かつてソニーの創業者の一人であった盛田昭夫さんは、日本の企業経営と米国の経営を比べて、米国がダメな理由を次のように明確に指摘していました。アメリカの企業経営は「四半期決算のことしか頭になく、短期的な視野でしか物事を見ていない」。
今このことを思い出すと、なんだ日本企業はこの20年くらいかけて、そのダメなアメリカ企業のまねを一生懸命してきたのかしらと思ってしまいます。
日本企業は、一度不況に陥ると過剰なほどに身構えるのが早く、特にこの数年は輸出依存が強かったので、世界的な大不況によって輸出が冷え込んだ影響が日本の経済に強く出ているということなのでしょう。
結果として、企業は「削りやすいものから削る」という方針の下、人員削減や給与の減額を実施し始めます。それはコスト削減の努力の範囲を超えて、安直なほどのやり方に走っていると思われます。
今の日本企業は四半期決算に帳尻を合わせることしか頭にありませんから、まず真っ先に削りやすいコストである「人」と「給料」に照準を合わせます。
大前研一さんや、その弟子であるらしい勝間和代さんは、言い方は異なりますが、個人レベルでもこの状況に対応できるようになっておくことが必要だと説いています。
つまり、レイオフに備えて、どこに行っても通用する人材になれということです。はっきりと「私の能力はこれです」と言えるようでなければダメだと強調します。
企業経営者が不要なものから削除するというコスト削減を考え始めると、ほとんどの場合には人員削減をまっさきに考えます。彼らから見て、必ずしも今必要ではないという人員も企業は抱えています。
そうした人たちがレイオフの対象となります。そして、多くの場合、いざ就職活動を始めてもなかなか職が見つからないという状況に陥ります。
勝間、大前のお二人は、「日本の企業体質が変化してしまったという点も問題ですが、個人レベルでそれについて不平・不満を述べているだけでは結局自分の首を絞めてしまう」ということを強調します。
そのような状況にあっても対応できる人にならなくてはいけませんよ、しっかりと日本という国の将来像を見極めて、一人でも多くのビジネスパーソンが国内でも世界でも通用する「人材」になってくれることを願っていまよ、というオハナシが二人の基本認識のように見えます。
あれ、(勝間さんは知りませんが)大前さんはかつて日本企業をアメリカ化するのに一生懸命だったんじゃなかったかな・・・、なんていう疑問はこの際持たないほうがいいのでしょうか?

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