麻生さんが国連で演説して、すぐにとんぼ返りした。ところが小泉さんが政界引退のニュースが流れて、そちらのほうが大騒ぎになった。そんなニュースが流れた中、第63期国連総会が始まり、世界の指導者の演説が次々と続いているようである。これは毎年の行事だが、総会の新しい議長の演説が各国外交官の注目を集めたらしい。
総会議長は、元ニカラグアの外相ミグエル・デスコト・ブロックマンである。彼はアメリカについてほんの数回言及しただけだったが、演説から彼が誰を攻撃しているのかはすぐに分かった。
「安全保障員会のメンバーの中には『戦争中毒』の国があり、彼らが国際平和と安全を脅かしているのは、否定できない」。
「どの国がテロリズムのスポンサーであるのか、そうではないのかを自分だけで決められる国はない。」
イラク戦争により、「攻撃と占領の直接の帰結として、これまで120万以上の人々が死んだ。」
カトリックの神父である75歳の外交官は、記者団に対して、5つの常任理事国が国連の議決に拒否権をもっている安保理よりも、192ヶ国が参加する総会がより強い役割を果たすように国連を改革したい、という意向を示した。
「国連が創設された1945年以来、世界は変わったが、国連は常に同じ速さで進んできたわけではなかった。総会が、自分を見つめ、率直に議論しあう時がこれからはやってくるであろう。」
「実に興味深い一年が始まるだろう。私は自らの心の奥底と経験からアピールをするものである」
彼は開会演説で、「世界中の兄弟姉妹の皆さん」とスピリチュアルな言葉で話しかけた。総会議長と神父という二重の役割の意味について問われると、彼は自分の意見をはぐらかして答えた。
「私は一番年をとっていて、老いぼれていますが、健康です。しかし、自分は神父あるから、異教徒間の対話に注意を払うことになるでしょうか?これはすでに議題に加わっていますし、事務総長とも少し話し合っています」
彼はイスラエルに対して破壊的な言動を何回か行ったイランのアフマディネジャド大統領のスケジュールについて質問されていた。デスコトは、大統領が参加することに不適切なことがあるとは思わないと答えた。
「はっきりしていることは、私が兄弟姉妹について語ろうというなら、誰であっても、どの国であっても、それを地図の上から消してしまうようなことは望みません。」
彼は別の記者が、ロシアのグルジアへの軍事行動を非難するのかどうかについて尋ねると、聞こえないふりをした。左翼的な考えを抱いている彼は、コーカサス地方で、南オセチアに対してグルジアが攻撃的な行動を行ったように感じていると語った。
デスコトは、ニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)政権で外相(1979〜1990)を務めた。米ブッシュ政権の単独行動主義に批判的な立場をとってきた。国連総会議長は地域持ち回りで選出される。今回、ラテンアメリカ・カリブ海諸国から推薦され、全会一致で選出された。彼が推薦されたということが、今の中南米の反米的雰囲気を表わしている。
参照
http://www.voanews.com/english/2008-09-17-voa7.cfm

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