厚生労働省の医系技官である木村盛世という人が、参議院の予算委員会に参考人で呼ばれ、民主党の鈴木寛議員の質問に答えて、新型インフルエンザを水際対策で防ごうとした対策を批判していた。
インフルエンザに限らず、日本の感染症対策は発展途上国並みだという主張は、以下のインタビューを見られたし。(
http://diamond.jp/series/tsujihiro/10071/)
確かに、インフルエンザは潜伏期間があるのだから、いくら空港で検疫体制を強化したってその時点では発熱もしていないのであれば、そのまますり抜けていく。日本国内にウイルスが入り込むのは不可避であろう。
従って、検疫を強化して国内にインフルエンザを入れないという対策自体が間違っていた。そもそもそんなことに多大なエネルギーとお金を費やすよりも、医療体制の強化を早急にやるべきだったのであろう。
そもそも別の持病があったり、免疫力が弱ったりしている人を除けば、インフルエンザにかかっても病状は今のところ決して重篤なものではなく、安静にして自宅で療養するしかない。
木村医師は、タミフルはかえって危険であるという。確かにタミフルを服用すれば、7日間療養しなければならないところが6日に縮小できるくらいの効き目はあるようだが、服用することで後からタミフルに耐性があるウイルスが出てくる可能性があるようだ。
従って、合併症から重症に陥る危険があるような患者を別として、充分に体力も免疫力もある人がタミフルを使用することは、自分の短期的な利益を追求するあまり、その他の人に大きな迷惑をかける結果になるおそれがあるということか。
結果的に、今回のインフルエンザ対策は、ゴキブリ一匹を捕まえるために、ビルの中で働いている人たちを全員ビルの外に避難させて、一斉に殺虫剤を散布するような話のようだった。
そんなことより、大病院の外来診療室を完全に個室にしたり、低気圧室を設置したりして見ることが本質だろう。それよりなにより、医師の数を増やし、診療体制をもっと余裕のあるものにすることがたいせつのようだ。
しかしながら、それには膨大な予算がかかる。だからできない。それでも何か自分たちは最善を尽くしていますよよいうパフォーマンスをしたいから、あの徹底した空港検疫体制が生まれたし、マスゾエくんの大仰な記者会見が行われたのだろう。
あけすけに言えば、「私たち、やってますよ。だからいじめないでね」のアリバイ作りだったのかもしれない。
抜本的改革にはカネがかかる。できないから、小手先の対策に走る。できるだけ、一生懸命やってますよという態度が見えるようにアピールする。後から考えると、「あれ、ほんとに効果があったんですかね」という話が多い。
できの悪い大学生が、ゼミの発表をしなければならなくなって、「ボクはきちんと調べてきたんだから、いろいろ質問としてつっついたり、苛めたりしないでね」とおっかなびっくり話しているみたいなものでした。
それにしても、日本のある都市での結核の発症率はネパール並みだそうです。どうして日本の「公衆衛生」はかくもお粗末になったのか?
まあ個人的には、来るかもしれないタミフルに耐性のある強いインフルエンザ・ウイルスの来襲に備えて、手洗い、うがいをして、早寝早起きするしかないでしょうね。

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