神田精養軒など関係企業7社が、2月21日事業を停止し、自己破産申請の準備に入りました。親会社の第一経営が設備投資を広げ過ぎた割に、収益が伸び悩んだことから、資金繰りが急激に悪化したのが原因のようです。
株式会社神田精養軒は、1949年(昭和24年)創業。明治時代開業の「精養軒ホテル」のベーカリー部門が戦後になって独立した名門、老舗企業。
マドレーヌ、アーモンドピット、クリームパフなど各種洋菓子の製造を手がけ、直営店の小売りのほか、スーパー、量販店、百貨店などに広い販路を有し、レストラン経営なども手がけ、2005年3月期の年売上高は約35億円を計上していましたが、諸経費コスト、在庫などの負担が大きく欠損計上が続き、債務超過に転落していました。
2006年3月に株式会社第一経営(福岡県)の100%子会社となり、債務の株式化による借入金の圧縮、社有不動産の売却などを推進し、第一経営の現社長のもとで経営再建に努めました。
しかし、消費の低迷が続き、2007年12月期の年売上高は約22億5000万円にとどまり、収益性の低迷が顕著となり、親会社の経営破綻で事業継続が困難となりました。
なお、上野精養軒は別会社だそうです。明治4年、築地3丁目にホテル精養軒として開業し、立退き、焼失等を経て、明治6年頃より築地・采女町(現、銀座東急ホテル所在の地)で営業しましたが、明治42年、旧建物取壊し、3階建32室を新築しました。その後、関東大震災により焼失、廃業となりました。
現存する上野精養軒は、その精養軒ホテルの支店として開業し、一時はホテル営業を行っていたが、大正中期以降、料理店営業のみとなっているそうです。武蔵小杉にホテル精養軒というのがありますが、あれも別会社のようです。
商工ローン最大手のSFCG(旧商工ファンド)が23日午前、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。負債総額は約3380億円で今年最大の企業破綻となるそうです。
世界的な金融危機で融資先企業の業績が落ち込み、不動産担保ローンの焦げ付き増加や資金調達難で資金繰りに行き詰まりました。過去に法定利息を超えて取りすぎた利息が返還請求されるようになり、その額が数百億円に上っていました。
SFCGはスポンサーとなる支援企業を探して再建を目指すそうです。大島建伸会長は、都内で記者会見し、「資金調達が困難になり、自主再建を断念した。民事再生手続きにめどがついた段階で辞任する」と述べました。
SFCGは1978年、中小企業向けの貸金会社、商工ファンドとして設立されました。中小・零細企業向けの金融会社としては最大手で、現在は約5万件の取引先を抱えていて、99年には東証1部に株式上場しましたが、融資先に対する強引な債権回収が社会問題となり、社名を変更、再生を目指しました。
国会で喚問されたとき大島会長は、日本の中小企業融資にウチは欠かせない存在だと豪語していましたが、確かに高金利のサラ金でもかなり多くの中小零細企業はそれを頼りにしているのも事実です。
だから、一部の多重債務者問題の対策として消費者金融規制を強めると、かえって中小零細企業の資金繰りを狂わせることにつながるというハナシはよく聞かれたものです。確かに多重債務問題が起こることも確かだが、高金利の綱渡りで資金繰りをやりくりしている中小零細企業は多いと言います。
しかしながら、昨夏以降、金融不安などで外資系ファンドなどからの資金調達が困難になり、返済の滞っていない融資先にも元利一括返済を求める通知を出すなどトラブルが増えるようになりました。その強引な取り立てが問題となり、約300人から提訴されていました。(2月23日11日読売新聞参照)
耐震偽装問題で建築基準法が厳格に適用されるようになり、建築確認申請が大幅に遅れる事態が起こり、官製不況だと言われた。そしてサラ金の法定利息規制の厳格化や、法定金利の引き下げで、中小零細企業の資金繰りが苦しくなり、官製倒産が起こると主張する人も多かったようでした。
だが、中小零細企業の資金を詰まらせたのはどうやら外資系ファンドの資金引き上げが一番大きいということのようです。昨秋からのマンション販売会社の相次ぐ倒産の背景にも外資系ファンドの資金引き上げがあるようです。
中小零細企業も、金融という面ではグローバリゼーションの網の目にすっかり組み込まれていることが、商工ローン問題から垣間見えます。
世に高利貸しの種は尽きまじでしょうか。

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