2008/4/27  9:50

茨城県国保連10億円横領事件とタゴ51億円事件  他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件

■また、役人による横領事件です。4月22日に、茨城県で10億円の横領事件が発覚したと報じられました。各紙の報道内容から事件の概要を次のとおりまとめてみました。


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茨城県国民健康保険団体連合会(水戸市笠原町、理事長・石塚仁太郎坂東市長)の会計課主任だった森知勇(ともお)容疑者(34、水戸市中央)が、約2年〜数年間にわたって保険料約10億円を着服していたとされる事件で、県警捜査2課と水戸署は4月22日夜、森容疑者を業務上横領容疑で逮捕した。同連合会は4月22日付けでこの主任を懲戒免職処分。容疑者は水戸署に出頭して着服の事実を認めており、同連合会は業務上横領か詐欺の容疑での告訴も検討している。
調べでは、森容疑者は今年3月上旬から下旬にかけ、理事長名義の預金通帳と印鑑を使い、9回にわたり、連合会が保管した約2800万円を水戸市内の金融機関から引き出して横領した疑い。 同容疑者は20以上ある口座の中から、監査対象に含まれない会計口座を使って現金を引き出し、不正の発覚を免れていたという。
同連合会によると、主任は高校卒業後の93年採用。03年に会計課に配属された。会計課出納係だった2005年4月から08年3月にかけ、同連合会が保険料を管理している複数の特別会計口座から、架空の支払伝票を使って1回当たり100万〜300万円前後を引き出して自分の口座に振り変える手口で、計約10億円を着服した。決算時の発覚を防ぐため、同連合会の複数の口座の金を出し入れし、残高を調整していた。同連合会の調査に対し、横領した金は競馬などギャンブルに費やしていたと話しているという。連合会の調査では、ほぼ全額が回収困難な状況という。
総額約330億円の特別会計は市町村に一時的に貸し出すためにプールされているもので、決算時期には積立金を補填して発覚を免れていた。
関係者によると、森容疑者は、損失を集中させた特別会計に約10億円の穴を開けたまま今年4月に別の課に異動。4月15日(月)の週から勤務を休んでいた。主任が4月18日、元上司に「申し分けない。約10億円の穴があく」などと記した手紙を職場に持参したことから、同連合会が調べたところ、保険料を管理する連合会の口座から300万円程度の金が頻繁に引き出されるなどしていて着服が発覚した。出納係はほかに1人いたが、着服に気付かなかったという。
会見した石塚理事長は「県民、被保険者に深くおわびします」と陳謝。すべての印鑑や通帳を入れた金庫を、管理権限がない職員が開けることができたことや、県に提出する監査資料を男性職員が1人で作成していたことなど、ずさんな管理とチェック体制の甘さを認めた。説明によると、金庫はダイヤルと鍵で施錠するタイプで約20の通帳と印鑑を保管。上司が管理していたが、森容疑者は上司が出張などでいない時には開けることができた。県による定期監査の資料も森容疑者が作成するなど、1人に任せられていた。
同連合会は、県内の市町村で構成。市町村が徴収した国民健康保険や介護保険などの保険料を管理。医療機関からの診療報酬請求が適正なものかチェックし、支払いなどの事務を担当している。現在発生している損失分については退職準備金や繰越金などから補てんし、市町村への支出に当てるので、医療機関への診療報酬支払いに支障はないとしている。
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■このニュースを聞いて、安中市民は「タゴ公社51億円の犯罪パターンと似ているな」と感じた人も居れば、「なんだ、たったの10億円か」と自嘲気味に話す人もいます。
安中のタゴ公社51億円事件との類似点は、通帳や印鑑の管理がずさんだったこと(内規違反の常態化)、監査資料の作成を1人に任せていたこと(事務権限の集中)、特別会計口座を使っていたこと(ウラ口座の開設)、などです。決算期を3年間にまたがって10億円もの金額を横領されるというのは、同連合会の事務管理がいかにザルであったかを宣伝しているようなもので、上司および監査担当者の管理能力欠如は大いに批判されなければなりません。同連合会は今後、欠損金の穴埋めのために、『保険料の値上げ』を画策することが予想されますが、『被害者』である県民に損失のツケを負わせるというのはどう考えても筋が通りません。上司および監査担当者の給料・ボーナス・退職金・年金を減額して補てんさせるべきです。
しかし、安中市のタゴ公社51億円事件では、上司も監査担当者もだれも給与や報酬の減額をしておらず、全部安中市民の支払った公金から尻拭いをしています。マスコミでは、職業倫理の欠如を嘆く論調が盛んに論じられていますが、安中市民は、役所とは職業倫理の欠如した職場であることを痛感しており、自浄作用に期待できないことを認識しています。
ところで、茨城の10億円着服事件では、4月23日になって次の報道がありました。やはり安中市役所の対応とは雲泥の違いがあるようです。

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10億円の保険料を元会計課主任に着服された茨城県国民健康保険団体連合会は、4月23日、損失を積立金から補てんするのに伴い、全職員の給与と退職金を減額する方針を固めた。幹部が職員に説明し理解を求める。診療報酬支払いに支障はないという。連合会によると、積立金は主に退職金や会議運営費などの予算で、総額約17億7000万円。損失約10億円の穴埋めに半分以上を充てる。全職員の給与や退職金を減額することで、損失の穴埋めに充てる方針だが、県民からは「なぜ着服を防げなかった」「組織全体の監査が甘い」などと抗議が殺到している。同連合会は自らの身を切ることで「責任を果たし、県民の信頼と安心の回復に努めたい」考えだ。
同連合会は横領で生じた損失分に退職金などの積立金を充当。最終的な損失補填(ほてん)に職員給与や退職金の減額分を充てる方向で、各市町村や職員との協議を進める。ただ、急な減額は「人材流失や業務への支障など組織崩壊を招く危険性」(同連合会)もあり、一定期間をかけて“経営改善”を進める。
国保連の主な役員は市町村長が非常勤として兼務。常勤トップは県職員のOBが充てられる。職員数は約140人で、給与額は年間で計約9億円。同連合会は「(容疑者からの)回収が無理なのは理解している。県民に納得していただける対応策を示す」としている。
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■この対応振りを見ると、一応組織として尻拭いを行なう姿勢を見せています。タゴ51億円事件で安中市土地開発公社が何も責任を取らずに事件を風化させた安中市の体質がいかに異常であるかがよく分かります。
ところで、こうした横領事件で共通するのは、情報の秘匿です。茨城の10億円横領事件でも、役人らによる歯切れの悪い記者会見が、茨城県民の怒りに火をつけました。4月22日の記者会見の模様を報じた記事です。

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消えた10億円に誰も気付かなかったのか。男性職員による保険料着服が発覚した4月22日、会見した県国民健康保険団体連合会幹部は「捜査に差し障る」と繰り返し、不十分な説明に終始した。命と健康を守るために県民が納めた保険料の管理のずさんさばかりが目に付いた。
●沈黙−−「捜査に影響」と
同連合会は午後4時から水戸市笠原町の県市町村会館で会見し、理事長の石塚仁太郎・坂東市長ほか事務局の担当者ら計約15人が出席。謝罪を繰り返したが、具体的な手口など内容については「警察の捜査に影響を与える」として言葉を濁す歯切れの悪いものだった。
事務局の担当者らは、チェック体制の甘さを問われると、顔を見合わせ、うつむきがちに沈黙を続けた。その後、上司の決裁がないまま男性職員が1人で現金を引き出していたことなど経緯を説明し、決算時や四半期に一度行われる監査の際にも帳簿上に問題がないため不正を見抜くことができなかったと釈明。「結果として1人任せの状態になっていた」とずさんな管理体制を認めた。
●地味−−「まさか彼が…」
「昼間はコンビニ弁当で車も服装も普通。まさか彼がという感じです」(小坂哲郎・同連合会事務局次長)。
男性職員は高卒後、93年に採用された。水戸市内に妻と子どもと3人で暮らしており、勤務態度はまじめだったという。5年前に会計課に配属され、06年度に同課主任に昇格。同連合会は、着服は昇格以前から行われていたとみている。
職員が着服を告白し、水戸署への出頭を告げた手紙は、手書きの便せん数枚だった。同連合会の関係者に対する謝罪はあったが、県内の被保険者に対する謝罪はなかったという。
同連合会は、今年4月1日付で職員が電算業務課に異動し、これ以上の隠ぺい工作を行えなくなったことが告白する契機になったとみている。男性職員は、先週初めから体調不良を理由に年次休暇を取得していた。聞き取りに対して着服の事実を認め「すべて競艇に使った」と淡々と答えたという。
●影響−−実害否定できず
着服による多額の損失が、県民の命を預かる役割を担う連合会の運営に支障をきたすことはないのか。今回損失が生じたのは、高額医療費などについて同連合が市町村に交付するための特別会計だった。
4月18日、昨年11月分の医療費として県内各市町村に計21億円が交付されたが、着服による約10億円の損失は、繰り越しなどの内部留保金約17億円から切り崩して補てんされたという。事務局の担当者は「通常の業務には支障はなく、各関係機関に直接的な影響はない」とする一方、「県民に実害はないのか」と問われると「ないとはいえない」とした。
同日、同連合に対して県民から約20件の苦情電話が寄せられたという。県保健福祉部は「組織的な犯罪とは異なると認識しているが、残念としか言いようがない。連合会に対し、県民の信頼を回復するよう指導したい」とするコメントを出した。
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■横領事件では、真相の究明、責任の所在明確化、再発防止策が3大ポイントですが、安中市のタゴ公社51億円事件では、3つとも曖昧で済まされました。
一方、茨城の10億円横領事件では、4月25日に直ちに次の再発防止策が発表されました。

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茨城県国民健康保険団体連合会理事長の石塚仁太郎坂東市長は4月25日、水戸市で開かれた市町村長・市町村議会議長会議で、職員の10億円着服事件を陳謝。連合会の事務局が、@印鑑、通帳の保管は別個・別人にして保管・管理を徹底することや、A会計課の業務を財務と出納に分離することなどの改善策を報告した。改善策はほかに、B外部の専門家を入れた委員会設置、C毎日、担当課長による収入・支出のチェック、D週1回、課長職による全会計の収支確認――など。
石塚市長は会議後、10億円の補てんには職員の給与や退職金を充てる方針を示唆した。ただ140人いる正職員から均等ではなく「責任に応じてとなるだろう」と話し、今後委員会を作って協議していくという。
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■責任の所在の明確化について、保険料の通帳を収めた金庫を開閉できるのは会計課幹部2人という内部規則があったことが分かりました。規則が守られていれば着服は不可能で、ずさんな管理体制の責任が問われています。関係者によると、保険料の約20冊の銀行通帳を保管していた金庫は鍵とダイヤルで二重にロックされており、金庫の開け閉めは、会計課長と会計課係長しかできない取り決めでした。しかし通帳の記帳を担当していた森容疑者は、金庫の鍵の保管場所やダイヤル暗証番号を上司から聞いていて頻繁に金庫を開閉していた。当時の上司は着服を疑わず、違反行為を黙認していました。
また保険料を引き出すには、会計課長と事務局長が管理する計2種類の印鑑が必要だったが、会計課長管理の印鑑は通帳とともに金庫の中にあり、事務局長管理の印鑑は無施錠の机の引き出しに置かれていることがあった。森容疑者は、上司の不在時を見計らって保険料を引き出す申請用紙に印鑑をついていた可能性があります。
連合会の秋山光次長は「職員が少なく、上司が不在にすることもあり、森容疑者に金庫の開閉の方法を教えてしまっていた」と管理体制の甘さを認めています。
これは、安中市土地開発公社の場合と酷似しています。安中市公社の場合には、公社の事務局長と、タゴの上司の事務局次長がきちんと通帳と印鑑を管理すべきところ、すべてタゴにまかせっきりにしたため、タゴが自由自在に通帳と印鑑を使っていました。それにもかかわらず、管理体制の甘さが追及されず、悪いのはタゴひとりという構図で、巨額横領事件が幕引きされたのです。
茨城県国保連10億円横領事件に接しても、タゴ51億円事件の事情を知っている安中市民はさほど驚きません。なにしろ、タゴ事件では使途不明金だけでも14億円以上なのですから無理もありませんね。

【ひらく会情報部】

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