陸上自衛隊が都内で行った防災訓練をめぐり、産経新聞は7月23日朝刊で「11区が自衛隊員の庁舎内立ち入りを拒否した」などと報じた。
ところが、立ち入りを拒否したとして名指しされた11区のうち9区は7月23日から24日にかけて、相次いで産経新聞社に対して抗議し、記事の訂正を要求する文章をウェブサイトに掲載した。
また世田谷区も、産経新聞を名指しすることは避けているものの、「区役所庁舎内への隊員の立入りを拒否した事実はありません」とする文章を掲載している。
この産経の記事を信用した人たちが、ブログやツイッターで自衛隊に反対する「サヨク」を非難した。
26日になって、産経抄はこう書いて謝罪した。
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首都直下地震に備えて陸上自衛隊が行った統合防災演習について、23日付小紙が報じた記事に、大きな誤りがあった。東京都の一部の区役所は、自衛隊員の庁舎への立ち入りを拒否したわけではなく、通信訓練を認めていた。
▼記事の尻馬に乗った翌日の小欄も、当然訂正しなければならない。各区役所は、抗議の電話の応対に追われたという。24時間体制で防災活動に当たる担当者をはじめ、ご迷惑をかけたすべての関係者に深くおわびする。
▼記者生活ウン十年、これまでも数多くのミスを重ねてきた。ミスの最大の原因は「思い込み」だ。今回の場合、迷彩服姿の自衛隊員が行う訓練に対して、一部に批判的なムードがあるのは事実だから、区役所の非協力もあり得ると、納得してしまった。
▼もうひとつの反省は、「疑う」という記者の基本を忘れたことだ。書籍や記事の内容、偉い人の演説、何でも「ほんまかいな」と、一度は首をかしげてみなければならない。「東日本大震災の救援活動で絶賛された自衛隊の防災訓練に、今時そんな対応する職員がいるのかな、と記事を読んで思ったんだ」。今回の経緯を説明した大先輩から返ってきた言葉だ。そこから確認作業に入っていたら、コラムの内容は違ったものになっていた。(以下略)
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「人間は見たくないものは見えない。見たいものだけが見える。必ず見落としがあると意識しておくべき」「自分の目で見て自分の頭で考え、判断・行動することが重要」。(福島原発事故政府事故調査委員会・畑村洋太郎委員長の言葉)
原発事故の教訓は、原子力関係者だけじゃなく、マスコミも責任ありということを図らずも明らかにした???

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