別に民主党政権にケチをつけるつもりはないが、官僚批判というのは眉にツバするところがあると思っている。
なぜならば、役所が官僚的組織によって成り立っているのはもちろんその通りなのだが、マックス・ウェーバーを少しかじったことのある人ならすぐ分かることだと思うけれど、「組織」の官僚化なんていうものは何も「官」の世界に限らず、本来は「民」に属するはずの大企業なんかも、すぐに官僚化することなど分かり切った話であるはずだ。
特に郵政民営化なんかのとき、郵便貯金や簡易保険は「民業圧迫」だからいけない、なんて理屈を持ちだしてきたとき、どうも怪しげなものを感じた。
銀行なんて、一応は「民間企業」だったに違いないが、つい最近までどう見ても大蔵省の方を見て経営していたことは明らかである。そこにどれだけ「企業家精神」なんてあるのかと思っていた。ああいう会社の内部は明らかに、役所以上に官僚化していたのではないだろうか。
いやいや、潰れる心配のないお役所と、倒産する危険のある民間企業は違うという人もいるかもしれないが、金融が自由化されたはずのアメリカでさえ、大規模な金融機関は、結局のところ公的資金で延命されるものだということを、みんな知っている。
まして日本の銀行は、推して知るべし。
確かに日本の中央官庁の「天下り」や「わたり」なんてけしからんのかも知れないが、「お上」がそれなら、某大企業なども結構、年だけとってあまり仕事のできない本社の役員を、定年後の再就職に受け入れている子会社、系列会社はたくさんある。まして地方自治体の、関連団体への小「天下り」はいたるところに見られる。大手マスコミだってそんな話は山ほどある。
世に役所以上に官僚化した民間企業はいくらでもある。
自分の近辺にいくらでもある小「天下り」を棚に上げて、みんなが中央省庁の役人批判をしているのも、どうかと思うのが私の率直な感想なのですけど。
ちなみに私は、会社の正社員にほんの数年、あとはほとんど非正規雇用で30年近くすごしてきた者ですが。

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