イスラム国やら少し前までのアルカイダなどのイスラム原理主義運動の参加者は、大半がチュニジアやサウジアラビアなどの北アフリカ・中東出身者ではあるが、ヨーロッパからの参加者も多い。
多くは過去にヨーロッパに移住したイスラム教徒の2世、3世などだそうである。
欧米にある古いイスラム教会(モスク)は、祖父や父世代にできたもので、説教はアラビア語やウルドゥー語で行われるので、若い人には分らない。
日本でも80年代90年代の外国人労働者や日系人の子弟の教育問題があるが、話し言葉はマスターできても、中学、高校で抽象的な内容を扱う科目の言語をうまく理解できず、学校での成績も良くないので、必然的に学校へ来なくなる子どもが多くなる。
同じように、ヨーロッパのイスラム系家族の2世、3世も学校になじめなかったり、高等教育を受けたにしても、フランス、ドイツなどの国籍はあってもイスラム系住民だったりすると、それだけで就職差別がある。
では祖父や父の国へ帰れといわれても、実際のところうまく適応できるわけがない。
「そういう八方ふさがりの人たちが、イスラム国のような組織のウェブサイトを見ると、『君は戦わなくていいのか?』などと英語で記してあります。すると気持ちが焚きつけられ、ジハーディストになってしまうのです。若い世代のジハーディストへの流入には、英語メディアの存在がかなり強く影響していると言えるでしょう。」
「こうして移民の2世や3世が銃をとるのは、イスラム過激派だけの現象ではありません。いまは、クルド人のゲリラがシリアで戦っています。その中にはドイツに移住した3世などが多く、ドイツ社会に適応できず生活がうまくいかないため、クルドのために戦うなどと言って参加した人たちです。女性兵士もかなりいます。」(高橋和夫「イスラム国の野望」幻冬舎新書 p107〜108)

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