「2015年ルーキー回顧32 野田 昇吾(西濃運輸)投手」
状況説明
野田 昇吾(西武3位指名)投手 (西濃運輸出身)
蔵の入団前評価:指名見送り
同じ鹿児島実業の先輩・杉内 俊哉(巨人)もそうでしたが、高校時代はマウンド捌きの良さや実戦的な投球が光ったものの、社会人で球威・球速を増すために、投球が粗っぽくなり実戦力が損なわれました。そういった意味では似た系統ではありましたが、社会人時代の杉内よりもツーランクぐらいは劣る印象でした。そのためまだ若かったので、もう一年ぐらい残留した方が良かったのではないかと評価しました。
そんな野田の一年目は、
22試合(18回1/3イニング) 0勝0敗4H 防御率 3.87 という成績。信頼できるリリーフの防御率となると二点台からだと考えますが、こちらが思ったよりは一軍での登板機会にも恵まれた気がします。22試合で18回1/3イニングということは、対左打者のワンポイント的な使い方も結構されたのかと想像します。
もう少し数字を細かく見てみると、18回1/3イニングで被安打は21本とイニングを越えてしまっています。一軍の目安は、イニングの90%以下ですから、これはちょっと打たれ過ぎになります。コントロールかボールの威力か、フォームに問題があったのか? アマ時代は技術的に「開き」が早い傾向にあり、苦になく合わされてしまったのかと思えるのですが。
四死球は6個であり、四死球率は32.8%と基準であるイニングの1/3以下にはなんとか抑えます。細かいコントロールがあったかは微妙ですが、四死球で自滅する不安定さはありません。しかしファームでは、このファクターは満たせていませんでした。三振も15個奪えており、1イニングあたりの奪三振は0.82個。リリーフで決め手のある0.9個以上とは行かないものの、三振で多くアウトが取れる選手ではあるようです。
数字だけ見ていると、被安打がやや多めなのと、奪三振比率、防御率はもうひと頑張りかなと言う感じで、更なる上積みがあれば、来年はもう少し信頼できる投球も期待できるかもしれません。ただしファームでも
23試合 4勝3敗1S 防御率 3.96 と同じぐらいの成績であり、各ファクターの内容も微妙なものばかり。一軍でこれだけ投げていれば、ファームレベルなら無双しているのかと思いきや、けしてそんなことはありません。
こうなると土台となる背景が弱く、来季今年の経験を活かして飛躍が期待できるとは書けません。逆に相手がまだ馴れていなく対応に苦労した可能性もあるわけで、球筋に慣れられた来季は、成績を落とす危険性が出てきます。今季の成績は微妙ではあるのですが、一年目という意味では及第点は与えられるルーキーイヤーではなかったのでしょうか。
蔵の印象:△ (来季飛躍できるかは微妙)

7