元気の無いオグリくん。
ぐったりしてますでしょ?
黄疸出てるんだもん、しょうがないよね。
つい先ほど病院から帰りました。
診療時間ギリセーフくらいで駆け込み、
もう待合室には誰もいなかったのでゲージから出したのですが、
家でのあのぐったりぶりが信じられないくらいに動き回って!
落ち着かないんでしょうねぇ、
おうちに帰りたいんでしょうねぇ、
外へのドアをカリカリカリカリ引っ掻いて。
そしてここ数日聞かなかった鳴き声まで出して。
そのうち、時間外の患者さんがやって来ました。
診察室からも診療を終えた患者さんが出てきました。
あわててゲージに引っ込めようとすると、
代わる代わる、みんなに撫でられ、可愛がられました。
「触っても平気なんだね〜、怒らないんだねぇ〜」
誉められているのが分かるのか、イイ気になって愛想を振りまくオグリ。
一歳の若いにゃんこの飼い主さんはオグリを犬と間違えて(^^;)
見た目デカイからね、仕方ないわ。
あまりの元気ぶりにどこが悪いのかと聞かれると、
説明するのがちと辛い…。
「もう18歳の年寄りで、腎臓病で、肝臓も…」
まさか、と思われるのも仕方ないくらい元気に動いてたもんね。
でも飼い主の自分には分かる。
その姿が元気な頃よりヨタっているのが。
オグリの番が来て、診察室へ入る。
体重は4.1キロ、かなり落ちたケド思ったよりはあった。
先生は黄疸を見て、
「これはお薬替えるどころじゃないよ?」
そう言い、まづは血液検査だ。
その暴れる事!
今までになく暴れた!
もうずーっと自分の思い通りにならない事などない生活だから、
こんな風に押さえつけられて自由がきかなくなるのが耐えられないのだ。
本当はもうかなり元気がないように見えていたので、
そんなに暴れる元気もないと思っていた。
しかし、自分も含め三人がかりで押さえ、
元気すぎる大きな鳴き声の中、苦労して採血は終わった。
あとは結果待ちだ。
この結果待ちが辛い。
ドキドキを押えようと、目の前の時間外の患者さんと会話したりした。
ウサギを連れて来た人、猫を連れて来た人、
そしてちっちゃな一ヶ月半の子犬を連れて来た人。
みんな、それぞれの心配を明るく話した。
でも、オグリほど深刻な子はいない。
覚悟をして来たけれどもやはり羨ましい。
そして運命の結果が出た。
何と!腎臓はもうほぼ正常値である。
んな、馬鹿な!?と嬉しい驚き!
血中尿素窒素(BUN)28.7
クレアチニン(CRE)1.9
しかし、喜びも束の間、
肝臓の数値が酷かった。
分かってはいたが、数字になるとショックは大きい。
黄疸を表す
ビリルビン(T−Bil)
正常値0.5が
7.2!
肝細胞の変性・壊死を表す
GPT正常値85が
877!
肝疾患を表す
GOT正常値50が
247!
他に胆道閉鎖を表すALPは337のところ380、これも高いが、
他の数値が5〜10倍なので高いと感じないくらい他が高すぎる!
もう、目の前が歪んで見えた。
それでも先生はほんの少しの希望を持たせてくれる。
腎臓は機能回復しないけど、肝臓は治ると。
一応、肝臓とはそういうものだと言ってくれたのだが、
この状態がそれに当てはまるとは思えない。
でも、もしも少しでも良くなる可能性があるなら、
何とかオグリに頑張ってもらいたい!
「本当はエコーもしたいけど、この子はもう無理かな?」
「無理させてこれ以上ストレスを与えたり安静を損ねたりすると、
また数値が上がるしね。それは危険だと思うよ。」
先生はワタシの意思を尊重して言葉を選んでくれているようだった。
「本当は入院して点滴、内服薬治療なんだけど。どうする?」
そう聞いてくれた。
ワタシはどうしてもオグリから離れたくない。
年齢からどんな治療をしても急変は在り得るリスクだ。
それにオレ様生活のオグリに入院生活は辛くストレスが大きいだろう。
自宅で出来るだけの事がしたい、そう言った。
「すかぶーさんはお薬飲ませるの大丈夫なんだよね?」
「ぜんぜん大丈夫?そう、ならね、」
と、肝臓の薬を出してくれたが、粒が大きいので心配していた。
これは獣医でも飲ませるのが大変のようだ。
何でも、胃ではなく腸で解かせるため、噛んではいけないらしい。
ノドの奥へ突っ込み、きっちり飲ませる事。
噛んではダメな薬なのでもちろん小さく刻んではいけない。
「どう?出来そう?」
出来ます、と言い切った(−−;)
出来るじゃなく、やらねば!である。
腎臓の薬も今まで通りだが、
その薬と肝臓の薬は時間を空けて飲ます事。
取りあえず10日分、その後状態が良ければまた使うと。
この時点で時間は8時半過ぎ、2時間も診療時間をオーバーしていた。
遅くにすみませんでしたと言うと、
「今ねぇ、もう〜めちゃくちゃ混んでるの〜忙しいの〜」
「俺ね〜、もう死にそう!これからまた手術だしぃ〜」
と相変わらずの泣き言を笑顔で言って見せた。
「実はねぇ、今、入院が満杯なんだよ。8室あるのが全部!」
「だから正直、すかぶーさんが自宅療養できる人でありがたいの」
「猫の内服治療は思うよりずっと大変なんだよ〜」
もちろん、入院させようと思えば可能なのだ。
ただ、ここの先生は一つの部屋に幾つもゲージを置いたりしないのだ。
三畳ほどの小部屋に一匹、他の子からストレスを感じさせないようにと。
でも、やむを得ずそこのゲージを複数置くことは出来る。
出来るだけ、そうしたくないという先生なのだ。
飼い主さんとも個室で好きなだけスキンシップも出来るのだ。
入院させた飼い主さんは入院している子への先生の気配りに驚くほどだ。
心配な子は夜中じゅう、そばに付き添うらしい。
だから、
この先生の泣き言はそんなところからきているから、
飼い主にはありがたいグチこぼしなのだ。
素直で可愛いしね(^^;)
そうして一度は診察室を出て待合室で清算を待っていると、
また診察室から先生に呼ばれた。
「ねぇ、すかぶーさん、もしかしてまだ、薬増やしても大丈夫?」
大丈夫とはまだ飲ませられるかという事だ。
もちろん、出来ると答えた。
「入院治療は本当は数種類の薬を飲ませるんだけど、」
やらいでか!
下さい、やります、やります!
入院させずにすむなら、何でもやります〜
で、内服がまた増えた。
急変の可能性は捨てきれないし大いに在り得るが、
出来る事があるのは嬉しい。
7種類の薬を時間を振り分けて飲ませ、
水や食べ物を何度も小分けで注射器で飲ませで、
これからしばらくは仕事以外で家を開けたり出来ないだろう。
いや、オグリのためならもう何処へも行けなくたっていいのだ!
ワタシも頑張るから、オグリも頑張れ!
腎臓に心配が少なくなったので、肝臓治療に専念できる。
「ともかく安静第一、絶対にストレス与えないでね。」
いや、今までも王子さまでしたもん、そう言うと。
「じゃあ、今夜からは王様で。」
と言われた。
オグリ王子はオグリ王を戴冠することになった。
おめでとう、オグリ。そして負けるな、ワタシ。

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