「沖縄は他都道府県と比べて過度な支援がなされているのか?」
開発
沖縄振興予算については、一昨年末に仲井真前知事が「有史以来の予算」と総理大臣にお礼を述べ、沖縄県民の反発と不信を招いた。
辺野古に新基地を建設することに反対する人々の中にも、沖縄は振興予算によって優遇されていると誤解している人が多い。沖縄は、「基地があるがゆえに、国庫支出金や地方交付税により他都道府県と比較して過度に大きな支援がなされている」とよく言われる。
しかしながら、沖縄に対する国の財政移転(国庫支出金+地方交付税)は、沖縄県の平成二十四年度普通会計決算ベースでみると、全国第十七位に過ぎない。
人口一人当たりの国からの財政移転でも全国第六位となっているだけである。類似県と比べても人口一人当たりの額は約四分の三に過ぎない。
(
http://www.pref.okinawa.jp/site/kikaku/chosei/kikaku/yokuaru-yosan.html?hc_location=ufi)
また、沖縄からの国税収納額と国からの財政移転額を比べてみると、二〇〇二年度から二〇一一年度までの沖縄振興計画期間中は国税収納額が財政移転額を上回るという、いわゆる沖縄から持ち出しの状態が続いていたとの識者の指摘がある。
沖縄振興予算については、これまで全て県や市町村が事業主体となる予算であるかのごとく公表され、取り扱われている。しかし、その内実を見ると、那覇空港滑走路増設事業(三百三十億円)や沖縄科学技術大学院大学(百六十七億円)等国が事業主体となる、いわゆる国直轄事業が含まれて、しかもその額が予算の半分近くを占めている。
他県の例では、国直轄事業はきちんと県・市町村予算と切り離されて取り扱われているのに、なぜか沖縄だけがあえて誤解をされ易いように総額を膨らましてある。
東京新聞は平成二十五年十二月二十八日付けの一面記事でこのような事態を「見せかけの沖縄振興予算」と断じて厳しく糾弾している。
1972年5月15日の沖縄返還により沖縄県は日本の施政権下に復帰した。その時に、沖縄振興開発計画の所管官庁として沖縄開発庁を設置した。長官には国務大臣をもって充てる大臣庁とされ、内部部局は総務局と振興局とし、総務局はいわゆる官房事務を担当するほか、沖縄振興開発計画の作成、沖縄振興開発金融公庫の監督を担当した。振興局は沖縄振興開発計画の個別の事務を所管する関係省庁間の調整を担当。関係予算を一括計上した。
2001年1月6日、中央省庁再編の実施に伴い、沖縄開発庁は経済企画庁などと共に内閣府に統合、内閣府の内部部局として沖縄振興局が設置され、沖縄総合事務局は内閣府の地方支分部局となった。また、内閣府本府内の沖縄関係部局(政策統括官(沖縄政策担当)、沖縄振興局、沖縄総合事務局)及び北方対策本部を所轄する内閣府の特命担当大臣として沖縄及び北方対策担当大臣が置かれた。
このような経緯があり、国直轄事業が国庫支出金に含まれず、県市町村の主体事業であるかのように沖縄県のみが扱われている。そして、このことが沖縄県だけがあたかも過大な支援を中央政府からの「支援」を受けているかのような錯覚を与える原因となっていて、予算が県の財政力を示す指標となっていない。
政府は、沖縄振興予算を国と県・市町村に一括するシステムを見直し、実態を的確に表すシステムに改善すべきであろう。
参照(中里利信衆院議員の質問主意書)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a189059.htm

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