日本テレビの氏家社長は、新年のあいさつで社員に向けてこう言ったそうだ。これからテレビ広告はさらに激減する。地上波民放局は、上位2社に統合される。日本テレビは今、民放4位である。何としても生き残れ!
民放テレビ局のゴールデンタイム(夜8時ごろ)につくスポンサーが減っていて、民放各社は大騒ぎになっていると田原総一郎が言っていた。同時に視聴率も落ちていて、以外に底堅いのはNHKのニュースだという。
年末の民放の特別編成のバラエティー番組は、各局の女子アナが出てくる番組が多かった。タレントや報道番組に出てくるコメンテーターに払うギャラの値引き交渉が始まっている。つまり、局アナは出演料がいらないから大忙しなのだろう、と田勢康弘が言っていた。
週刊東洋経済によると、TBSは部長以上で3万円、副部長1万円の月給カットになったとのこと。高給で知られる、電通の社員も年棒削減が始まっているとのこと。
でもまあ、こういう業界はまだまだマシであろう。マスコミへの就職は、永年難関中の難関で知られていた。
だが、ふと思う。私の父親は昭和24年に大学を出たが、そのころ一番人気の就職先は三井鉱山とかのいわゆる石炭産業だった。次いで、繊維産業。ところがこのころ大学生で成績の良かった人たちが入った企業の10年後は、エネルギー産業が石炭から石油に転換し、炭鉱が次々に閉山になり、三井三池闘争なんていうのがあった。
20年、30年も全盛期が続く産業は少ない。一流企業に一流大学の成績優秀の卒業生が入っても、優等生にはなかなか新しい事業は起こせない。しょせん、過去の「内部留保」を取り崩し、新しい事業を始めた中小の企業を買収して、産業として大きくし、企業を衣替えするしかないのだろう。
麻生鉱山が、麻生セメントになり、今はただの株式会社麻生として、専門学校の経営までやっている企業グループになっている。あれはいったい何の会社なのかよく分からない。
ただ、今どこに新しい産業の芽があるのか、経済が右肩上がりではなくなっただけに、不安が広がっているということだろう。おまけに若い人が少なくなっている。どうも新しいアイデアが出る余地が少なくなった。そして国全体が内向きになっている。
去年トヨタの奥田会長が、厚生労働省の諮問委員会で、あまり厚労省叩きをマスコミがするとトヨタはスポンサーから降りようかと思うと言って、言論弾圧だと抗議された。しかし、あれは厚労省をダシに使って、トヨタは広告費を減らしますよということを宣言したかったのかもしれない、などと思う。

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