アメリカはなぜ日本に原子爆弾を落としたか。
もうドイツも敗北しているし、いくら日本の政府首脳が国体を護持する事にこだわって、敗戦を受け入れることをためらっていたとしても、それは時間の問題であったはずだ。なにも原爆を落とす必要はなかった。
どうもいちばんありそうな理由は、こういうことのようだ。
原爆開発のマンハッタン計画には、膨大な国家予算がつぎ込まれていた。
そのような膨大なお金をつぎ込んで、その成果物を使わないままに終わらせることは、議会制民主主義の国である以上、許されないと計画の当事者は感じた。オッペンハイマー博士などの爆弾の開発者達は反対したものの、その他の関係者は、それでは議会に対して説明責任が果たせないと強く感じていた。
したがって、必ずしも戦争終結には必要なかったものの、原爆の威力を納税者に目に見える形で示しておかなければならないと感じた・・・。
これは民主主義というものの逆説というべきか。いや、おそらく現代の科学研究というものが、多かれ少なかれ、国家やあるいは企業からの資金提供によって動かさねばならないものになっていることの反映だということかもしれない。

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