私は、中学の時同じ学校に通う友人が大勢行く英語塾に通っていました。帰宅時、同じ方向に帰る友人とは、連れ立って帰っていました。私の家は、何人かの友人の家への帰り道にありました。だから当然友人は、毎回私の家の前を通ることになるのですが、いつもその時心臓をドクンドクンさせて、血の気が引く思いをしていました。それは、ちょうど、友人が通りかかった時に、兄が母に、もし暴行を働いていたらどうしようと、毎回恐れていたからです。暴力を振るう時兄は大声で怒鳴りちらしていました。母も負けてはいませんでした。きっと外にその声、暴れる音は聞こえるはずだから、絶対にこの事を、世間に隠し通さねばいけないと思っていた私には、自分の家の前を友人が通りかかる事は、ものすごい緊張の瞬間だったのです。塾のたびに今日は大丈夫だったと、脱落感のようなホッとした感覚をおぼえました。でも、次の瞬間次は大丈夫かな?と、いう不安に襲われていました。たまたま、好運なことに、一度も塾に行っている間そういう事態はおこりませんでした。また、塾で学習しながらも、常に頭の片隅では、今ごろ、兄が母を傷つけているのではないかと気が気ではありませんでした。高校時には片隅でなく、頭の中が全部1日24時間この事で、支配されてしまう状態になるのでした。

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