2013/7/23  23:51

県議香典問題で市民から相談を受けオンブズマンが記者クラブに会見予約したら翌朝取材記事が掲載された顛末  政治とカネ

■最近はすっかりオンブズマン活動が社会に認知され、県内各地からいろいろな相談を受けるようになった市民オンブズマン群馬ですが、裏返せば公金を食んでいる行政関係者に緊張感が足りない現状を映し出していると言えるでしょう。当会では市民から相談を受けた場合に、その内容が行政や公務員の不正、税金の無駄遣い、行政による不当な住民への仕打ちなど、オンブズマン活動の範疇と思われるものについては、出来る限り支援する方向で役員が判断し、毎月の定例会で会員の賛意を得たうえで実行するようにしています。


 そのような中で、平成25年6月29日に富岡市でオンブズマン活動に携わっている住民らから、地元選出県議の香典寄附問題について、当会事務局に相談があり、県庁記者クラブの「刀水(とうすい)クラブ」での記者会見の設定とその際のニュースリリース用の原稿案のアドバイスについて依頼がありました。

■相談者によれば、7月1日に前橋地検と事前打ち合わせをしたうえで、7月2日に地検に告訴状を提出し、受理されれば同日、刀水クラブで記者会見を行いたいというものです。

 当会では、報道機関との連携について、情報発信の観点から非常に重要視しており、県庁5階にある刀水クラブをはじめ、県内各地の記者クラブで積極的に記者会見を開くように努めています。

 また、県内各地でオンブズマン活動をしている市民からの相談は、前述のとおり、その活動意義がオンブズマン活動に照らして妥当だと判断される場合には、直接的には当事者が主体で活動することを原則に側面から支援する態勢をとっています。

 今回も、常日頃からコンタクトしている刀水クラブの幹事社に連絡を取り、前述のとおり、県議の香典寄附問題で7月2日の告訴状提出後の記者会見を、前日の7月1日に申し入れました。なぜなら相談者からの依頼に基づき、相談者の満足のいくように、事前に幹事社を通じて本件の記者会見の開催を認知してもらい、クラブ加盟各社に出来るだけ多くの記者の方々に都合を付けて出席していただきたいためです。そのため、会見の目的の事案の概要を幹事社に説明しました。

■ところが、次のように7月2日の朝刊に、刀水クラブの6−7月期の幹事社である朝日新聞社と産経新聞社の2社のうち、朝日新聞社が逸早く関係者に取材をした結果を掲載してしまったのです。また、上毛新聞も同様に取材して報道してしまいました。

**********2013年7月2日朝日新聞第2群馬版
大手県議「香典」 男性きょう告訴 「公選法違反の疑い」主張
 代理人を通じて香典を届けたとして、富岡市内の男性(54)が、大手治之県議(自民党、富岡市選挙区)を公職選挙法違反(寄附行為)の疑いで前橋地検に2日、告訴する。市民オンブズマン群馬の鈴木庸事務局長が1日、明らかにした。大手県議は取材に「事実関係を確認してからコメントしたい」と話した。
 男性と鈴木事務局長によると、大手県議は1月5日午後6時ごろ、富岡市内であった男性の地碑親の通夜に代理人を通じて、香典3千円を届けたとしている。男性は「県議とは顔見知り程度で、香典をもらう関係ではない」と取材に話した。
 公選法は、県議ら公職にある者の寄附行為を禁じている。ただ、「通常一般の社交の程度」で、自らが出席する香典や祝儀については、判例などでは許されるとされる。
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**********2013年7月2日上毛新聞社会面
公選法違反容疑 大手県議を告訴へ 香典寄付で遺族
 自民党県議の大手治之氏(60)=富岡市区=から、選挙区内の葬儀で代理人を介して香典をあ渡されたのは公選法違反(寄附行為)に該当するとして、亡くなった男性の遺族が大手氏を同法違反容疑で刑事告訴する方針であることが1日、関係者への取材で分かった。
 大手氏の家族は「本人が不在で分からない」、遺族は「詳細は近く会見で明らかにする」とした。県選管によると、公選法は政治家本人が出席しない場合、選挙区内の葬儀で香典を渡すことを禁じている。
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■このため、7月2日の午前中に前橋地検に告訴状と関連書類を持参しようとして相談者が、既に朝日新聞と上毛新聞の朝刊に行動予定が報じられているのを知り、オンブズマン事務局に苦情が寄せられました。勿論、当会事務局もこの記事には仰天しました。

 さらにその後、オンブズマン活動に関心を持つ関係者や当会会員から「八ッ場ダム問題や、警察の裏金問題、そして議会の政務調査費など、社会的影響の大きなテーマでオンブズマン活動をするのは理解できるが、3千円程度の香典問題で市民オンブズマン群馬が主体で関与するのはいかがなものか」などという意見が代表者に寄せられました。

 それは朝日新聞の記事の中に、当会の名称が載っていて、この事件の事を「オンブズマンが明らかにした」と報じていたためです。

 あくまでも告訴の主体は当事者である相談者の方々ですが、朝日新聞の記事を読んだ一般読者は、当会が主体で告訴をしたと受け止めるでしょう。

 経緯を詳しく調査したところ、相談者の意向を受けて刀水クラブに記者会見を申し入れた際に、事案の説明をしたことから、提供情報をもとに逸早く関係者の取材に走り、記事にしてしまったことが原因であることを確信しました。

■そのため、今後の再発防止の目的も込めて、刀水クラブに7月23日、次の申入れを行いました。

**********
                    2013年7月23日
刀水クラブ 御中
                    市民オンブズマン群馬
                     代表 小川 賢
          申  入  書
 平素より地域の公正、公平、透明なジャーナリズムの実践にご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、報道の原則として、中立、公正さが挙げられます。なぜなら、情報の送り手側が真実を判断して、情報の受け手に伝えることは、その時点で、情報の送り手側が事実に対して何らかの判断を下している可能性があるためです。一方、情報の送り手側がどのような判断を行っているかを情報の受け手側は知りえません。そのため、この段階で、報道の中立公正さが乱されるおそれが生じます。「報道は事実をありのままに伝えること」が重要だといわれる所以です。
 この観点から、当会は、これまでもさまざまな情報提供を、貴クラブにおける記者会見や投げ込みによる情報提供などを通じて行ってきました。その都度、貴クラブを通じて、地域の大勢の人々に、当会の活動を伝えることができたことは、ひとえに貴クラブと当会との信頼関係によるものだと認識しております。
 ところが極めて遺憾なことに、その関係が崩されそうになった出来事が最近発生しました。
 今年6月30日に、当会事務局に冨岡市でオンブズマン活動をしている方々から連絡がありました。聞いてみると、富岡市選挙区選出の県議会議員に関する公職選挙法がらみの相談でした。「同7月1日に前橋地検との打合せを踏まえて、7月2日に地検宛に書類を提出することにしており、その後、貴クラブで記者会見をしたいので、事前にプレスリリース用原稿の内容についてアドバイスを求めたい」という趣旨の相談内容でした。
 このため、当会事務局が、7月1日に貴クラブの幹事社(朝日新聞社)に「7月2日の地検への告訴状の提出後に記者会見をしたい」旨の申し入れをしました。その際、幹事社(朝日新聞社)から、記者会見の要旨を訊ねられたため、あらましを伝えました。
 ところが、7月2日の朝日新聞朝刊に、「大手県議『香典』 男性きょう告訴 『公選法違反の疑い』主張」と題して、「冨岡市内の男性(54)が、県議を公職選挙法違反(寄付行為)の疑いで舞えば質権に2日、告訴する。市民オンブズマン群馬の鈴木庸事務局長が1日、明らかにした。・・・男性と鈴木事務局長によると・・・」などと報じられました。
 また、幹事社ではありませんが、上毛新聞社も7月2日の社会面で、市民オンブズマン群馬の名称は出しませんでしたが、「県議を刑事告訴する方針であることが1日、関係者への取材で分かった」とこの情報が未成熟な状態であるにもかかわらず報じました。
 これらの報道により、当会に相談をしてきた当事者の方々は、7月2日に告訴状を前橋地検に提出する前に、世間に当日の行動予定を知られることになり、非常に驚かれました。そして、当会に、なぜこの情報が事前に報じられたのか、クレームの言葉があったのでした。
 幸い、前橋地検では当事者から出された告訴状を受理したため、不測の事態は回避されましたが、今回の貴クラブ幹事社(朝日新聞)及び上毛新聞社による、いわゆるスクープ狙いの抜け駆け行為に対して、ここに強く抗議を申し入れます。
 もし、前橋地検が受理をしなかった場合には、事前の報道が原因だとして、相談者である当事者の方々から当会に対して、当会の信頼性について疑念を抱かせる原因になりかねませんでした。
 とくに、幹事社(朝日新聞社)の7月2日朝刊記事では、はっきりと「市民オンブズマン群馬が明らかにした」と報じており、この告訴があたかも市民オンブズマン群馬が主体となった行為であるかのように読者に受け取られかねない表現となっています。
 今回の告訴事件では、告訴行為の主体は冨岡市在住の当事者の方々です。当会としては、あくまで当事者の方々からの要請により、側面からサポートする立場において、刀水クラブでの記者会見の申し入れを行うとともに、プレスリリース原稿チェックの相談に応じたものです。
 常識的に考えれば、7月2日に予定していた記者会見の席上で、貴クラブ所属各社に対して一斉にこの告訴事件について、発表し、経緯や内容について説明し、貴クラブ所属各社からの質問等を承ることになるはずで、その記者会見を踏まえてから、貴クラブではそれぞれのジャーナリズムに基づき、報道するかしないかも含めて判断し、実行するのが手順なのではないでしょうか。
 実際に、貴クラブ所属各社のうち、毎日新聞社は、7月4日付で本件について、「同市の男性が2日、県議を公選法違反容疑で前橋地検に刑事告訴した」と報じており、きちんと事実関係を確認してから記事を執筆しています。
 なぜ、記者会見情報をいち早く入手できる立場にある幹事社(朝日新聞)と一部マスコミ(上毛新聞社)が、まだ刑事告訴をするまえの段階で、記事を掲載して、しかも関係者に取材までしてしまったのか、その行動基準の根拠を、貴クラブの基準に照らし合わせて、問題があるのかどうかきちんと精査することをここに強く申し入れます。          以上
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■すると、本日の午後3時40分ごろ、朝日新聞社の記者から当会代表者に電話連絡がありました。話を聞いてみると申入書の中の「いわゆるスクープ狙いの抜け駆け行為に対して、ここに強く抗議を申し入れます」というくだりが事実誤認だというのです。さらに、ジャーナリストである自分に対する名誉棄損にも当たるとまで言われ、強く抗議を受けました。

 ひととおり記者の言い分を拝聴した結果、次の事を感じました。すなわち、

(1)告発・告訴のような被告発・被告訴人の名誉にかかることについても、八ツ場ダムのような裁判結果のコメント発表についても、マスコミは同じ感覚で対応してしまうこと。
(2)記者会見のアポイントの申入れであろうが、事前に情報提供があれば、それをベースで直ちに取材を開始し、記事をものにするのが、記者魂とされていること。
(3)記者会見のアポイントの申し込みと、その会見の事案概要は、速やかに記者クラブ加盟各社に伝えるが、その提供情報をどのように取り扱うかは各社の判断次第であること。
(4)従って、その提供情報が告訴状を検察に提出して受理されようがされまいが、未成熟な情報であれば、独自に取材をして補完をすればよいと考えていること。

 ということですが、これでは、せっかく記者会見の相談を市民オンブズマン群馬に要請してきた相談者の皆さんはもとより、相談者らがきちんと記者会見の場に臨めるように記者クラブに事前に情報提供をして、スムースな会見の実施ができるように努めたオンブズマン事務局の苦労が、少しも伝わらなかったことになります。

■今回、市民オンブズマン群馬は6月29日に相談者からの要請を受けて、7月1日に、7月2日の記者会見の設定を記者クラブに依頼したわけです。しかし、会見の設定依頼時に提供した情報をもとに、記者クラブの加盟各社がそれぞれの判断で独自に取材を開始するなどいうことは、オンブズマンとして想定外のことでした。

 よって、類似トラブルの防止のために、今後は、記者会見の内容についての事前情報の提供は、概要のみにするか、あるいは一切情報提供を行わないことにするか、などの配慮が必要になりそうです。さもないと、フットワークが良く血気にはやる記者の場合には、提供情報をもとにして、直ぐに取材を開始してしまうおそれがあるためです。

 とりわけ、こうした告訴・告発を伴う事件情報に関する記者会見の申し入れについては、詳しい情報を記者クラブの幹事社に伝えずに、単に記者会見の申し入れだけを行うようにしたいと思います。

■もうひとつの問題点として朝日記者に指摘したのは、当事者ではない市民オンブズマン群馬の名前を無暗に出さないようにしてほしい、ということでした。

 これに対して朝日の記者は、「オンブズマンはしっかりした組織であり、提供情報も事実に基づく信頼性に富むと考えて、記者会見を開くということなので、提供してもらった情報から、直ぐに取材活動を始めたのであり、これはジャーナリストとして、当然の行動である」と主張しました。そして「記者会見予約申入れに際して、提供情報をクラブの黒板に書き、その情報を加盟各社がどのように扱おうと、各社の判断に任せられている」と主張しました。つまり、刀水クラブでは入手情報の取り扱いについてきちんとした規定をとりきめておらず、取り扱い基準がないというわけです。

 これにたいして当会からは、「これまでの数多くの記者会見では、抜け駆けがないように、各社一律に対応するのが原則と考えて、事実、これまでもずっとそのような扱いをしてもらっていたことから、刀水クラブとオンブズマンとの間の信頼関係のもとに、会見に際してはある程度の事前情報提供を行なってきた。今回も常識的に考えれば、これを記事化する際には、当然、情報提供者であるオンブズマン事務局に確認をとるはず」とコメントしました。

 しかし、朝日記者によると、「マスコミとしては、情報入手した場合、あとはどういうふうにそれを扱おうと各社の勝手だ」というのです。記者によれば、「群馬に来て3年になるが、刀水クラブにはこの4月から配属になり、幹事社としての経験は今回、6−7月(2ヶ月間)がはじめてだ」そうです。

 朝日新聞の担当記者はしきりに、記者としての立場を強調していましたが、当会からは「今回は記者会見のセットを依頼人の肩代わりにしたのであり、当事者はあくまでも相談者である」ことを説明しました。

■こうした経緯がありましたが、最終的には今後の類似トラブルの再発防止のために、今後は互いによく情報交換をしておくことが重要だということで、朝日記者にも認識をしていただきました。また、当会事務局としても、各地でオンブズマン活動をする住民からサポート要請があった場合には、引続き積極的に行ってゆく方針ですが、基本的には、それぞれの住民が主体的に記者会見をし、オンブズマン事務局としてはあくまでもサポート役に徹することにしています。勿論、全県的な問題や、行政ルールの根幹に関わる違法不当な問題については、オンブズマン事務局が主体になって対応する所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


※関連情報
【県議香典寄付問題を報じた7月3日以降の報道記事】
**********2013年7月4日毎日新聞地方版
公選法違反:香典渡した県議を容疑で告訴 /群馬
 大手治之県議(60)=富岡市選出=が選挙区内で代理人を通じ香典を渡したのは公職選挙法違反(寄付の禁止)にあたるとして、同市の男性(54)が2日、大手県議を同法違反容疑で前橋地検に刑事告訴した。
 男性によると、大手県議は今年1月5日に同市内で行われた男性の父親の葬儀に代理人を出席させ、3000円の香典を出したという。県選管によると、同法では政治家が選挙区内で行われた葬儀に代理人を出席させ、香典を渡すことを禁じている。毎日新聞の取材に対して、大手県議は「事実関係を確認した上で、コメントを出したい」と話している。【田ノ上達也】
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【7月2日の記者会見で配布された会見用資料】
群馬県庁記者クラブ 刀水クラブ加盟各社様
 ただいま前橋地方検察庁に別紙コピーの通り告訴状を提出、受理されました。この席をお借りしまして刀水会クラブ加盟各社を通じて、県民の皆様に報告させていただきます。
 公職選挙法が制定されて以来、法の精神がおろそかにされて選挙違反行為が平然と見過ごされてきました。
 国及び地方自治体の代表者は、厳にエリを正し公職選挙法を全うされるように補完的なルール作りが待たれています。
 私たち国民は、順法精神を真に尊重し実行する責任と義務を負っています。
 今回前橋地方検察庁が選挙違反に対して前向きに対処される姿勢を鮮明にされました。これを機会にされまして国民が自治参加者としての公平公正な選挙を実現されます事を強く願っています。         2013年7月2日火曜日

群馬県富岡市○○xxx-x  携帯電話 080-xxxx-xxxx
             ファックス 0274-xx-xxxx
告訴人 ○○○○

(別紙)
          告訴状
                    平成25年 月 日
前橋地方検察庁殿
                    告訴人 ○○○○ 印
告訴人
 住居 群馬県富岡市○○xxx-x
 職業 ○○
 氏名 ○○○○
    昭和xx年x月xx日生
    電話 080-xxxx-xxxx
    FAX 0274-xx-xxxx
被告訴人
 住居 群馬県富岡市下丹生1364-2
 職業 群馬県会議員
 氏名 大手洽之
第1 告訴の趣旨
 被告人の下記所為は、公職選挙法第199条の2(公職の候補者等の寄付の禁止)に該当すると考えるので、被告訴人の厳重な処罰を求めるため告訴します。
第2 告訴事実
 被告訴人は、群馬県会議員であり、平成23年4月10日施行の群馬県議会員選挙により選出された県議会議員の公職にあるものが、同選挙の区域内にある者に対して寄付しようと企て、法定の除外事由がないのに、平成25年1月5日18時頃、群馬県富岡市富岡2431番地のラ・セレモニエール好霊(たかりょう)において営まわれた告訴人の父親である○○○○○の通夜において、参列せずに代理人○○○○氏に香典3,000円を用意させ寄付したものである。
第3 立証方法
 1 .代筆による香典袋
 2 .被告訴人の氏名記載のない通夜の芳名機
第4 添付資料
 1 .代筆による香典袋 1通
 2 .代筆者○○○○氏の香典袋 1通
 3 .芳名帳  1通
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