「富士日記」の下巻を買って、でもあんまりハイペースで読んじゃって読み終わるともったいないから下巻に手をつける前に一呼吸入れようと町田康の「テイストオブ苦虫2」も買い、結局我慢できずに下巻をモリモリ読んでしまっている。テイストオブ苦虫2は寝る前などにちびちび読んでいる。
で、今さっき読んだところが素敵だったので書く。
車で百合子が待っていて、旦那が散歩していて途中で急いで引き返してくる。その後の二人の会話のようす。
「あの車のやつは、中でネチョリンコンをやってるんだ。気持がわるい。よく見ないでさっさときちまった」と言う。
「自分のネチョリンコンのときは見えないからいいけど、人のネチョリンコンはへんてこだものねえ。神宮外苑なんか、からまりくり返って歩いているの見ても、ちっともいいと思えない。ポルノなんか平気で見てるのに、どうしてほんものは気持わるいのかしら」
「他人の情熱はこっけいに見えるのさ」
ネチョリンコンってすごい隠語だな。初めて目にした。きたならしいようで、かわいくもある。他人のセックスだけがネチョリンコンなのかと思いきや、自分のもネチョリンコンなのね。
あと、下痢をした百合子が泰淳に「うんこビリビリよ」と言うと「俺は病気の女はきらいだ」と返し、憎たらしいこと。と書いてあったとこも好きだ。どっちもかっこいい。
他にもこのように、引用して良い良いと言いたくなる部分がいっぱいある。