2013/10/25  23:51

大量の地球温暖化ガスを放出しても「これ以上住民への書面回答はしない」と言い放つ東京ガスのCSR  東京ガス高圧パイプライン問題

■東京ガスの未付臭ガス送出問題で、当会は直接東京ガスの関係者に事実関係を質すべく面談を申し入れたところ、10月25日の午後2時10分から3時まで、同社群馬支社ビル1階の総合窓口の横にある談話室で、同支社総務部の栗原操部長(Tel:0570-002523)と設備部の柴田睦部長(Tel:027-322-0593)と会うことができました。
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東京ガス群馬支社のあるTG高崎ビル1階の同社総合受付。ここで面談した。


 結論から言うと、「放散搭から生ガスを放出する作業に際して地元住民に事前に説明をしないまま行ったことについて誠に申し訳なく謝罪する」というだけでした。

 当会からは、当会への10月4日付のFAXによる東京ガスの回答内容と、その後東京ガスが10月9日に県庁記者クラブでの未付臭ガス送出にかかる記者会見で説明した内容との間でギャップや説明不足の点があるため、あらためて公開質問に対する回答を東京ガス側に要請しましたが、東京ガスでは「文書による回答はこれ以上は無理だ」というばかりで、ただただひたすら頭を下げるのみでした。
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東京ガス(TG)群馬支社のありTG高崎ビル。以前、高圧導管敷設問題で東京ガスに呼び出された時は通用門だったが、今回ケービックスの防犯システムが取り付けてあり、面倒なので表の総合受付から入った。

■東京ガスによれば、10月9日の県庁記者クラブでの記者会見で発表した内容は、同社のホームページに掲載されている次の情報であり、それ以外の話は記者会見で一切していないとのことです。

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東京ガス「重要なお知らせ」
http://www.tokyo-gas.co.jp/important/20131009-01.html
平成25年10月9日
9月19日に判明した群馬地区における臭いの付いていないガス送出の原因ならびに再発防止策について
東京ガス株式会社
東京ガス株式会社は、2013年9月19日に判明しました群馬地区において臭いの付いていないガス(以下、「未付臭ガス」)を送出した事象につきまして、詳細な原因を究明するため調査を行ってまいりました。このたび、経済産業省から原因ならびに再発防止策について報告の指示を受け、本日、同省に報告しましたので公表いたします。
本件につきましては、お客さまならびに関係者の皆さまに大変なご迷惑とご心配をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。このような事態が発生したことを真摯に受け止め、今後、再発の防止を徹底し、お客さまに安心してガスをお使いいただけるよう努めてまいります。
          記
1.発生した事象について
(1)事象の内容
ガスに臭いを付ける装置(以下、「付臭ポンプ」)が一時的に停止したことに伴い、群馬地区のお客さまに未付臭ガスを供給したものです。
(2)影響のあった地域
群馬県高崎市の一部、前橋市の一部、渋川市の一部
(3)お客さま件数
約8万2千件
2.調査により判明した本事象に至った経緯
9月18日午前、ガスを付臭し送出する設備において、9月末に予定されていた配管検査に向け、ガス導管上の電動バルブ※1を一時的に閉止し、仮設配管を通じてガスを送出する訓練を実施いたしました。訓練実施中、当該電動バルブを閉止した時に、付臭ポンプを自動停止する制御が働き、付臭ポンプが停止しました。しかし、作業に携わった社員が、当該制御を把握していなかったため、付臭ポンプが停止したことに気づかず、訓練終了後も付臭ポンプの稼働状況を確認しませんでした。また、未付臭ガスが送出されたことを知らせるアラーム機能を有しておりましたが、当該アラームの設定がオフになっていたことから、発報しませんでした。その後、翌19日に、弊社の社員が定期巡回点検時に、付臭ポンプが停止していることを発見し、このたびの事象が明らかになったものです。
※1電動バルブ・・・ガスの導管を電動で開閉できる装置の付いたバルブ
3.未付臭ガス送出の原因について
(1)未付臭ガスを送出した原因
作業に携わった社員が、電動バルブを閉止した際に付臭ポンプが自動停止する制御が働くことを把握していなかったため、未付臭ガスを送出してしまったものです。
(2)未付臭ガスが送出されたことの発見が遅れた原因
以下の2点が原因で未付臭ガスが送出されたことの発見が遅れたものです。
(1)未付臭ガスが送出されたことを知らせるアラームの設定がオフとなっており、発報しませんでした。また、アラーム設定の状況を確認する業務基準となっていませんでした。
(2)電動バルブ操作訓練終了後に、付臭ポンプの稼働状況を確認しませんでした。
4.再発の防止について
このたびの事態を重く受け止め、今後、同様の事象が発生しないよう、以下の再発防止策を実行してまいります。
(1)当該電動バルブについて、閉止すると付臭ポンプが自動停止する制御が働くことを関係者に周知し、教育を行うとともに、当該電動バルブの運転操作要領書に自動停止する制御が働くことを明記し、適切な操作が行われるよう徹底いたします。
(2)アラームの設定の操作について、管理者のみが操作可能とするとともに、設定の履歴が長期間残るようにシステムのプログラムを改善いたします。なお、改善までの期間については管理者の承認を得て設定の操作を実施することといたします。加えて、毎日、アラームの設定を確認するとともに、設定の操作の実施日を管理いたします。
(3)当該電動バルブ操作を伴う工事や作業終了後、付臭ポンプが稼働していることを確認し、工事や作業の報告書等に記載することを徹底いたします。
(4)本事象につきまして、他の付臭ポンプを管理する弊社内の担当部に周知し、同様の事象が発生しないよう徹底いたします。
<参考:ガスの付臭について>
天然ガスは無色・無臭のため、漏れた時などにすぐに分かるよう、付臭剤で臭いを付けています。
付臭剤に毒性はなく、ガスが燃焼したあとには臭いは残りません。
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 上記の記者発表内容から分かるとおり、東京ガスが10月9日の記者会見で発表したのは未付臭ガスの原因だけであり、安中市野殿のバルブステーションにある放散搭から生ガスを大量放出した経緯と理由については全く公表していないことになります。

■このため、当会は「なぜ地震など緊急時の安全対策ではなく、人為的ミスによる未付臭ガス送出なのに、放散搭から住民に内緒で大量のガスを放出できるのか」について、東京ガスに理由説明を求めました。

 しかし、東京ガスの側の口は重く、前述のとおり書面での回答は拒絶されました。

■口頭による東京ガスの説明によれば、10月19日午後9時に発令した完全復旧宣言時には、安中市磯部バルブステーション経由で帝国石油のパイプラインから送られる未付臭の天然ガスをシャットダウンして、代わりに群馬県藤岡にあるバルブステーションから付臭ガスを供給するように切り替えて、それが高崎、前橋、渋川地区に行き届いた状態を確認したことから、復旧が完了したと見なし、付臭したガス供給への復旧を日的に、自主的に設置した非常事態災害対策本部(関係部門で構成)を解散し、通常体制である群馬支社長をトップとする指揮系統に移行したのだそうです。

 ところが、供給ラインを磯部から藤岡に切り替えることにより、安中市磯部バルブステーションから高崎市下小塙のガバナーステーションの間にある未付臭ガスが残ることになったため、これを大気中に放出することが復旧宣言の前に決定され、緊急工事の準備が行われたのでした。

 そして、10月19日の深夜から翌20日の昼ごろにかけて、磯部から下小塙まで全長16.2kmの区間にある高圧導管中の高圧ガスを北野殿にある放散搭から大気中に投棄したのでした。

■当会の試算では、この区間にあった高圧ガスの量は約22万ノルマル立方メートルと想定しておりますが、当会が東京ガスに正確な大気中へ投棄したガス量は何立方メートルだったのか、何度も質問しても、結局明らかにしませんでした。

■当会では「22万立方メートルの天然ガスを大気中に放散させることについて、東京ガスに地球環境への負荷の観点から見解を質しました。しかし、東京ガスからは何の返事もありませんでした。

 当会は、天然ガスの生ガスを大気中に放出する場合、天然ガスの主成分であるメタンガスの温室効果係数がCO2よりも遥かに高く、環境重視のはずの東京ガスが、なぜフレアで燃焼させないまま生ガスを放散させたのか、その根拠や理由をなんども質しました。

 しかし、東京ガスからは、「太平洋側から藤岡経由で供給されるガス量は今回未付臭ガスを送出していた地域を十分カバーできないため、なるべく早期に日本海側から帝国石油のラインで磯部経由で供給されるルート(群馬幹線)を使ってガス供給不足の事態を回避する必要に迫られていた。そのため、10月19日午後9時の復旧宣言よりも前から、生ガスの放散作業の準備にとりかかっていた」という口頭での説明に留まりました。

 当会から「生ガスを放散するのにどの程度の時間を要したのか?」と聞くと、「19日の夜中に開始して、翌日20日の午前9時までかかったとのことでした。

■さらに当会から「10月4日付のFAXによる東京ガスからの回答によれば、生ガスの大気中への放散作業時の使用機材として、脱臭装置を現場に持ち込んでいるが、どのような方法で放散搭から生ガスを大気中に放散したのか」と質問したところ、東京ガスは「野殿バルブステーションにある配管から、脱臭装置を介して高さ30mの放散搭から天然ガスを燃焼させずに上空に放出した。安中市磯部から高崎市下小塙までの高圧導管内に滞留していた未付臭ガスには、一部付臭されたガスも混じっていたため、周辺の住民にガスの臭いで心配を掛けないように脱臭装置を使った』と述べました。

 当会は「本来、天然ガスの比重は大気よりも軽いはずだから、脱臭する意味は無いのではないか。それでも脱臭したというのは、気流の関係で生ガスが周辺の民家に降りてきた場合、こっそりと放散搭から生ガスを放出していることが分かってしまうため、それをさとられないように、敢えて脱臭したのではないか」と尋ねましたが、東京ガスからはこれに対しコメントはありませんでした。

 当会から「CO2より遥かに温室効果係数の高い天然ガスを大量に放出するにあたって、なぜフレアにより燃焼させてから放出させなかったのか」と質問したところ、東京ガスは「そのような燃焼装置を準備する時間の余裕は無かった。また、大量のガスをいちいち燃焼させていたら時間がかかり過ぎるため、その間、供給余力の乏しい藤岡バルブステーション経由のルートでは顧客への安定供給がおぼつかないことを懸念して、ガスの燃焼については考慮しなかった」とコメントしました。

 そのため当会から「会社として環境重視の姿勢を打ち出しているはずなのに、大量のメタンガスをそのまま大気中に放出することにためらいを持たないのは問題だ。組織として、CSRの観点から、またコンプライアンスの視点からなんの歯止めもかけられないのは導管敷設の段階で、地元住民として住民の声を聞くように再三申し入れたが、全く聞きいれてもらえず、組織としてそうしたコーポレートガバナンス面が完全に欠如していることを痛感させられたが、今回の事件でその体質がまったく改善されていないことがわかった」と述べました。

 燃焼せずに大気中に放出された温室効果係数の高いメタンガスが自然に分解するには10年近くかかると言われていますが、東京ガスはそうした地球環境の影響については全くわかっていないことが明らかになりました。

■最後に、今回、正しいバルブ操作を知らなかったという初歩的な人的ミスが原因だったことから、今後の安全対策として、当会が高圧ガス導管敷設の段階から再三にわたって申し入れている地元との災害防止協定について「今回の事件を契機に今後、締結するつもりはあるのか」と迫ったところ、東京ガスは「そのようなつもりはない。安中市から申し入れがあればともかく、(住民相手には)そのようなつもりはない」と明言しました。

 やはり、ガス事業法等で、公益事業者に与えられた特権にあぐらをかいて、地元住民に対する軽視の社風は、東京ガスの組織体質に染み通っており、これを自ら改善するような努力はとうてい望めないことがハッキリしました。

■約50分にわたる面談を終えて、TGビル1階の総合受付を出る際に、東京ガスの責任者2名のかたがたは、入り口ドアまで当会を見送るまで、「この度の皆さまへの事前の通告なしに作業を行ったことに対しまして、深くお詫び申し上げます」と繰り返し、なんどもお辞儀をしました。しかし、何度も何度も謝罪されお辞儀をされても、当会から申し入れている周辺住ら=ステークホルダーへの説明責任が今後もきちんと果たされない限り、東京ガスという世界最大級の組織に対する信頼は得られないことを、東京ガス自ら肝に銘じなければなりません。

 おそらく来週には、東京ガスは、今回の事件を過去のものとして、相変わらずガスパッチョのイメージ広告を世間にふりまき、実態の伴わない企業イメージで私たちを惑わし続けることでしょう。

【ひらく会情報部・東京ガス未付臭ガス放散事件調査班】
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