産経新聞によると、「東京電力は30日、清水正孝社長が入院したと発表した。東電によると、入院したのは29日夜で、高血圧とめまいが原因という。」
「清水社長は福島第1原子力発電所で爆発事故などが相次いでいた16日からの数日間、過労のためダウンしていたことが分かっている。その後、体調が回復し、東電内に設置された統合連絡本部に戻って指示しているとされたが、13日の記者会見を最後に、公の場に姿を現していない。」
ふーん。ワタクシはなんとなく丸山真男サンの有名な論文の一節を思い出しますなあ。
「彼等に於ける権力的支配は心理的には強い自我意識に基づくのではなく、むしろ国家権力との合一化に基づくのである。従ってそうした権威への依存性から放り出され、一箇の人間にかえった時の彼らはいかに弱々しく哀れな存在であることよ。だから戦犯裁判に於いて、土屋は青ざめ、古島は泣き、そうしてゲーリングは哄笑する。後者のような傲然たるふてぶてしさを示すものが名だたる巣鴨の戦犯容疑者に幾人あるだろうか。」(「超国家主義の論理と心理」)
もっとも、東電の清水社長をA 級戦犯容疑者になぞらえて、だから日本の指導者はずっと変わらないなどというつもりはない。
今回の大震災・原発事故では、あまりにお粗末な危機管理が露呈された。経産省も東電もコンセンサスで動いている組織である。リーダーは調整型である。
したがって、右肩上がりの「高度経済成長」的な時代であれば、「日本的経営」の強みとして賞賛されたかもしれない。
だが、危機的な状況が勃発したときの強い指導力と迅速な意思決定には全く向いていない。ただ青ざめるのみで、過労でダウンするのもやむを得ないのかもしれない。
池田信夫サンによれば、東電の社長と対照的なのはファーストリテイリングの柳井正社長であるという。
柳井社長は、「徹底的な独裁者である。意思決定は社長がトップダウンで行ない、業績の上がらない部門長は部下の面前で罵倒される。柳井氏が後継者に指名した玉塚元一社長さえ、言うことを聞かないと更迭する。その結果、執行役員のほとんどが精神的にボロボロになって辞めていく。」
「労働条件も苛酷だ。賃金は業績主義なので、店長でも売り上げの悪い店では年収250万円。それで1日10時間以上、休日出勤して月間300時間も働くと、時給はマクドナルドのアルバイトより悪い。長時間労働で体をこわして辞める店員も多く、5年ともたないという。」
「海外の生産現場でも、ユニクロの品質管理は並はずれて厳格で、コストダウンの要求はきびしい。それでもユニクロと契約している中国メーカーは取引をやめない。それはユニクロが100%買い取りでロットが大きいばかりでなく、他の日本企業のように売れ行きが悪いと引き取りを拒否したり値引き要求をしたりしないからだ。」
要するに現代の社長は、「みんなに好かれる人格者」で「いい人」では勤まらないということのようである。(
http://news.livedoor.com/article/detail/5444530/)
さてあなたは、東電のような会社に就職したいですか?それともユニクロですか?

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