古賀茂明さん(経済産業省官房付)の発言から抜粋。ワタクシはかなり正論だと思いますが・・・。
http://www.fsight.jp/article/10519?ar=1&page=0,0&ar=1
私の(東電処理)案は、電力供給という公共インフラを維持しつつ、東電の破綻処理と新たなエネルギー政策を模索するもの。第1段階では、特別法を定めて基本的には会社更生法と企業再生支援機構の活用により再生しつつあるJALのスキームのような再生処理を行なう、したがって、当面は政府保証等で必要な資金を調達する。賠償額がある程度固まった第2段階では、100%減資や金融機関の債権放棄を実施し、一時的に実質国有化を行ない、再生処理の終了の段階では発電と送電の機能を分離する。
政府案では、東電の株主と東電に融資をした銀行の責任が全く問われていません。しかし、株にリスクはつきものですから、東電が巨額の賠償金を払わなければならない事態になったのであれば、株主が責任を問われるのは当然のことです。銀行融資についても全く同様です。もし、これらの債権に手をつけないのであれば、東電から被災者に回る補償金の原資はそれだけ減るわけですから、国民負担はその分増すことになってしまいます。
株については、100%減資を行なう。これによって、約3兆円、今回の決算発表で1兆円くらい減りましたから約2兆円のお金を被災者への補償に充てることができます。また、銀行からは4兆円の融資が行なわれていますが、その半分をカットすれば2兆円の金ができる。これだけで、国民負担は4兆円も減るのです。
株はリスクを伴うものですから、東京電力がこれだけの大きな事故を起こせば、株主も責任を問われるのは当然です。東電の株主にはお年寄りが多いという情緒論もありますが、株主の責任を問う代わりに、結果として、何の関係もない一般のお年寄りから税金や電力料金の値上げという形で補償金の原資を賄う方がはるかに罪深い。すでに東電の株価は8割程度下がっており、いま東電株を持っているのは政府の救済策により今後の値上がりを見込んでいるような人たちです。このような人たちを保護することは全く必要ありません。
今の政府案では東電は暗い十字架を背負い、何十年も補償金を払うために存在する会社になる。しかし、そんなゾンビのような企業が例えば新株を発行したところで誰も買わないでしょうし、新たな派生ビジネスなどへの対応ができるわけがない。スマートグリッドを推進し新たなエネルギー産業の展開を担う企業が首都圏には存在しないという、国民経済から見ると大変な損失が生じる状況に陥ります。
国民感情として東電に重い十字架を背負わせるべきだという考えがあることは分かりますが、それではあまりにも後ろ向きです。財務リストラをしていったん損切りをする。その過程でもちろん本業と関係のない資産など売れるものはすべて売る。被災者補償で足りないところは国が補う。綺麗になったら、資本は企業再生支援機構などから出資する形で実質的に東電を国有化し、事業の方もリストラと新たな展開の準備を進める。そして、発送電を分離し、発電の方はさらにいくつかの会社に分離をし、競争を促す。発送電を分離したところで、もしガリバーのように唯一大きな発電会社が残れば、自由な競争の足かせになる。この際、解体した方が良いのです。

0