、彼の今の一番アピールポイントになると思うので、2年目の今年は打力を伸ばして、守備を合格点レベルまで引き上げられるかではないのでしょうか。こと高卒ルーキーとしては順調な一年目だと思いますが、今後どういった選手になりたいのか明確に意識してプレーすることが望まれます。
蔵の印象:◯ (順調だったが特徴が)

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